今回はラウラVSリップ。楽しんでいただけると幸いです。
「や、やっとクリアした……」
チーン、という擬音が再び似合うぐらい俺は地面に顔から突っ伏していた。一緒に踊ってたレクスがぽんぽんと背中を撫でてくる。やだ優しい、惚れそう。…やべえ、情緒不安定だ。もうやだ、絶対二度とやりたくない……。七周したぞ…途中からバトル終わったアイアールや見物を終えたユウリにネモにペパーにまで見られるしもういやだ。蜘蛛みたいなどこぞのクソ野郎でもいいから救い求めたくなったぞ今畜生。
「よく頑張ったなラウラ!文句しかないがまあ合格だ!…なんであそこまでぎこちなくしか表情を変えれないんだ?」
「強制されるの苦手なんですよ…」
「なんにしてもリップへの挑戦権を得られたぞ!早速バトルして来い!リップのエスパータイプのポケモンたちは強いぞ!得意なタイプだろうが油断しないことだな!」
そう言ってキハダ先生に送り出された俺はその足でバトルコートのある建物に向かっているとアイアールたちが駆け寄ってきた。
「大丈夫?ラウラ」
「大丈夫じゃないな。よくお前はできたなアイアール」
「多分ラウラ以外みんなできると思うよアレ」
「陽キャのお前と一緒にするなユウリ」
「そんな調子で大丈夫!?ちゃんとバトルできる!?なんなら私とバトルして調整する?」
「なんとかするからすぐバトルに誘うなネモ」
「ペパー特性からスパイス入りカレーサンドイッチ作ってきたぜ!こいつで元気出せラウラ!」
「サンキュー、ペパー」
一枚のパンを折ってそこにスパイシーなカレーを挟んでいるカレーサンドイッチをマジで元気でた。アイアールとペパーはサンキュー。ユウリとネモはちょっと反省しておけ。今の精神状態で相手するのマジで疲れるから。バトルコートのある建物の屋上までやってくると、忙しいのかスマホロトムを耳に当ててどこかと通話しているリップさんがいた。こちらに気付いて輝く笑顔を見せる。
「はい、はい…ではその通りに。あ、やっと来たわねラウラちゃん。おはようございまーす。私の喜怒驚楽エクササイズはお気に召さなかったみたいね?キハダちゃんに聞いているわ」
「それは本当にすみませんけどマジで恨んだぞ」
「砕けた口調のラウラちゃん素敵ね。可愛いわ」
「…この鬱憤、バトルで晴らすから覚悟しろリップさん」
「いいわ、ラウラちゃんたちの美しさ見せて?」
▽ジムリーダーの リップが 勝負を しかけてきた!
「美しく飾り立てなさい!リキキリン!」
「行くぞ、ダーマ!」
リップさんはキリンリキ……に似てるけど尻尾と首が一体化している様なポケモン、リキキリン。俺はワナイダーのダーマ。キハダ先生はあんなこと言ってたが負ける気しないぞ。
「アイアンヘッド!」
「スレッドトラップ!」
首をスイングさせ勢いを増した鋼鉄と化した頭突きを、スレッドトラップで受け止めて糸に巻いて締め上げる。ワナイダーは世間じゃ弱いポケモンと侮られているがとんでもない。人に近いサイズの蜘蛛が弱いわけがないんだ。するとリップさんは手で四角を作りファインダーの様にしてこちらを見てくる。
「あなたたち、とってもいい素材。気付いてないかもしれないけど喜怒驚楽エクササイズで嫌な汗が流れてより美しくなってるのよ?次はどんな魔法をかけようかしら?」
「余計なお世話だ!俺に美しさは不要だ。蟲ポケモンのかっこよさ!かわいさ!そして美しさを証明するだけだ!」
「すごくゴイスーよ貴女!気に入ったわラウラちゃん!その自分の信じる芯の貫き方!本当に美しいわ!しねんのずつきよ!リキキリン!」
「なっ!?」
すると縛られたまま念動力で無理矢理に首を振り回し、ダーマはしがみ付いて大きく左右に揺られる。そんなのありか!?
