今回は挑戦!喜怒驚楽エクササイズ!楽しんでいただけると幸いです。
ヨーギラスの群れとそのボスであったサナギラスが進化したバンギラスを一蹴したリップさんは、そのまま俺達と同行すると申し出た。コライドンとミライドンに乗る俺達の後ろから念動力でふわふわ優雅に浮いてついて来ている。
「災難だったわね。ブルーフレア団の事件以降、野生のポケモンたちピリピリしてるのよね。強制的に操られて扇動されていたのだから当然よね」
「今パルデアはそんなことになってるのか…」
「特にここは顕著でね。強力なパラドックスポケモンが暴れてみんな気が立ってるのよ。ただでさえ通りがかりに襲いかかってくるのに、そのポケモンちゃんたちをパラドックスポケモンと勘違いして攻撃的になってたのね。なんて種なの?」
「コライドンとミライドンです」
納得した様子のリップさん。ユウリ曰くコライドンとミライドンは正真正銘パラドックスポケモンらしいが今は言わんとこう。
「そんなわけでリップが定期的にパトロールしてるってわけ」
「なるほど…洞窟の戦いに慣れてるんですね?」
「エスパータイプはどんなところでも自由に戦えるのが売りなのよ」
その圧倒的な火力と当時の相性から初代では最強のタイプだと称されていたのがエスパータイプだ。一筋縄ではいかないだろうな。そうして進んでいると、出口らしき光源が見えてきた。
「さあ、もうすぐ出口よ。ここまでくれば大丈夫。リップは先に行ってラウラちゃんとアイアールちゃんの試合の手続きしておいてあげるからさっそくジムテストしてらっしゃいな。黒いジャージの女性が目印、なるはやで急げば間に合うはずよ!リッププロデュース、喜怒驚楽エクササイズに!」
「喜怒驚楽?」
「エクササイズ?」
「なんだそりゃ?」
俺とアイアールとペパーの疑問の声を背に受けながら出口に飛び去って行くリップさん。…まーためんどくさそうなジムテストの気配を感じるぞ。
出口を抜けると草原で、少し進んだところにどこか古めかしい石造りの街が見える。あれがベイクタウンか。
「ここが、ベイクタウン…」
「皿で有名な街だな」
「ようやくついたね!それにバッジ6つ集められるの一割もいないんだよ。ラウラとアイアールは凄いね、さすが私の見込んだトレーナー!」
「ラウラはそれぐらいできて当たり前。でもムツキが四天王になった時に調べたけど、興業が根強いガラルより実力主義で厳しいんだっけ」
「ガラルのジムリーダーもアホみたいにレベル高いけどな」
「へー、戦ってみたいなあ!」
楽しそうなネモ。主にネズさんとキバナとキリエさんだなあ。あの三人は別格だった印象がある。コライドンとミライドンから降りて観光することにしたらしいユウリ、ネモ、ペパーと別れて俺とアイアールは街の様子を見ながら黒いジャージの女性を捜していると、奥の方にひとだかりを見つけた。その中心にはチャーレムを傍らに連れた黒いジャージの女性…ってあの人は。
「キハダ先生!?なんで!?」
「ようこそ転入生コンビ!喜怒驚楽エクササイズ会場へ!リップから話は聞いているぞ!」
「なんでオレンジアカデミーのバトル科のキハダ先生がジムのインストラクターをしてるんですか?」
「ジムリーダーのリップと私は子供の頃からの付き合いでね。負けた方が勝った方の言うことを聞くってルールでポケモン勝負してそれでごにょごにょ……」
ああ。たしかキハダ先生はかくとうタイプメインだったか。エスパータイプ使いのリップさん相手じゃ厳しかったか…
「なんかユウリみたいな奴だな」
「えっ、そんなえっちなことをユウリとしてたの!?」
「えっち言うな。一度も負けてないから問題ない」
一対一だから負けてなかったが負けたらどんな命令されてたのかと思うと怖いが。
「…ま!体つくりにもなるし授業が無い時に手伝っているというわけさ!エクササイズのルールは簡単!私が指示するからその動きをするだけだ!チャーレムの動きを参考にするといいぞ!それでは始めるぞ、相棒ポケモンを繰り出せ!心と体の準備はいいか!?」
言われてレクスとツキカゲを繰り出す俺達。それを確認するとキハダ先生は大きく笑顔で頷いた。
「それではレッツ!エクササイズ!感情を爆発させてくれ!」
「へ?」
その言葉に嫌な予感がしたんだ。
「プンスカ!怒って!!」
「はい!」
「え?え?」
「最高の喜びを表現!!」
「はい!」
「ん?こう?か?」
「ビックリ仰天!驚くよ!!」
「わあ!」
「待ってちょっと待って」
「思いっきり驚いて!!」
「うひゃあ!」
「二回連続!?」
「めいっぱい!喜んで!!」
「はい!」
「どう表現すればいいんだよ!?」
「全身で!驚きを!!」
「おわあ!」
「いや、無理…凄い無理…」
「心の底から!楽しめ!!」
「わーい!」
「楽しめるかあ!」
「エクササイズを楽しんで!」
「はい!」
「二回連続やめろマジで!?」
「フィニッシュだ!」
チーン。という擬音が似合うほどに、俺は倒れ伏していた。いや無理、精神的に無理……なんでそんな感情抱いてないのに演じないといかんのだ……あとなんでアイアールは全部文句なく対応できてるんだよ…。
「アイアール!筋がいいぞ!そしてどうしたラウラ!全然なってないぞ!これではクリアはやれないな!」
「なん……だと………!?」
わりかし真面目に絶望した。嘘だと言ってくれよバーニー……その後、もう一セット繰り返して結局アイアールだけが合格した。俺はめでたく二周目やることになった。解せぬ。
ラウラは合理的タイプなのでこういうのは大の苦手です。羞恥心に負けるタイプ。蟲好きを公言するのとはわけが違うのだ。
というわけで次回はアイアールVSリップとなります。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。