今回は決戦のその後。再出発。楽しんでいただけると幸いです。
その後、サニアの無事も知らされた俺達はやってきた国際警察に事情聴取される羽目になった。まあ当事者だからな、しょうがないか。異世界から来た云々の明言は避けて、俺は全部話した。
ブルーフレア団のタイムマシン起動実験に巻き込まれてここに来たこと(多分だけど、これしか原因が思いつかん)。敗北して捕まってエスプリの実験台にされて記憶を失っていたこと。知る限りのエスプリの性能全てとその脅威。気絶したまま拘束されてしまったユウリが俺と同じところから来た知り合いで、エスプリに洗脳されてただけで危険じゃないと説明する。……多分ダフネのさいみんじゅつのせいだろ、あのグロリアの状態。
「だからユウリは解放してくれ。あいつは洗脳されていただけだ」
「彼女が行方不明のブルーフレア団幹部の一人、グロリアと同一人物だという話がありますが?」
そう尋ねてきたのはあっちだと知り合いどころかゲノセクトを譲ってもらった恩もあるリラさん。なんでも、俺が虚空の穴からパルデアにやってきたと聞いて来たらしい。俺が「Fall」の可能性が高いと言う話だが、まあそうなんだろう。フェローチェとマッシブーンを帰すつもりが
「言っとくがあれはユウリじゃない。違和感すごかったぞ。十中八九洗脳されてた、多分ブルーフレア団に捕まって利用されてたんだ」
「…正直彼女の手持ちは危険度も高くて放置するわけにもいかないのですが、懐いて離れないのです。あのままというわけにもいきませんし、貴方が責任もって見張っていると言うのなら解放しましょう」
「それは助かる!」
手を打って喜ぶと、リラさんは溜め息を吐いた。
「本来ならあなたも国際警察で保護するべきなんですが…余程愛されているようですね。貴方を連れて行かないでくれってたくさんの人に懇願されました。様子見するに留めることとします。…あとひとつ」
「なんでしょう?」
「ダフネと呼ばれた少女も貴方の仲間だという話でしたが……では、ラウラと呼ばれたエスプリの正体はわかりますか?」
「オレアではなく?」
「多くの人間が証言しました。あれはたしかに、ラウラだったと。オレアという少年はその『ラウラ』に乗っ取られた状態でした。あの時はオレアくんだけだったかもしれない、だけどもしも体を持たない存在であれば…つまりそれは」
「…エスプリがまだ、野放しにされているということになる?」
たしかにアイツよくわからなかったんだよな。悪い奴じゃなさそうだったけど。ネモによれば俺より強いとかいうのが納得いかないけど。
「我々国際警察は『ラウラ』を追います。なにか思い出したことがあればこの連絡先に」
「わかりました」
「では」
そうして、俺とユウリは解放された。
「しかし派手にぶっ壊したな」
「そりゃじわれとかじしんが当たり前に使われてたもの」
「街の被害を気にしないで暴れるの楽しかったな!」
「ネモ。それ絶対警察の前で言うなよ?」
気絶したユウリを背負い、アイアールとネモ、ペパーと共に高台の上からテーブルシティのあちこちをタイレーツが資材を運んでいるのを横目に眺める。
「ところで、その人は?あのとんでもなく強かった」
「俺の…………嫁だ」
「ええ!?」
「先約済み!?」
「いやそこじゃねえだろ!?」
なんかアイアールの視線が冷めた気がする。俺、またやらかしてないよな?心配になってくるぞ。
「ラウラ、どういうこと!?」
「取り戻した記憶がそう言ってるんだからしょうがないだろ。籍も置いてるぞ」
「はえー、ラウラのいた世界だと同性同士の結婚ありなんだ…」
「ラウラは男らしいと思ってたからありだと思うぜ!俺は!」
「そうかー、…そうかー……グロリア許せない理由が分かった気がするや」
「アイアール?」
「何も始まらずに終わっただけだから気にしないで」
「お、おう?」
お前の様子可笑しいと洒落にならないからちゃんと話してほしいがブチギれている時のユウリと同じ気配がするから、触らぬ神に祟りなしだ。
「ユウリもそうだがサニアとかオレアとか、エスプリにされてたやつらの大半はみんな眠ったまんまらしいな。ユウリも病院に預けてくればよかったかなあ。とりあえず」
ユウリの手を握り、ボールのボタンをユウリの指で押して繰り出したのは青い体に稲妻迸る蛇竜のポケモン。出てくるなりユウリを心配する様に四足歩行で見つめてくる。
「名前わからないからミライドンと呼んでいいか?」
「アギャ!」
「お前の背にユウリを乗せてもいいか?」
「アギャアス!」
「よしよし、いい返事だ」
ミライドンの背にユウリを乗せて一息つく。多分、ゼクロムレシラムみたいにコライドンの対になる奴だろ。古来の対なら未来で合ってるはずだ。
「…さて、どうするかなあ」
スター団とは、ビワとの対決はまたにすることにして別れたし、まあ一つしかないか。オモダカさんに喧嘩売ってしまったしな。
「アイアール。また旅に出るか」
「…え?」
「え?ってなんだよ。いやなのか?」
「ううん、そんなことは絶対ないよ!」
アイアールの了承は得た。お前ならそう言ってくれると思ったよ。
「なあ、ネモ。ペパー」
「なあに?」
「なんだよ?」
「アイアールと俺さ、ジムバッジ6つで止まってるんだよ。それに、スター団との決着もちゃんとつけたい。だからまた、パルデアを巡る旅二周目に出るけどさ……一緒に旅しないか?」
アイアールとの二人旅も楽しかったが、今回の一件で確信した。今の俺にとってのユウリ、モコウ、ムツキはアイアール、ネモ、ペパーの三人だ。だからこれは、二人になんの得もないわがまま…だけど。
「もちろん!いくいく!言われなくてもついていく!毎日バトルしようね!約束したし!」
「俺とアイアールは行きたいところもあるしな。そのついでだ、ついてってやるぜ!」
「毎日は勘弁してくれ…って言ってもお前は納得したいよな。ああ、いいぜ。それにとびきり強い奴もいるからな!お前も満足するだろ!なにせこいつは、ガラル歴代最強のチャンピオンで俺の好敵手だからな!」
「やっぱり、そんなすごい人だったんだ!」
そう言って親指でユウリを示すと目を輝かせるネモ。呆れるアイアールとペパーがもはや様式美だ。
「ガラルってダンデとかキリエとかキバナとか最強と呼ばれている人間が数多くいる地方でしょ!?異世界とはいえそこの最強で、ラウラの好敵手!?私も本気で戦えるかも!」
「お前を満足させることを約束するよ、こいつもバトルジャンキーだからな」
「それで、まずは何処に行くの?」
「とりあえずの目的地はパルデア西の高台にある街。ベイクタウンだ」
そうして俺達の二周目の旅は始まった。
ラウラ、アイアール、ネモ、ペパー、そしてユウリの旅が始まる。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。