テラレイドで大人気のあのポケモンが参戦。楽しんでいただけたら幸いです。
それは、テーブルシティ襲撃が起きる前。呼び出した自分の下を訪れたエクスパンションスーツを身に着けエスプリにされたグロリアもといユウリを前に、マトイは取り出したタイマーボールを構える。
「グロリア……いいえ、エスプリG。貴方にこの子を託すわ。タイムマシンの稼働実験で偶然呼び寄せたものの凶暴で大暴れし、やむを得ず私が捕獲したけどエスプリのボールジャックでさえ手が付けられなかったこの子を」
「アギャアアアアッス!!!」
タイマーボールから繰り出され、捕らえられた怒りのままにマトイに襲いかかろうとする、別の世界ではミライドンもしくは楽園の守護竜と呼ばれるパラドクスポケモン。しかしそれは、水を纏った脚で蹴り飛ばされ床を転がって行く。
「私に手を出すことは許さないわよ、テツノオロチちゃん?クラベル校長から託され私手ずから鍛えたボディーガードがいるのだから」
まるでエキゾチックなダンスでも踊るかのように全身を揺り動かしていながらも隙が無い、不思議な構えをするそのポケモンの名はウェーニバル。炎のホゲータ、草のニャオハに続くパルデア御三家の一匹、水のクワッスの最終進化系であるダンサーポケモンだ。
「私はこれでも人心掌握に長けていてね。活動しやすくするために信用を得ていたら私が水と氷タイプのポケモンをこよなく愛しているとレーちゃんから聞いたらしい校長が託してくれたのよ」
ミライドンはウェーニバルを前に敵わないと判断したのか、じっとしているエスプリGに襲いかかる。しかし次の瞬間、繰り出されたインテレオンに首の裏を掴まれ地面に首を垂れ下げさせられていた。
「インテレオン、みずのはどう」
冷徹な声での指示に一瞬反抗の意を示そうとするも、エスプリGの掲げられた手から放たれた電波を受けて両手を突き出し、ミライドンを巨大な水の塊の中に閉じ込めてしまうインテレオン。
「アギャッ、アギャアス…!?」
水の塊の中で溺れて溜まらず四つの脚を展開しもがくミライドン。そのエスプリを見つめる目が恐怖に染まって行く。
「落とせ」
「アギャッ!アギャッ!」
「ねらいうち」
「アギャアス!?」
そのまま床に叩きつけられ、びしょ濡れで水を吐き出しえづくミライドンに、容赦なく水の弾丸で滅多打ちにするインテレオン。事細かく指示しなくても、エスプリの思い通りに操れるボールジャックとユウリのバトルセンスはベストマッチだった。
「アァギャアアスッ!」
するとミライドンは専用技であるイナズマドライブを使用。ホイール状に変形し相手に急降下しつつ突撃、通り過ぎた後に敵に強烈な雷を落とすと言う技なのだが、インテレオンが両手の間に展開した水の塊…みずのはどうに受け止められて再び閉じ込められてしまい雷も水に通電して当たることはなく、ならばとパワージェムを繰り出そうとするミライドン。
「アギャッ…!?」
しかしその瞬間に叩き込まれた横蹴り…ふいうちで水の塊ごと蹴り飛ばされ、蹴られた衝撃で息が漏れて体内に水が入り、ミライドンはもがき苦しみながら吹き飛んで壁に叩きつけられ自ら解放されて床に叩きつけられる。なんとか立ち上がろうとするその姿は、アイアールのコライドンに通用するほど弱々しいものだった。
「アギャアス…」
指を構えて突きつけるインテレオンに、ミライドンは頭を下げて降参の意を示し、満足げなマトイから渡されたタイマーボールをエスプリGが構えると自らその中に納まる。
「さすが、100を越えるテラスタルポケモンをたった一人で捕まえてきた手腕は伊達じゃないわね。エスプリSと一緒に邪魔者の相手は任せたわよ」
「御意」
圧倒的な実力とエスプリになったことで得た冷徹で残酷な手段を選ばない合理的な性格による恐怖でミライドンを従えたエスプリGは、その姿を四天王のチリのものへと変えて無表情で歩き出し、無表情のムツキと合流して去っていく。そして、テーブルシティ襲撃は実行された。
シュウメイたちがダフネと合流し無双していた頃。テーブルシティ北西にそびえる白い建物。パルデアポケモンリーグ。この地方のトップに立つ五人のトレーナーが君臨するそこは、現在たった二人のエスプリによって壊滅状態に陥っていた。各地のジムリーダーもこのテーブルシティ襲撃と言う事態を受けて出向こうとしたがそれぞれの町や管轄エリアで野生ポケモンが暴れてそちらの対処に回ってるため、トップチャンピオンであるオモダカと四天王が出向こうとした刹那。チリとムツキに化けて乗り込んできたエスプリの侵入を許してしまったのだ。