「エスパーは時に強引に。それは美しく恐ろしいものなのよ」
「それは奇遇だな。蟲はしたたかに獲物を仕留める恐ろしさを有しているんだ。いとをはくだ!」
振り回された勢いのまま、糸を伸ばして大きく距離を取るダーマ。そのままスレッドトラップに糸をくっつけて勢いを利用してきつく縛り上げ、はいよるいちげきの挙動を利用して頭上の支柱に宙返りしながら糸をかけて背後に降り立ち、吊り上げる様に締め上げてリキキリンの首を持ち上げる。
「なっ…!?かみくだいて糸を…!」
「もう遅い。必殺!スレッドマフラー!」
ぶくぶくと泡を吐きながら気を失い崩れ落ちるリキキリン。考えていたダーマの昇華技その二「スレッドマフラー」。いとをはくとはいよるいちげきの昇華技だ。ダーマの弱点である火力の低さをカバーするエグめの必殺技だ。元は某必殺仕事人である。
「なんてこと……リキキリンがこんな方法で敗れるなんて。もしかして喜怒驚楽エクササイズ…思ったより怒ってる?」
「ちょっと頭に来てるな。ブルーフレア団のボスと戦った時よりどす黒い感情に飲まれてるかもしれん」
「それはちょっと想定外…体と心をリフレッシュるためのもののはずなんだけど。なら私も、本気の手持ちを出させてもらうわ。全てを美しく断ち斬りなさい、エルレイド!」
そう言って繰り出されたのはエルレイド。糸で勝負するのはちょっとまずいか…?いや、ダーマなら行ける!
「いとだまバルカン!」
「無駄よ。リーフブレード!」
糸玉の弾丸を連射するダーマだったが木の葉が散り、一緒に切り刻まれる。切り刻んだ先から糸が刃に絡み付くが、何かが弾けて糸がほどけてしまう。
「サイコカッター……明らかに相性悪いのに突っ張る理由を考えたら、技になにかあると考えるのは当然よね?」
「念動力を刃に纏っていたのか…」
「本来は中距離を攻撃する技だけど纏うこともできるのよ。シザークロス!」
「いとをはく!」
桃色に淡く輝く両腕の刃を交差して振るい、X字の斬撃を飛ばしてくるエルレイド。いとをはくで空中に逃れスイングするダーマだったが、次々とX字の斬撃が飛んでくる。スレッドマフラーする余裕もない、真っ向勝負しかないか。
「背後を取れ!はいよるいちげきだ!」
「リーフブレード」
完全に背後を取り死角を突いた一撃だった。俺の指示でリップさんが反応できるとしても、反応する前に仕留められるはずだった。想定外。…いや、俺はそれを知っていた。
「エルレイドの刃は背後にも伸ばせるのよ?知らなかった?」
「……ポケスペプラチナ編のコクランのエルレイド……」
エルレイドの肘から伸びた刃がダーマの胸部を貫いていた。全く同じ光景を見たことがある。まさか、リップさんがそれをしてくるとは思わなくて油断していた。相手はエスパータイプのエキスパート、エスパーポケモンの事を熟知していて当たり前なのに…!
「インファイト!」
貫いたまま振り返ったエルレイドの怒涛の攻撃がダーマを叩きのめし、なすすべもなく滅多打ちにされ崩れ落ちるダーマ。戦闘不能だ。
「よくやったダーマ。…エルレイドと戦えるのはお前だけだ、頼むぞジャック!」
目には目を。歯には歯を。斬撃には斬撃を。こちらの斬撃のエキスパート、バサギリのジャックの登場だ。ギャラリーが多いのを言いことに岩斧をブンブン振り回し、ビシッとポーズを決めるエンターテイナーの姿に、エルレイドが怯む。いいぞその調子だ。
「その子の強さは知っているわ。一気に仕留める!サイコカッター、インファイト!」
「れんぞくぎりで防げ!蟷螂制空圏だ!」
念動力の刃をインファイトの勢いで撃ち出してくるエルレイドの攻撃を、連続で空を斬り裂いてまるで斬撃のドームを作るように迎撃するジャック。シュウメイ曰く斬撃と素早さを合致させた刃の
「がんせきアックス!」
「リーフブレード!」
そして蟷螂制空圏で防ぎながら近づいたジャックのがんせきアックスを刃で受け止めるエルレイド。鍔競り合う両者は、そのまま一瞬退いて連続で斬撃をぶつけ合う。勝負はここからだ…!
新昇華技「スレッドマフラー」登場。ワナイダーに絶対似合う技。やってることはかなりえぐいです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。