今回はセルクルタウンにて。楽しんでいただけると幸いです。
「ダフネの電話によると期限は一ヶ月らしい。そらとぶタクシーでセルクルタウンに向かい、そこから西へ。ベイクタウンにまず向かう」
ユウリが目覚めた翌日。朝食にペパーが用意したサンドイッチとカレーをみんなで食べてる途中でそう切り出す。ダフネについてはテーブルシティ奪還戦で助力していた俺の仲間と軽く説明してある。
「二周目、そらとぶタクシー使うんだね」
「西へ東へ北へ行ったり来たりするからな。さすがに徒歩はコライドンとミライドンがいても無理だ」
一応ミライドンもコライドンみたくライドポケモンとして移動できると聞いたのでできるっちゃできるんだが、物理的に時間が足りない。
「ベイクタウンは特に過酷なところにあるからな。一番最初に行く」
「直接いかないのはなんで?」
「道中、強いポケモンたちが屯しているらしい。エリアゼロに行くなら強くなった方がいいだろ」
「お、俺も頑張るぜ!」
「うん、私とツキカゲ達も強くならないと」
「私も私も!」
「じゃあ私も!」
「最後の二人はこれ以上強くならないでくれ後生だから」
勝てるもんも勝てなくなるわ。特にユウリ。お前ならポケモンのリアル世界じゃ不可能に近いレベル100も達成できそうだからな。たしかグレイ曰く俺達の世界だとレジギガスしか存在しないんだっけか。そんなことを考えていると口を尖らせるバトル馬鹿二人。
「「えー」」
「えーじゃない、今以上に強くなってどうするんだ」
「そうなったら何時まで経っても追い付けないからね…」
「勝負の世界は世知辛いんだな…」
ペパーの言葉に頷くしかなかった。
俺とネモとペパー、アイアールとユウリ(どっちも俺と二人で乗ろうとするから喧嘩になった)ずつに分かれて乗り込んだそらとぶタクシーで空の旅を送り、セルクルタウンにやってきた俺達。食材を購入しに出かけたペパーと別行動で旅の準備を進めていると、見知った顔に出会った。セルクルジムのジムリーダー、カエデさんとハッコウジムのジムリーダー、ナンジャモだ。
「あらあ。ラウラさんにアイアールさん、久しぶりです~」
「ご無沙汰!奇遇だねラウラ氏、アイアール氏。ネモ氏!」
「カエデさん…はともかくなんでナンジャモまでここに?」
「なんでカエデ氏だけさんづけなのかな?カナ?」
圧を感じる笑顔でナンジャモに凄まれて思わず後退すると、ユウリが前に出てナンジャモを睨み付けた。
「うん?どこかで見た顔だけどナニモノナンジャ?」
「ラウラの配偶者ですけどなにか!うちの嫁をいじめないでください!」
「あらまあ」
「なんと!」
思わず頭を抱える。衆人環視の中で何大声で叫んでるんだ恥ずかしい。
「ラウラさん、結婚してたんですか~微笑ましいですね~」
「激熱ネタ、ゲットだぜ!大人気で話題に出すだけでトレンドに上がるラウラ氏が実は結婚していた!これはバズるぞー!」
「ん"やぁーめぇーろぉぉぉ!?」
思わず肩の人形に手を出された終末主義者の様な悲鳴を上げてしまった。お前いい加減にしないとブッ飛ばすぞナンジャモこら。
「ラウラの夫氏!ネタにしてもいいかな!」
「ユウリだよ。ネタ?なんの?」
「あれ、ボクのこと知らない?配信だよ!ナンジャモの~ドンナモンジャTV!」
「あー、モコウが最近はまってるっていう。いいよ!」
「了承いただきありがとね!……なんて?」
マメパトがタネマシンガンを喰らったような顔をするナンジャモ。そこまで呆けた顔は珍しいな。心底信じられないって顔だな。
「モコたんが?最近?はまった???」
「モコたん?うん、そうだよ…って、こっちではモコウ、モコたんだったっけ。あ、じゃあ違うのかややこしいな…」
「あー、そのだな、ナンジャモ、これはだな?」
このインフルエンサーに異世界云々がばれたら不味いことになりそうなので誤魔化そうと試みる。なんかいい言い訳考えろ俺。
