ポケットモンスター蟲スカーレット   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。一応の補足として、マトイと戦っている方のラウラはダフネやグレイの存在には気付いてなかったりします。

今回はラウラVSマトイ、終盤戦。楽しんでいただけたら幸いです。


VSガブリアスⅡ

「くそっ……レクス、かかとおとし!じごくづき!こうそくいどう!とびかかる!」

 

「無駄よ」

 

 

 怒涛の連続攻撃。普通のポケモンならひとたまりもないそのコンボ攻撃を、全て紙一重でとんでもない速さで回避して反撃の斬撃を叩き込んでくるテラガブリアスに、攻撃していたはずが防戦一方で必死に避ける羽目になってしまうレクス。レクスの脚力がずば抜けているから致命傷こそ負ってないがさっきからこれの繰り返しだ。

 

 

「技を使わずにこれかよ…化け物め」

 

「化け物とは失礼しちゃうわね。じゃあそろそろポケモンらしく技を使おうかしら。アクアカッター」

 

 

 瞬間、両腕を顔の前で交差したテラガブリアスが爪に水流を纏い、勢いよく振り下ろしてX状の水の斬撃が放たれ、咄嗟に俺を抱えたレクスが天井目掛けて跳躍した瞬間には俺のいた場所を水の斬撃が通り抜け、校長室の入り口の扉を四等分に斬り裂いて吹き飛ばしてしまった。

 

 

「…レクスじゃなくて俺を狙ったな?」

 

「貴方を狙えばポケモンの動きも制限される。道理よね?アクアブレイク」

 

「レクス、俺を離せ!とびかかる!」

 

 

 全身を煌めかせて水流を纏って右腕に集束させ、床を蹴って天井に着地していたレクスの目の前に一瞬で移動、咄嗟に俺を手放したレクスが飛び蹴りを叩き込もうとするも逆に殴り飛ばされ机に激突してしまう。なんとか受け身を取って着地した俺は慌てて駆け寄った。

 

 

「レクス!無事か!?」

 

「効果抜群じゃないとはいえ攻撃と素早さに特化したテラガブリアスの一撃をまともに受けたらひとたまりもないわ。特に蟲ポケモンの耐久じゃなおさらね?」

 

「…俺の今の相棒を舐めるなよ」

 

 

 そこには、瀕死になりながらも立ち上がるレクスがいた。ガラルでもそうだった。モコウのライボルトみたいに、トレーナーに応えて体力をミリで残して耐え抜くポケモンがいるのだ。レクスのもそれだろう。

 

 

「ラウラさんがその子に向けた沢山の愛情に応えてくれたのね。感動的だわ。でも無意味よ、テラガブリアスには勝てない」

 

「…そうだな」

 

 

 同じぐらいの素早さで防御を担当してくれる奴がいるなら別だが、今のレクスじゃ奴の速さに対応できても超えることはできない。ここは交代が吉だろう。

 

 

「行くぞ、ウカ」

 

 

 繰り出すはチヲハウハネ、ウカ。エリアゼロに迷い込んでブルーフレア団と対峙した際に出会い、協力してくれたアイツが俺を追って外に出て来たらしい。可愛い奴だ。

 

 

「あら、またその子?こっぴどくやられたのを覚えていないのかしら」

 

「覚えている……思い出したさ。これはリベンジだ」

 

「できるといいわね。ドラゴンクローよ」

 

 

 ジャキン、ジャキンと三つずつに増えた鋭い爪に青色のエネルギーを纏い、凄まじい速さで突撃してきたテラガブリアスを、両手を突き出してどっしりと構えて手首を掴んで受け止めるウカ。いくら素早かろうが、蟲の複眼なら捉えられる。

 

 

「そのまま投げ飛ばせ!とにかく素早さを下げるぞ!しびれごな!」

 

「アクアブレイク!」

 

 

