ポケットモンスター蟲スカーレット   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。なんと17話ぶりのラウラのターンとなります。

今回は断崖絶壁から落ちたラウラのその後。楽しんでいただけたら幸いです。


VSシビルドン

 首から下の冷たい感覚に、目が覚める。目を開けたら、切り立った崖が揺れて見えて。周りを見渡すと、海のど真ん中でプカプカ浮いていた。これは……糸が俺の胴体に巻き付いて浮き輪みたいになってる…?泳ぐの苦手だから助かった。

 

 

「っ、そうだ!ダーマ!ジャック!」

 

 

 一緒に落ちた二人を探して辺りを見渡す。間違いなく、俺が土左衛門にならずに浮いてこれたのはダーマのおかげだ。代わりに溺れているとかだったら洒落にならない。

 

 

「ああ、よかった…無事だったか」

 

 

 じたばた暴れてなんとか体勢を整え、泳いで探していると岩肌の向こう側に、同じく糸でグルグル巻きにされて仰向けにプカプカ浮いているバサギリのジャックと、その上に呑気に寝ているワナイダーのダーマがいた。瀕死に近いようだが無事の様だ。よかった。

 

 

「戻れ」

 

 

 二体を落として無かったネットボールに戻し、プカプカ浮かびながら上を見る。とんでもない断崖絶壁だ。よく生きてたな。いや、ダーマとジャックが庇ってくれたから無事なのか。こりゃ登るのは骨だぞ。

 

 

「えっと」

 

 

 手持ちを確認する。レクスとジャックとダーマが瀕死で……残るはレインとケプリベ、ぼむんとウカか。……うちの面子、登ることにかけては苦手な奴が一人もいないな。レクスに抱えてもらって跳んでもらうのもよし。ジャックにしがみついて登るのもよし。ダーマに抱えてもらって糸を伸ばして登るのもよし。レインで飛ぶのもよし、ケプリベに持ち上げてもらうのもよし、ぼむんに乗って浮かぶのもよし、ウカにしがみついて登るのもよし。…レインがいいかな。

 

 

「頼む、レイン」

 

 

 アメモースのレインを繰り出して、その下部の突起に掴まると、パタパタと小さな翅を懸命に羽ばたかせて持ち上げて飛んでくれるレイン。よしよし、このまま登り切ってからぼむんに切り替えるか。そう思っていた時だった。

 

 

「ぐううう!?」

 

 

 ビリリリッと衝撃が突き抜けて、たまらずレインから手を離してしまって水面に落ち、全身を襲う痺れにもがく。見れば、細長く黒い体のポケモンが十字の牙を大きく開いて泳いできていた。あれはシビルドンか…?いや、なんかキラキラしている。宝石の身体……テラスタルか。あの形状はドラゴンテラスタルか?お前の住処を荒したから怒っているのかもしれないが、ダーマの糸製救命胴衣がなかったら死んでたぞこの野郎。

 

 

「っ…ぜー!はー!……レイン!エアスラッシュ!」

 

 

 なんとか海面に浮かび上がって、息継ぎしてからレインに指示。空中から風の刃を飛ばして水中のシビルドンを狙うレイン。しかしシビルドンは素早い身のこなしで全弾回避、水中からほうでんしてレインを撃ち落としてしまう。

 

 

「なんとか地上に……時間を稼げ、ケプリベ!じんつうりき!」

 

 

 生憎、俺の手持ちで水中戦ができる面子は存在しない。レインが水に耐性があるぐらいだ。だから遠距離戦ができるベラカスのケプリベを選択。じんつうりきで海を竜巻状に持ち上げてその中にシビルドンを巻き上げることに成功する。

 

 

「よし、このまま…!?」

 

「ズボボボ!」

 

 

 するとシビルドンはとぐろを巻いたかと思えば全身に電撃を纏ったワイルドボルトで念動力ごと水の竜巻を吹き飛ばし、口から竜の形をしたエネルギー…りゅうのはどうを放ってケプリベを一撃で落としてしまった。

 

 

「嘘だろ…!?」

 

 

 慌てて必死に泳いで遥か彼方に見える断崖絶壁じゃない岸を目指す。あそこまでいければ、ウカなりぼむんなりで迎撃できる…!

 

 

「ぐあああああっ!?」」

 

 

 しかし容赦ないほうでんが背中から襲い、突き抜ける衝撃に絶叫を上げる。やばい、意識が一瞬飛んだ。しかも海水に浸かってるせいでスタミナも……くそっ、せっかく生き延びたのにここまでかよ……

 

 

「あ、いたいた!」

 

 

 あれ…?あまりに意識が朧気になりすぎたせいで絶対聞こえない筈の声が聞こえてきた。おかしいだろ、お前がここにいるのは。今頃どっかのジムで待ち伏せでもしてるんじゃないのか…?

