ラウラVSチームカーフ。楽しんでいただけると幸いです。
なんか旅が始まってから3年以上かかってる気がする最後の目標、スター団かくとう組のアジトが見えてきた。山岳の中の中腹の竹林、北2番エリアに存在するそこは、バリケードも相まって天然の要塞の様になっていて。しかも、わかりやすく大量のスター団したっぱが配置されていた。
「あそこがそうなの?」
「ああそうだ。もうブルーフレア団は潰したから関係ないんだが、カシオペアの問題を解決するためにも、俺はあそこで」
「スター団を倒す、だよね!」
「いや、スター団ボスになるためにビワを倒して認めてもらう」
「「???」」
サニアとアイアールの問いかけにそう答えると、まるで宇宙を背負ったニャオハみたいな顔になる二人。最近動画撮影のために勉強してるから知ってるぞ、ミームってやつだろ。
「まあいい、二人はここで見ててくれ。例のもの、頼んだぞ!」
崖を滑り落ちて竹林に突貫する。蔓延る強豪ポケモンを擦り抜け、最短距離でバリケードに迫る。ワイルドエリアを抜け、ドラピオンと三日三晩やり合った脚だ、この程度切り抜けられなくてどうする!
「たのもー!ビワ!来たぞ!」
「来たね、ラウラちゃん…!」
バリケードの前で声を張り上げると、スター団のしたっぱの女子生徒一人を連れたビワが出てきた。その顔は、初対面の追い込まれてた感じではなく吹っ切れたように見える。
「ビワちゃん、本当に大丈夫?私が少しでも時間を稼ぐよ…?」
「大丈夫、心配しないでタナカちゃん。むしろ私、滾ってるの。だって、ラウラちゃんはスター団と初めて真正面から向き合ってくれている人なんだもの!」
タナカちゃんと呼ばれたしたっぱ生徒はその言葉に頷いてビワの背後に控え、ビワは俺と向き合う。
「改めて、スター団チームカーフのボス、ビワだよ。一応、規則だから団ラッシュはしてもらうけど、いいよね?」
「カチコミだろ?今回団ラッシュ中の俺の方は一匹だけでいいぞ」
「それは、スター団を侮ってる?それとも手加減?」
「いいや。実力を示すためだ。お前たちにも、どこかで見ているマジボスにもな」
連絡すらしてこないことを見るに、こちらのやりたいことは割れていると見ていい。ネルケは……まあいいか。
「詳しくはオルティガくんから聞いてるけど、いいね。やれるもんならやってみてよ!みんな!全力でラウラちゃんを叩き潰しちゃえ!」
「「「「「おおー!!!!」」」」」
ビワの呼びかけに、バリケード前に集合しタナカが合流したスター団が吠えて散っていく。それに対して俺はレクスだけを出して屈伸、背伸び運動する。相棒一匹とどこまでやれるか……スター団最強と名高いチームカーフを相手に試してみよう。ビワが悠然と中央を歩いて奥まで引っ込むのを見送り、俺達は駆けだした。
「行くぞ、レクス!ゴングを鳴らせ!」
「!」
「“こうそくいどう”!」
ゴングを蹴っ飛ばして盛大に鳴らし、その脚力で駆け抜けて、先鋒のタイレーツとパーモットを変形させた長い脚で薙ぎ払うレクス。そのまま突進してきたハリテヤマの顎をハイキックで蹴り抜き、脳震盪させてひっくり返し後に続くかくとうポケモンたちを押し潰す。
「“かかとおとし”!」
「「「うわああぁああああっ!?」」」
飛び掛かってきたキノガッサの頭頂部を叩き潰し、衝撃波で近づいてきていたオコリザル・チャーレム・ドクロッグを連れたスター団を纏めて蹴散らす。練度が高いな、ほとんどが最終進化系とは恐れ入る。あちらも本気ってことだよな!
「蟲ならひこうが効くよなあ!カラミンゴ、“ブレイブバード”!」
「あなたには高さが足りまセーン!!ルチャブル、“フライングプレス”デース!」
カラミンゴとルチャブルを連れたスター団が崖上からスーパーヒーロー着地して現れ急襲する。お揃いのマントを身に着けたルチャリブレかぶれのほうは大丈夫そうだがカラミンゴの主っぽい方、足がプルプルしてるけど大丈夫か?
