というわけでネルケもといクラベルsideの話です。楽しんでいただけると幸いです。
カーフ・スターモービルの突撃から逃れたネルケ……クラベルはスペシャルエスプリの一人……蜂の巣の様な模様がヘルメットに描かれたエスプリ
「むしタイプでここまでの強さ……ラウラさんじゃないとするとオレアさんですか。スター団のみならず、こんなにも生徒が悪党に利用されるとはなんたること…!それに気付かなかった自分が愚かしい…!」
エスプリOの装着者の正体に気付いたクラベルは悔しさと不甲斐なさから歯噛みする。そもそも持っているポケモンがヤレユータン、ユキノオー、ポットデス、モロバレル、ギャラドス、ヘルガーと大半以上がむしタイプに弱いメンバーであるクラベル。ヘルガーを繰り出して応戦するが、完璧なタイミングで放たれるぼうぎょしれいで防がれた挙句にパワージェムで追い詰められていた。
「ヘルガー!」
「こうげきしれい」
ビークインがしもべを呼び出し、ヘルガーを滅多打ちにして戦闘不能にしてそのままクラベルを狙うエスプリO。指示しなくても自在に操れるボールジャックを利用した戦法はオレアの実力を遺憾なく発揮している。
「私は不甲斐ない校長ですが……せめて、貴方だけは救って見せます…!」
ヘルガーを戻してギャラドスを繰り出して徹底抗戦の構えを取るクラベル。対して無情に手を突き出して無言で指示を送るエスプリOだったが、突如何かに気付いたかと思えばヘルメットを押さえて暴れ始めた。
「なんです!?」
「ぐ、う……外部アクセス、不正ログイン……ファイアウォールを突破……コードが書き換えられ……―――――」
そしてガクンと電源が切れた様に項垂れるエスプリO。ビークインとギャラドスは顔を見合わせ恐る恐るとエスプリOに視線を向け、クラベルも何ごとが起きたのかわからず困惑するのだった。そして、ダフネの方では……。
イーユイの放った灼熱の炎に、視界がホワイトアウトし咄嗟に目を瞑る。ほのおタイプの使い手に蟲ポケモンで挑むのはさすがに無謀だったかと後悔するももう遅い。兄さん、ごめんなさい……。
「……あれ?」
何時まで経っても灼熱の炎が来ないことに 目を開ける。そこには、ビークインがぼうぎょしれいと思われる六角形の小型エネルギーを並べたバリアで灼熱の炎を防いでいる光景があった。
「新手の存在を確認。即対応……ぐあっ!?」
エスプリMも驚いている様子で、イーユイに指示してビークインもろとも焼き尽くそうとしたようだが、突如横から別のエスプリが飛び出してきて飛び蹴りをエスプリMに叩き込み、蹴り飛ばす。そのエスプリはネットボールを取り出すとビークインを戻し、代わりに別のポケモンを繰り出す。こおろぎポケモン、コロトックだ。
「イーユイ、れんごk」
「コロトック、ほろびのうた」
「え?」
そのエスプリから聞こえた声はラウラさんその人で。両手をバイオリンと弦の様に構えたコロトックの演奏した旋律を聞いたエスプリMはれんごくを使おうとしていたイーユイを咄嗟にタイマーボールに戻すエスプリM。
「ラウラ、さん?」
「ダフネか。下がってろ、アイツは俺が倒す」
そう、いつもの頼もしい声色で返してくるラウラさんと思われるエスプリ。するとエスプリMがイーユイの代わりにウルガモスを繰り出すと、ラウラさんと思われるエスプリもコロトックを戻してウルガモスを繰り出し、エスプリ二人が手をかざすと同時にウルガモス二体も翅を羽ばたかせて突撃、激突する。
「「ウルガモス」」
「ほのおのまい」
「ちょうのまい、ぼうふう!」
エスプリMのウルガモスの放った自在に動く灼熱炎の津波、イーユイのわざわいのたまの力で火力が上がっている。ラウラさんと思われるエスプリのウルガモスがひらりひらりと舞うことで炎の津波を回避しながら懐に飛び込んで放った強烈な突風がエスプリMのウルガモスを吹き飛ばし、地面に叩きつける。戦闘不能だ。
「――――過去のデータと一致。対象を記憶を取り戻したラウラと測定。全力で排除する。グレンアルマ」
「交代、ハッサム」