 そのままテラガブリアスを一本背負いで空中に投げ飛ばし、両手の間に溜めた黄色い粉塵の玉を投げつけるウカ。それを水を纏った爪で薙ぎ払い、壁に着地したテラガブリアスは跳躍してそのままウカに斬りかかる。

 

 

「とびかかる!」

 

 

 ならばとそのスピードを利用してこちらから突撃し相手の爪を振るうタイミングをずらすことで直撃を回避し跳躍してのパンチを叩き込む。効果は薄いがこいつは見たところ防御を捨てて素早さと攻撃に全特化させている能力配分だと見た。結構効いただろ。

 

 

「じしん!」

 

「なっ!?」

 

 

 すると蹴り飛ばされ着地したテラガブリアスが床を殴りつけたかと思えば。部屋全体が振動。建物自体が崩れるかと思ったがそんなことはなく、どんだけ器用なのか机やら機材やらを振動で跳ね飛ばし、まるでピンボールの様に四方八方からウカに襲いかかりタコ殴りにされる。

 

 

「そんなのありか!?」

 

「屋内で使えないデメリット、ガラルのキリエとかいう元ジムリーダーが参考になったわ。ナンジャモさんの配信で教えてくれた貴方のおかげよ?アクアカッター」

 

「ニトロチャージ!」

 

「っ、アクアブレイク!」

 

 

 ならばとニトロチャージで素早さを上げて水の刃を回避。そのまま突撃して水を纏ったテラガブリアスと鍔競り合うウカ。相性は悪いが勢いはこっちが上だ!

 

 

「せっかくの素早さ、後手後手じゃあ意味がないぞマトイ!ローキック!」

 

「しまっ…」

 

「交代、ぼむん!」

 

 

 足払いでテラガブリアスが一回転し宙に浮いた千載一遇の好機。唯一みずテラスタルに効果抜群を取れるぼむんに交代。頭がいいので何も言うことなくすでに準備完了していた。さすが、俺の相棒たちだ!

 

 

「でんじほうだ!」

 

 

 放たれるはでんじほう。この距離なら外しようがない。他の手持ち五体は既に倒している、交代して逃げることもできない筈だ。勝った!

 

 

「交代よ、ガブリアス」

 

「なっ!?」

 

 

 テラガブリアスがボールに引っ込み、代わりに繰り出されたのはとんでもない冷気の靄で隠れた巨体のシルエット。前世で見たライトアップされた怪獣王を思わせるそれは、でんじほうを難なく受け止めてしまった。

 

 

「七匹目だと…!?」

 

「六匹だけだなんて何時言ったかしら?セグレイブ!かみくだく!」

 

 

 そして冷気の靄を突き破り、現れたのはひょうりゅうポケモン、セグレイブ。多分、このパルデア地方特有の600族だ。ぼむんの甲殻に噛み付き、文字通り噛み砕いてしまい罅が入った状態でふよふよと後退するぼむん。ま、まだだ。セグレイブはこおり・ドラゴンタイプ。はがねタイプのぼむんなら有利を取れる…!

 

 

「でんじふゆう、ヘビーボンバー!」

 

「撃ち落としなさい、れいとうビーム!」

 

 

 でんじふゆうで天井まで浮かび上がり、急降下するぼむんだったが、セグレイブの口から放たれた放射熱線……ではなく凍える冷気の光線で撃墜され、氷漬けにされて落下してしまう。

 

 

「貴方も七匹いるんだから、卑怯とは言わせないわよ?きょけんとつげき」

 

 

 そのまま逆さになり、鋭利な背びれを前に向けて凍った頭で滑走しながら突撃するセグレイブ。半ばギャグみたいな技だが強大な威力を誇るその一撃を受けたぼむんは強固な防御力を誇ったはずなのに、一撃でやられてしまった。

 

 

「くそっ……」

 

 

