今回は前回より少し前の話。楽しんでいただけたら幸いです。
イキリンコのそらとぶタクシーに乗った俺とネモは、上空からテーブルシティで行われている戦争の様な抗争を確認、プラトタウンのポケモンセンターに一旦降りると、コサジの小路から走ってくる二人の人物と出くわした。
「あ、ラウラ!」
「それに生徒会長じゃねえか!」
「アイアール、それにペパー!?」
「二人とも、なんでここに?」
アイアールとペパー、何でこの二人がここに?するといきなりアイアールが頭を下げた。いきなりなんだ!?
「ラウラ、ごめん!私、嘘ついてた!」
「なにがだ?」
「ラウラに記憶を取り戻してほしくなかったから、先にペパーと合流して偽龍のヌシを倒してスパイスを処分しようとしてた!ごめんなさい!」
「え、そうだったのか?」
なんか隠しているんだろうなとは思ってたが気付かなかった。アイアールの言ってた用事ってそれのことか。
「…俺にとって記憶がどれだけ大事か分かったうえでやったのか?」
「ラウラ、あんまりアイアールを責めてやらないでやってくれ。こいつ、だいぶ苦しんだんだぜ」
「言い訳はしない。だけど……ラウラが、プラズマ団だって……」
「は?」
プラズマ団ってあれか?イッシュ地方で暴れたとかいう宗教団体。ネモから教えられたことしか知らないけど。
「滅茶苦茶強いって噂のイッシュのチャンピオンの少年が倒した組織だね!」
「ああ、それか。…俺がそのプラズマ団?ありえないだろ。誰から聞いたんだ?」
「プラズマ団の恰好をしている写真を見せられて……それは、ラウラのスマホロトムだって。……ブルーフレア団のボスだったマトイさんに」
「マトイさんが!?」
「ブルーフレア団のボス!?」
「……それで合点が行った」
ブルーフレア団に勧誘されていたらしきスター団チーム・セギンのアジトの近くで出会ったこと。バラと出会ったのもマトイさんと一緒にいた時だ。全部あの人が暗躍していたなら納得できる。
「…それにしても、ブルーフレア団のボスの言うことを信じたのか?」
「…だって、写真が…」
「合成かなんかだろ。俺がプラズマ団なわけがないしな。…いや、記憶を取り戻さないとわからないが」
「それで、処分しようとしたそのスパイスはどうしたの?」
「ああ、それならここにあるよ」
そう言って鞄から大事そうに梱包された包みを取り出すアイアールからそれを受け取り包みを開くと、サンドイッチがあった。それを前にして、思わずごくりと生唾を飲み込む。
「…大丈夫か?」
「…ああ。記憶が戻るかもと思うと、な」
「でも記憶が戻ったラウラ絶対強いよね!早く食べてよ!」
「ネモ、さすがに空気を読もう…?」
心配してくれるペパー。空気を読まずに急かしてくるネモ。それにげんなりしながらツッコむアイアール。それを見て、記憶を取り戻してもこいつらとの関係が変わる筈もないかと思わず笑って。
「ええい、ままよ!」
結構な辛味の効いたスパイスで味付けされたサンドイッチをがつがつ食べる。うん、美味い。できればカレーが良かったが……!?
