今回はラウラVSリップその2。楽しんでいただけると幸いです。
「がんせきアックス!」
「リーフブレード!」
ジャックとエルレイドの刃のぶつかり合いは続く。体格差もあるのになんて奴だ。念動力でパワーをアシストしているのか、厄介な。攻撃力を上げるか。
「ジャック、つるぎのまいだ…!」
「隙ありよ。エルレイド、インファイト!」
「くさわけで突っ込め!」
いったん距離を取りつるぎのまいで火力を底上げしようとしたジャックに、ググッと構えて突撃してくるエルレイド。咄嗟に俺はくさわけによる突撃を指示、ジャックは指示の切り替えにもちゃんと応えてくれてインファイトが完全に発動しきる前に懐に飛び込んで行動を妨害する。
「がんせきリッパー!」
「っ!?リーフブレード!」
地面を蹴ったジャックが高速で右、左と動いて斬撃を叩き込み、エルレイドはそれに合わせて両腕の刃を伸び縮みして対応。しかし背後を取ってとどめ、までがセットの昇華技だ。最後に真後ろから両腕の岩斧を高速で横に振るい、斬撃を胴体に叩き込んで居合が如く残心するジャック。そして、エルレイドは膝から崩れ落ちた。戦闘不能だ。
「…リップの本気のポケモンがまさか負けるとはね。ラウラちゃんには純エスパータイプのクエスパトラは不利ね、貴方に決めたわサーナイト!」
リップの三匹目はサーナイト。蟲ポケモン相手に出してくるってことはやっぱり、マジカルフレイムは確実にあるな。ビートを思い出す。
「行くぞ、レイン!」
対して俺はジャックを戻してレインを繰り出す。喜怒驚楽エクササイズをしていた時に偶然見えたんだ、恐らくアイアールと戦っていた際に高速で宙を舞う火球の雨を。恐らくサイコキネシスでマジカルフレイムを自在に操るのだろう、難敵だ。水技があり、あれを振り切れる機動力を持つレインで勝負するしかない。
「むしのさざめき!」
「マジカルフレイム。サイコキネシス」
ポンポンポンと音を立てながら出現、サーナイトの掌の上でクルクルクルと輪を描いて宙を舞う四つの火球のひとつがむしのさざめきとぶつかって相殺、広がった爆炎の中から残り三つの火球が飛び出してくる。
「バブルこうせん…にエアカッター!」
それに対して俺はバブルこうせんを撃たせてからそれをエアカッターで引き裂いて泡を破裂させ、内包している水でマジカルフレイムを打ち消そうとするが水に触れても全く勢いを衰えずに飛んでくる火球三つ。嘘だろ、サイコキネシスでカバーして水を弾きやがった!?
「いい作戦だったけど残念ね!エスパーに雨は通らない!」
「でんこうせっか!空に逃げろ!」
太陽が上がってきた上空に向けて超加速して上昇するレイン。それを追いかけて行くマジカルフレイム。
「エアカッター!」
「無駄よ!サイコキネシス!」
上昇しながらエアカッターで迎撃を試みるも、サイコキネシスで軌道修正されて全弾回避するマジカルフレイム。やっぱり駄目か、ならこのまま決めてやる!
「レイン、わかってるな?でんこうせっか!」
「なにを…!?」
するとレインは太陽を背に急降下、マジカルフレイムの横をすり抜けてサーナイトに突撃する。それを追ってくるマジカルフレイム、しかしレインを見上げて太陽の逆光で目を瞑るサーナイト。狙い通り。その隙が命取りだ!
「いけえ!」
「しまっ……」
逆光で怯んだところに体当たりし、すぐさま離脱したレインを追いかけてきたマジカルフレイムが全弾サーナイトに直撃、炎上させる。この絶好のチャンス、ものにしなきゃ嘘だ。
「むしのさざめき!」
「前よ!サイコキネシス!」
レインの最大火力と、サーナイトの時にはブラックホールすら生み出すと言う念動力が同時に放たれ、同時に炸裂。耐久力がそんなにないレインはもとより、マジカルフレイムのダメージもあってサーナイトも崩れ落ちる。ダブルノックアウトだ。
「倒しきれなかったか…」
太陽が出てくるのがもっと早ければ昇華技のむげんほうようも選択肢に入ったんだけどな。光の三原色を使う都合上、太陽が無いと使えないのが弱点過ぎる。それぞれボールに戻し、俺は再度ジャックを繰り出す。レクスは切札だからな。
「ラウラちゃん…想像以上よ。あなたってとってもトイシブなのね」
「といしぶ?」
「ちゃあんとクレンジングしなくっちゃ。フラージェスちゃん!」
そして繰り出されたのはくさ・フェアリーだった気がするフラージェス。もういい加減驚かないぞ。取り出されたテラスタルオーブからの輝きが、フラージェスを結晶化させていく。こちらはまだ切らない。ジャックがしたところでくさテラスだしな。
「フラージェスちゃん、今度こそお色直しよ!新しい自分に生まれ変わって!」
頭部に冠するは巨大な単眼の様な紫色の結晶。あれがエスパーのテラスタルか。アイアールのヒナがひこうテラスだったから何気に初だな。
「ジャック、相手は切札だ。倒せばかっこいいぞ」
目立ちたがりのジャックのやる気を上げるのも忘れない。エスパータイプ単体になったなら話は速い。一気に行くぞ!