「その言い方…まるでボクの知らないモコたんを知っている言いぶりだけど…」
「あ、そうだ!各地で暴れたポケモンたちをジムリーダーが対処してたと聞いたがそちらは大丈夫だったんですか?カエデさん、ナンジャモ」
カエデさんも巻き込んでそう尋ねる。なんか核心に迫ってるっぽいのはさすがナンジャモだがこれはめんどくさいことになるに決まってる。
「私達は問題ありませんでしたよ~ラウラさんに負けない様に強く育てましたので~」
そう言ってカエデさんが繰り出したのは、以前戦ったヒメグマが進化したもしくはその親なのだろうリングマ。ジムリーダーは本気のメンバーと手加減のメンバーがいるらしいから多分後者かな。
「相変わらず蟲テラスじゃないと目を疑うポケモンですね」
「それはいいっこなしよ~」
「ボクは前にラウラ氏たちがブルーフレア団に襲われたことでこってり絞られてたから真面目に対処したよー。電撃ビリビリデスマッチを生放送したぞよ」
「生放送したのかよ余裕過ぎるだろ」
「真面目とは」
アイアールと一緒にツッコむ。やっぱりナンジャモはパルデアジムリーダーの中でも上位の実力者なんだろうな。俺が以前ピケタウンで戦ったグレンアルマとソウブレイズみたいな暴れる異様に強いポケモンの集団が暴れていたと聞いてるんだが。
「そんなことよりもモコたんの話!ね、ね!踏み込まないからさ、ユウリ氏の知ってるモコたんについて教えてくれないかな?」
「いいよ!モコウはね、稲妻みたいなツインテールで眼帯付けててゴスロリ着てて、かっこつけで
「ほむほむほむ!こっちのモコたんとは違うけど弄れるネタゲットだぜ!」
「やめたげろ」
本人の知らないところであっちとこっちのモコウの致命傷になる情報を言ってやるんじゃあない。あとネモもわくわくするな。お前こっちの世界のモコウに宣戦布告か突撃でもする気だろ。アイツ泣くぞ絶対。
「ナンジャモさん、さすがに疲弊したらしくて私のスイーツで癒されるためにって来てくれたんですけど楽しそうで何よりです~あ、ラウラさん。貴方と会ったら渡そうと思ってたものがあるんですよ~」
「? なんです?」
するとカエデさんが懐をゴソゴソと漁り、何かが入れられた小袋を取り出した。何だろうと思って開けてみると、銀色の粉末が入っていた。
「ぎんのこな…」
「ラウラさん、ナンジャモさんの配信で火力不足で悩んでいた様でしたので~」
「助かります」
いや本当に助かる。持たせると、虫タイプの技の威力が1.2倍になるどうぐだ。入手の仕方が分からなくて困ってたんだ。
「ラウラさんがオモダカさんに勝利して蟲ポケモンがかっこよくてかわいくて美しくて最高で最強なのだと証明する時を楽しみに待っているんですよ~頑張ってくださいね」
「ありがとうございます!」
ぎんのこなをまた包んでから大事にバッグにしまう。戦略が広がるぞ。
「うーん、やっぱりボクとカエデ氏で対応が全然違うなー」
「それはちょっと悪いと思ってる」
「ちょっとかー。悪いと思うならまた配信に出てよね!ボクもみなのものも待ってるゾ!」
「それはことわ……いや、こちらこそ頼む。ただし一ヶ月後で」
配信は蟲ポケモンの素晴らしさを全世界に伝えるいい機会だ。逆に利用する気でいないとダメだろう。
「一ヶ月後でも嬉しいよ!今日は大収穫だぜい!」
「じゃあ俺達はそろそろ。急いでるんで」
「ご武運を~」
「次はベイクタウンのリップ氏かな?相性いいからと油断していると痛い目見るゾ!」
「肝に銘じとくよ」
そうして俺達はペパーと合流し、セルクルタウンを旅立った。目的地はベイク空洞だ。
というわけでカエデとナンジャモの再登場でした。ナンジャモは結構カエデの店に入り浸って食レポしているかオフで楽しんでいるイメージがあります。
ぎんのこなゲットでパワーアップ。できればブルーフレア団と戦う前に欲しかったね。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。