 

 

「あれ?私に気付いてないのかな?おーい、ラウラー!」

 

「ね、も……」

 

 

 やべえ、岸に立ってこちらに大きく手を振ってる幻影まで見えてきた。あの世からの死神がネモの姿にばけてでてきたか…?だとしたらわかってないぞ死神め。俺は確かにネモが苦手だが、恩人だしアイツとのバトルは結構好きだ。めんどくさいだけで。だから俺を手招けると思ったらお門違いだぞ。

 

 

「なんか失礼なことを考えてる気がする……あ、もしかして後ろのシビルドンに襲われてる?ラウラだったらそれぐらい簡単に倒せそうだけど……なんか弱ってるのかな?よーし!マスカーニャ!」

 

 

 するとネモの幻影がマスカーニャを繰り出してきたが無駄だ。いくらトリックフラワーでもあれはあくまで相手に気付かれない様に投擲する技。こんな遠いところまで当てれないだろ。

 

 

「アイアールのゲッコウガから思いついて練習した新技、いっくよー!マスカーニャ、オーバーヘッドトリックフラワー!」

 

「え?」

 

 

 瞬間、自分の目の前に花束を落としたかと思えば、綺麗に引っくり返りオーバーヘッドキックで花束を蹴り込んでくるマスカーニャ。思わず目が点となった俺の頭上を越えて、シビルドンに直撃。吹っ飛ばした。

 

 

「え、ええ……」

 

「次!パーモット、でんこうせっか!」

 

 

 今度はパーモットを繰り出したかと思えば、当たり前の様に空を蹴ってこっちまでやって来たかと思えば俺の手を掴んで海水から引き揚げ、そのままネモの下まで蜻蛉返りしてしまった。ネモの傍の砂浜に投げ出され、ゲホゴホと飲み込んでいた海水を吐きだす。

 

 

「大丈夫?ラウラ。脱水症状にもなってるっぽい?ほら、水筒!」

 

「ありがとう。……え、幻じゃない…?」

 

 

 差し出してきた水筒を受け取り喉を潤して、これが幻じゃないと実感しネモに振り向く。いつも通りの制服姿のネモが首を傾げて立っていた。

 

 

「おま、なんでここに……?」

 

「ラウラ達遅いなーって、ラウラに買ってあげたスマホロトムの保護者追跡機能を見てみたら変な位置にあったから探しに来てみたんだよ。アイアールは?一緒じゃないの?」

 

「待て待て待て待て待て待て」

 

 

 今なんか聞き捨てならないことを言ってなかったか?え、保護者追跡機能?たしかに今のスマホロトムはネモが実家の会社のコネでもらった最新版で設定とかも全部ネモがやってくれたが……え?そんなことしてたのお前?

 

 

「もしかしていく先々で出くわしてたのって……」

 

「もちろん、戦いたいなーと思ったら確認して会いに行ってたんだよ?」

 

「……そうだった、お前はネモだった」

 

「なんか失礼な意味で私の名前を言ってない?」

 

「気のせいだ。多分。きっと。メイビー」

 

 

 そう思うことにする。じゃないとネモに恐怖を抱きそうだ。

 

 

「? まあいいや、それでアイアールは?」

 

「アイツはなんかやることがあるとかで別行動していて、俺はスター団チーム・カーフのアジトに向かっていたところでオンバーンの群れに襲撃されてこんな有様だ」

 

「もしかして上から落ちたの?よく無事だったね!さすがラウラ!」

 

「お前こそ俺の名前をなんか失礼な意味で言ってないか…?」

 

「そっか、アイアールのやらないといけないことか……もしかしてあれかな?気になったけどラウラと戦いたかったから無視してたけど」

 

「おいそっぽを向くな」

 

 

 すると自分のスマホロトムを取り出してテレビのチャンネルを映すネモ。そこに映っていたのは、ドローンロトムから撮影されいるらしきテーブルシティ…!?

 

 

「ピーニャ、シュウメイ、オルティガ!?それにバラにアケビに…なんだこの数のエスプリは!?」

 

「なんか、テーブルシティ襲撃されたんだって。他の町でも襲撃されていてジムリーダーたちが対処に追われてるみたい?」

 

「お前、そういうことは早く言え!?もしもし、そらとぶタクシーか!?」

 

 

 本当に俺と戦いたかったのか興味が薄いネモにツッコみながらスマホロトムでそらとぶタクシーを呼び出す。ブルーフレア団の奴らがおっぱじめやがった、急がないと。

 

 

「ネモ、お前も来い!…そのあとならいくらでも戦ってやるから!本気でだ!」

 

「本当!?女に二言はないからねラウラ!」

 

「それ言うなら男に、だぞネモ」

 

 

 やっぱりネモ、バトルジャンキーなんだなと実感した。




ダーマの機転のおかげで無事ですんでいたけど長い事気絶していたラウラでした。

ペパーのターンの次はネモのターン。とんでも技を引っ提げてネモ参戦。優先順位がラウラ>アイアール>ポケモンバトル>越えられない壁>それ以外、という清々しさ。地味にラウラのスマホロトムに仕込んでました。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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