「れんぞくぎり!」
「女の武器は愛嬌よ。あ・ま・え・る♪」
瞬間、両手を重ね合わせて目配せするフラージェスに、ジャックの岩斧の勢いが弱まる。不味い、攻撃力をガクッと下げられた!
「なっ…!?」
「飾り立てるのも時には大事。はなふぶき」
花束の様なその身体から爆発するかの如く花弁を放出してその姿を隠すフラージェス。ジャックは花弁に包まれながら闇雲に岩斧を振るうが当たる筈もなく。
「女は度胸なのよ!サイコキネシス」
さらにはあまえるで勢いの衰えた岩斧はサイコキネシスで完全に勢いを殺されてその手で優しく受け止められ、もう片方の手を頭上に掲げるフラージェス。
「時には大胆に、ね?ムーンフォース」
そして出現した月の幻影に押し潰され、戦闘不能となるジャック。あまえるでこっちの攻撃力をガクッと下げて無力化、はなふぶきで姿を隠し、サイコキネシスで確実に動きを止めてからのムーンフォース。凶悪コンボだ。昇華技と呼んでもいいかもしれない。俺は肩を震わせながらジャックをボールに戻す。エスパータイプのエキスパートに蟲ポケモンたちが追い込まれるのは中々に悔しいな。
「待たせたな…行くぞ、レクス!王の威光を見せつけろ!」
真打登場。エクスレッグのレクスを繰り出す。お前も喜怒驚楽エクササイズで鬱憤溜まってるだろ。一緒に、やってやるぞ。…え?俺が手間取ったせい?なんのことだか、知らんな。
「じごくづき!」
「自身にサイコキネシスよ」
一跳躍で接近し、真っ直ぐ叩き込んだ脚を自分にサイコキネシスをかけて浮遊することで横に回避するフラージェス。レクスは次々と脚を入れ替えながら連続でじごくづきを叩き込んでいくが、当たらない。
「はなふぶき」
「こうそくいどうで外に離脱しろ!」
ブワァと広がる花弁から、こうそくいどうで範囲の外に出ることで逃れる。あのまま接近されていたらあまえるをされていて危なかった。あまえるは強力だが、現実のバトルでは近い距離じゃないと効果を発揮しない。遠くで甘えられても効果があるわけがないからだ。
「はなふぶきをサイコキネシスで操って!」
「う、上に逃げろ!」
サイコキネシスで花弁一枚一枚を操って勢いよく殺到させてくるフラージェス。レクスは跳躍して逃れようとするも全身を切り刻まれてしまう。
「テラスタルせずにあくタイプでいることでサイコキネシスを攻略したつもりだったみたいだけど、直接当てなきゃいいのよ。落ちてきたところにムーンフォースでフィニッシュ。美しく散りなさい!」
「…良いダメージを与えてくれたな。ムーンフォースで一撃で仕留めなかったのは悪手だぞ」
「え?」
不敵な笑みを浮かべた俺に困惑の声を上げるリップに、テラスタルオーブを突き付け輝かせる。フラージェスの頭上で満身創痍のレクス、このタイミングしかない。
「今こそテラスタルだレクス!さらにむしのしらせで最大火力だ!とびかかる!」
そして空中から急降下。最大火力の飛び蹴りをフラージェスに叩き込んで蹴り飛ばすレクス。フラージェスは床に叩きつけられ、その衝撃でクレーターが刻まれパキン!と音を立てて結晶が罅割れ砕け散る。戦闘不能だ。
「俺は証明する。蟲ポケモンはかっこよくて!かわいくて!美しくて!最高で!最強なのだと!!」
俺は両手をかかげて、呆気にとられているギャラリーに向けて宣言する。これは、記憶を取り戻してから初めての、改めての誓いだ。
「…諸君!俺…私、ラウラは蟲が好きだ!蟲ポケモンが好きだ!愛している!だからこの愛を以て、ジムバッジをすべて集めてトップチャンピオンを倒すことで蟲ポケモンの全てを証明してやる!」
待ってろ四天王。待ってろオモダカさん。そこに行くまで、あと一歩だ。
できるだけ昇華技を使わずどこまでいけるか書いてみました。アイアールに瞬殺されたフラージェスも面目躍如できたかな?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。