たしかほのおとエスパータイプで高火力を誇るグレンアルマを繰り出したエスプリMに対し、ラウラさんと思われるエスプリはほのおが四倍弱点のハッサムを繰り出す。…そう言えば、あの手持ちどこから持って来たんだろう。ビークインやウルガモス、ハッサムはラウラさんの元の手持ちにもいたがコロトックはガラルにはいないから使ってなかったはずだが。
「爆ぜろ。燃えろ、そして灰になれ。めいそう、アーマーキャノン」
両肩の壺の様な鎧を両手にずらして合体させ、大砲にしたグレンアルマから灼熱の火炎がまっすぐ撃ち出される。目の前まで灼熱の火炎が迫る中、動じもしないハッサムとラウラさんと思われるエスプリ。
「…グレイ曰く、鍛えれば実体のないゴーストポケモンだろうが斬ることができると言う。なればこのハッサムは、炎を斬ることも容易い。つるぎのまい」
「なっ……!?」
「理解不能…!?」
なんとハッサムは鋏を振るって十字に火炎を斬り払い、そのままつるぎのまいを終えて攻撃力を二段階上げる。完全に、ラウラさんのつるぎのまいの使い方と同じだ。彼女の切り込み隊長だったテッカニンを思い出す。するとエスプリMは理解の及ばない状況にヘルメットのディスプレイを点滅させて腕をぶんぶん振るって抗議する。エスプリじゃない、メロコさんの意識が出ている…?
「アーマーキャノン、知ってるぞ。インファイトと同じで、使った後ぼうぎょととくぼうが低下する。とくぼうはめいそうでカバーした様だが、ぼうぎょはそうもいかないんじゃないか?」
「ワイドフォース!」
「バレットパンチ、むしくい!」
手を翳したラウラさんと思われるエスプリに応えて突撃してくるハッサムに、巨大な念動力の塊を形成して叩き潰さんとするグレンアルマとエスプリMだったが、バレットパンチの高速移動を利用して回避、眼前に迫ると鋏による拳、むしくいを叩き込んで殴り飛ばすハッサム。
「イーユイ、れんごく!」
「ミヨミヨー!」
「交代、ビビヨン。ふんじんだ」
たまらずエスプリMは切札のイーユイを繰り出して灼熱の炎をぶつけようとしたが、ラウラさんと思われるエスプリはビビヨンを繰り出し、カロス地方のビビヨンとアローラ地方のアブリー系統のみ覚えられるふんじんという技を使用。
「ミ…… ヨ……!?」
「ビビヨン、ドレインキッス」
相手がほのおタイプの技を使うと効果を一切無効化し、逆に相手にダメージを与えてしまうという、早い話が粉塵爆発であるそれはイーユイに大ダメージを与えて怯ませ、そこに効果抜群のドレインキッスを叩き込み戦闘不能にしてしまった。
「生憎とほのおタイプ対策は万全だ。このビビヨンは覚えていなかったが、イクスパンションスーツの機能を使って覚えさせた。便利だな、これは?記録を利用して強制的に使用できる」
「ファイアロー!アクロバット」
「無駄だ。てをつなぐ」
負けられないと言わんばかりにファイアローを繰り出しアクロバットを叩き込むエスプリMだったが、なんとラウラさんと思われるエスプリは「てをつなぐ」を使用。限られた個体しか覚えない「意味の無い技」であるそれでファイアローの翼を受け止めたビビヨン。するとファイアローの動きが止まり、エスプリMが手を翳してもまるで反応しなくなった。
「どうした…?なぜ…!」
「みかたの ポケモン どうしが てをつなぐ。 とっても しあわせな きもちに なれる。だとさ。ボールジャックの洗脳も解けるらしい。駄目もとだったがな」
「馬鹿な…!?」
「交代、モルフォン。サイコキネシス。ヘルメットを外せ」
そして最後の手持ちなのだろうモルフォンを繰り出し、サイコキネシスで無防備なエスプリMのヘルメットを取り外すと、赤い髪の少女の顔が現れ崩れ落ちる。ラウラさんと思われるエスプリの完全勝利だった。
「ラウラさん、凄い……でも、何時の間に記憶が……?でもあれ、まさか…あなたは?」
「そうだ、ダフネ。俺は、ラウラ―――だ」
エスプリことイクスパンションスーツに身を包んだラウラ(?)参戦です。手持ちは今までのラウラと異なり、ビークイン、コロトック、ウルガモス、ハッサム、ビビヨン、モルフォン。偶然ですけどスター団ルートのラウラと一部一緒ですね。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。