「すばやく!“じごくづき”!“じごくづき”!」
空からの急襲に対し、敵の勢いに合わせて“早業”の“じごくづき”で急所に的確に蹴りを叩き込みダウンさせる。……と思っていた。
「私達だって、スター団デース!綺羅星の如く輝け!ルチャブル、メガシンカ!」
「…ほう?」
倒せていたのはカラミンゴだけで、ルチャブルはシンプルに耐えていた。さらに、マントを付けたルチャリブレかぶれのスター団が足に身に着けたメガアンクレットを光り輝かせ、俺の知らないメガシンカしたルチャブル……メガルチャブルが降臨する。それは、面白いな!
「ルチャブル、“かわらわり”デース!」
「負けるなレクス!すばやく!“とびかかる”!」
両手を光らせたメガルチャブルが飛び掛かり、レクスは“とびかかる”を利用して回避しながら、連続で飛び蹴り。メガルチャブルは輝く両手で弾いて相殺してみせる。
「“フライングプレス”!」
「“かかとおとし”!」
そんなメガルチャブルの全力を込めた“フライングプレス”……というかフライングクロスチョップに対し、レクスは右足を高く振り上げて叩きつけることで対抗。衝撃波が飛び交う、中で。奥からパルデアケンタロス……通常のと炎のと水の三匹に乗ったスター団の男女三人が一列に並んで突進してきた。
「ルッチャが時間稼ぎしている今がチャンスだ!ケンタロス!」
「ケンタロス!いっけー!」
「俺達三人と三匹の!」
「「「ジェットストリームアタックだあ!」」」
「おわっと!?」
そうだった、これは団ラッシュ。一対一では断じてない。レクスはたまらず俺を抱えて大きく跳躍し、三属性の“レイジングブル”をギリギリ回避。しかし、空中も安全ではない。
「通すな、ケケンカニ!“ゆきなだれ”!」
「エルレイド!“サイコカッター”だ!」
「すばやく!“とびかかる”で回避しろ!」
ケケンカニの放った雪の塊と、エルレイドの飛ばした念動力の刃が襲い掛かり、咄嗟に飛び蹴りさせて回避。しかし地上では、再び跳躍して舞い上がったメガルチャブルと、ケンタロストリオが迫る。これは、まずいな!
「一匹だけで勝とうなんて舐めた真似、前言撤回させてやる!」
「あんたのフルメンバーはギャラドス並みの暴れっぷりで勝てないけどね!」
「俺達にだって意地はある!」
「私達だって、スター団なんだから!」
「いじめられっ子を舐めんなよ!」
「私達が、勝ってみせマース!」
一斉攻撃。これはたまったものじゃない。レクス一匹で勝つのは、無理か。
「そうだよな。これは、スター団全員の戦いだ。みんなでマジボスにいいところ見せろよ?お前たちに敬意を表して、今から本気出すぞ…!」
レクスを戻す。繰り出すのは、エスパーの力を宿した俺の今のチームの縁の下の力持ち。
「ケプリべ。昇華技行くぞ!“ばんしょうマリオネット”!」
ナッペ山のケケンカニ戦で披露した、海水や砂岩、氷雪など操れる物体を好きな形に変形させて操る“じんつうりき”と“じこあんじ”の合わせ技。作り上げたのは、地盤や岩を持ち上げて形成した茶色の巨大な蜘蛛。
「万象操演、岩石蜘蛛。蟲を、舐めるなよ!」
もはや怪獣であるそれで、ケンタロス軍団を蹴り飛ばし、ケケンカニを踏み潰し、エルレイドの斬撃をものともせずに薙ぎ払う。しかしその八本脚の猛攻を、軽やかな身のこなしで避けて真下を駆け抜ける影。メガルチャブルだ。
「本体を倒せば関係ないデース!」
「そうだな。道理だが、これも道理だ。操るのをやめればどうなるか」
「しまっ……逃げるのデース!ルチャブル!?」
しかし“ばんしょうマリオネット”を止めた瞬間崩れ落ちて岩雪崩となった岩石蜘蛛に押しつぶされ、メガシンカが解けてルチャブルは目を回す。これで、全部かな…?砂埃に紛れて、ずんずんと歩いて近づく影が見えた。
「人のアジトを好き勝手荒してくれたね?」
「悪い。不可抗力だ。だが、蟲一匹で勝てる程お前の部下は弱くなかった」
そう告げると、ビワは嬉しそうに不敵に笑う。
「当然だよ。私が毎日鍛えているみんなだもの。さあ、やろうか!ルールは4VS4!いざ、勝負!」
「始めようか、スター団の夜明けを!」
星が見えるのは、なにも夜だけではない。
環境が良ければしたっぱだって強くなる。
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