 テラガブリアスに対する有効打を失った俺は思わず後ずさりしてしまう。どうする、セグレイブはかくとうタイプのウカかかかとおとしを使えるレクスでどうにかなる。だがテラガブリアスに対する逆転の術が一切思いつかない。…俺は策を弄して相手を翻弄するスタイルだが、ムゲンダイナみたいに相手のスペックが強すぎるとさすがにどうしようもない。ムゲンダイナに勝てた時はユウリやモコウ、ムツキやホップ達…みんながいた、だが今は……俺は、独りだ。

 

 

「観念したみたいね。楽にしてあげるわ。つららおとし」

 

「っ、ニトロチャージ!」

 

 

 次のポケモンを出すこともできていなかった俺の頭上に冷気の息吹が放たれて氷柱を形成、それを落下させてくるセグレイブ。俺は咄嗟にウカを出して炎を纏わせて防ぎ、そのまま突撃させるも、セグレイブはまるで意に介していなかった。

 

 

「なに…!?」

 

「知らなかったのかしら。とくせい、ねつこうかん。やけど状態にならない上で、ほのおタイプの技を受けると攻撃が一段階上昇する。……ラウラさん、前から思っていたけど蟲ポケモン以外の知識が中途半端だと思うわ。つららおとし」

 

「くっ、ウカ!蹴り砕けローキック!」

 

 

 ローキックを無理やり回し蹴りの様に使って氷柱を蹴り砕いて行くがじり貧だ。テラガブリアスどころか、セグレイブすら突破できない。

 

 

「惜しかったわね。私の愛の勝ちよ。れいとうビーム」

 

「くそっ…」

 

 

 俺ごとウカを飲み込まんと、冷気が口に充填されていく。駄目だ、何も思いつかない。ガラルの手持ちならともかく、今の手持ち、残りのウカとレクスで突破する手段が思いつかない。ダイマックスも使えない、メガシンカも使えない。小手先が、通用しない。ここまでか……!

 

 

「ラウ、ラぁあああああっ!」

 

「え?」

 

「たたみがえし!」

 

 

 瞬間、外の穴から飛び込んできたゲッコウガが、俺たちとセグレイブの間の床を捲り上げて壁を形成、れいとうビームを防ぎ切り。その背に舌で抱えられていた少女が飛び降りる。ゲッコウガを連れていてオレの名前を知っている奴は一人しかいない。

 

 

「アイアール、なんでここに?」

 

「…マトイさん。貴方が私に接触してきたのは、私のトラウマを煽ってあわよくばラウラを排除しようとしていたんだよね。私の弱さのせいで、今回の対処が遅れた。こうなったのは私のせいだ。でも、だからこそ。私は貴方を乗り越える。ゲッコウガ…!」

 

 

 瞬間、咆哮したアイアールと、ゲッコウガが重なったビジョンが見えた。そして足元から発生した水流に包まれるゲッコウガ。激流が吹き飛んだ時、ゲッコウガは姿を変えていた。アイアールを思わせる三つ編みの茶髪の様な意匠に、星々が輝く夜空を思わせるサファイアの様な瞳。背中に出現した水でできた巨大十字手裏剣はやはり宝石のように輝いていて、テラスタルの様だった。

 

 

「ようやくできた、きずなへんげ…!行くよラウラ!私達で、マトイさんを倒す!」

 

「っ…ああ!行くぞ、アイアール!」

 

「いいわ、来なさい。二人に増えようが現実は変わらないことを教えてあげるわ」

 

 

 そうして、パルデアの命運を握る決戦は始まった。




このシリーズでは六匹制限は、大体のトレーナーが一度に使役できて愛情を注ぐことができる上限、みたいな扱いなのでラウラやマトイみたいな愛情が規格外な人たちは普通に七匹目を持ててます、別に地の文でしか六匹とは言ってないのだ。

そしてアイアールのゲッコウガ、覚醒。その名もサトシゲッコウガ…ではなくゲッコウガIR。テラスタルみたいに水流が輝いているのが特徴です。以前シュウメイの時にちょっとだけきずなへんげと言いかけてましたね。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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