「ぐうっ…」
「ラウラ!?」
「大丈夫!?」
「記憶が戻ったのか!?」
襲いかかる頭痛に頭を押さえる。次々と情報で頭を殴られる感覚に襲われる。どこか元気が無かったフェローチェとマッシブーンをどうにか故郷に戻せないかと、アイツらと出会ったカンムリ雪原を調べていた時に、空間に突如開いた穴に吸い込まれてしまったこと。飛び出した先で、自分が何でそこに来たのか記憶が朧気だったところにスマホロトムに電話をかけてきたオーリム博士と会話したこと。ブルーフレア団に襲われ、出くわしたチヲハウハネ……ウカと共に迎撃したが、サングラスで顔を隠した謎の人物…今思えばマトイさんだったか…の繰り出したメガシンカとも違う姿になったガブリアスに手も足も出ずに敗北、エスプリのスーツに押し込まれたこと……ユウリ、モコウ、ムツキとの関係も、全部、全部思い出した。
「…そうか、ウカ。お前、俺の事を知っていたのか」
「ラウラ?…大丈夫、だよね?プラズマ団だったりしないよね?」
「ああ、思い出した…俺は、エンジンシティのラウラだ。あとすまん。……詳しいことは割愛するけどプラズマ団だったことあるわ」
アクロママシーン改で洗脳されてプラズマ団の幹部にされていたとか話してもわけわからんだろうな。
「ええ!?」
「そーなんだ」
「興味なさげちゃんだな生徒会長おい」
「本来の手持ちじゃないが…今ならいつも以上に力を引き出せる気がするよ。もうマトイさんにも負ける気がしねえ」
そう意気込んでいると、電話がかかってきた。出てみると、相手はカシオペアだった。こんなときになんだ?とりあえず、出るか。
「カシオペア?どうした?」
《「ラウラか。今、テーブルシティが占拠されているのは知っているな?オレンジアカデミーに奴等の首魁がいる。テラシンカと言う、メガシンカとテラスタルを合わせた力を持っているから要注意だ」》
「お前、何でそれを知っているんだ?」
《「頼むラウラ、奴を止めてくれ」》
俺の問いかけに応えることなく電話を切るカシオペア。…アイツも中にいるのか?
「俺はオレンジアカデミーに乗り込んでマトイさんを倒す。お前らはテーブルシティの連中を頼む、シュウメイ達に助太刀してくれ」
「うん、任せて」
「微力ながら全力で行くぜ!」
「強い奴がいるといいな!」
「よし。行くぞ!」
そうして俺達はテーブルシティに乗り込むのだった。
「「「え」」」
コロトックでヌシヘイラッシャと中のヌシシャリタツをダウンさせたエスプリOの言動に驚いたのは外から乱入してきたアイアール、ペパー、ネモの三人だ。
「え、その声、ラウラ!?先にアカデミーに向かったんじゃなかったの!?」
「カシオペアって奴から連絡が来て、それで…」
「しかも何時の間に着替えたの!?」
「うん?……ああ、それは別にいいだろ?それよりこいつらをぶっ潰すぞ」
「スターモービル!」
ブロロン!という轟音と共にカーフ・スターモービルが突撃。それを一瞥するエスプリO。片手間に繰り出したハッサムが突撃を受け止める。
「バレットパンチ」
一瞬で五連続、鋼鉄の拳を叩き込んでカーフ・スターモービルを押し返すハッサム。さらにコロトックに頭部を突き刺されていたヌシヘイラッシャが動き出し、エスプリOに向けて突撃する。アケビが己のボールジャックでヌシヘイラッシャを指示したためだ。
「アハハ!油断したわね、ポケモンの意識が無くてもこっちで操れるのよ!いっちょうあがり!」
「パーモット、テラスタル!でんこうそうげき!」
それを、横からテラスタルしたネモのパーモットが電撃を纏った両拳を叩き込んでヌシヘイラッシャの巨体を殴り飛ばす。殴り飛ばされたヌシヘイラッシャの口から白目をむいたシャリタツが飛び出してりゅうのはどうでしつこくエスプリOを狙うも、上から急降下してきたゲッコウガに押し潰された。
「なにがなんだかわからないけど、ラウラに手は出させないよ!」
「ヌシって言うからどんなもんかと思ったけど手ごたえ無いなあ!…ラウラのせいかな?」
「俺のせいにするな」
「…頼もしいでござるな」
難敵だった偽龍のヌシとカーフ・スターモービルを一蹴したエスプリOとアイアールたちに思わず崩れた頭巾の下で苦笑いを浮かべるシュウメイ。すぐにきっと真面目なものに表情を切り替えてバラたちに向き直る。
「まだだ。勝った気になるなよ…イダイナキバ、ディンルー!」
「アハハ!やっちゃえハバタクカミ、チオンジェン!」
パラドックスポケモンとわざわいポケモンを向かわせるバラとアケビ。そして。
「ラウラぁあああああああっ!」
パルデアポケモンリーグの方からミライドンに乗ったエスプリが舞い降りる。ユウリことエスプリGだ。ラウラが来たと察して洗脳されているにも関わらず来たのである。
「どの世界に来てもお前は変わらないな、ユウリ!」
そして、エスプリ同士のポケモンがぶつかった。
スパイスで記憶を取り戻したラウラ、完全復活。安定のネモである。
そして四天王を相手にしてたはずのエスプリGも参戦。決戦開始です。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。