「この実力は……間違いなくチャンピオンクラス、それにその手持ち……貴方ですか、サニア」
「ガケガニ。力強く、シザークロス」
屋上のバトルフィールにて、いわタイプのマークがヘルメットに描かれているエスプリの指示による、生半可なポケモンでは使用できない力業を行使する巨大ガケガニに、繰り出していたゴ―ゴートが敗れ去りオモダカはそのエスプリの正体を察する。トップチャンピオンである己を圧倒できる人間は少なくない。チャンピオンクラスの一人、サニアだと。雪崩にあった際ラウラと別れた後、ブルーフレア団に鹵獲されエスプリにされていたのだった。
「……サニアが敵に回ったよりも、あちらの方が問題ですかね」
とくせいである【そうだいしょう】で今まで倒れたポケモンたちの分パワーアップしたドドゲザンを繰り出しながらオモダカは眼下、ポケモンリーグ入り口前に目を向ける。そこには、自分が囮を買って出て、先にテーブルシティに向かったはずの四天王が、たった一人のエスプリに足止めされていた。
「テツノオロチ、パワージェム。インテレオン、ふいうち」
そこでは青い稲光を纏った
「嘘やろ、チリちゃんたち四天王が手も足も出ないやと…」
でんきタイプにもみずタイプにも強いちょすい持ちのドオーが切札である四天王、じめんタイプ使いのチリが歯噛みする。
「はっちゃれもへもへぇなんですの……」
四天王最年少にして天才トレーナーである四天王、はがねタイプ使いの少女ポピーが気絶したデカヌチャンを抱えて目を回す。
「相性が悪いとはいえ、ここまでの差があってたまりますか…!」
ガラルの元最強のジムリーダー、キリエの娘にしてポケモン育成の天才である四天王、ひこうタイプ使いのムツキが悔しげに拳を握りしめ震わせる。
「むうう……末恐ろしい、なんたる強さ……!敵でなければ手放しに称えるところです…!」
オレンジアカデミーの美術教師にしてポケモンリーグにおける実技テスト最後の砦を守る竜である四天王、ドラゴンタイプ使いのハッサクが悔しげに吠える。
「ここは通させてもらうで…!ドオー、隆起せい!じしんや!」
「負けられないんですの!ドータくん!アイアンヘッド!」
「ぶちかましなさいウォーグル!ゴッドバード!」
「うおおおおっ!ドラゴーン!セグレイブ、きょけんとつげき!」
誰か一人でも突破してテーブルシティの救援に向かえればいいと一斉攻撃する四天王たち。しかし。真下の地面から土柱を生成し飛んでいようと突き上げるドオーのじしんはバリアの様に展開されたパワージェムで相殺され。ドータクンのアイアンヘッドはインテレオンの振り上げた脚によるふいうちにより天高く蹴り上げられ。ウォーグルの力を溜めた渾身の突撃はエスプリGを乗せたままイナズマドライブを発動したミライドンとすれ違う形で雷を受けて撃墜され。セグレイブの逆立ちし背中の槍のような背びれを向けて突撃すると言う捨て身の専用技はねらいうちで胸部を撃ち抜かれて炸裂することなく崩れ落ちる。
「なんでやねん!ムツキから聞いたトンデモ芸当を結構苦労して再現したんやぞ!?お前、なんやねん!?」
「ここは通さない。排除する。じゅうでん、イナズマドライブ」
チリの絶叫を意にも介さず、エスプリGは冷酷に指示を出す。ガラル最強のチャンピオンの実力はエスプリになってなお、健在だった。
何気にみずタイプとこおりタイプが好みだと判明したマトイの手持ちがまた一匹。よりにもよって信用してしまったクラベル校長に良かれと思って託されていたクワッスが進化したウェーニバルが加入してました。だいぶストイックなポケモンだから相性が良かった。
そしてそのマトイでも御しきれなかった、仮にもバイオレットのラスボスであるミライドン(凶暴)を一方的に叩きのめして従え、四天王四人を一人で相手取るエスプリGことユウリ。ラウラですら一対一でしか勝てない女は伊達じゃない。
そしてさらっと判明、エスプリにされていたサニア。スペシャルエスプリの一人、エスプリSです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。