今回はスター団カチコミ直前。楽しんでいただけると幸いです。
「しかしペパー、バッジ造り上手だな。カエデさんからもらったジムバッジと見比べても相違ないぞ」
「料理が趣味って言ってたし手先が器用なんだろうね」
そんな会話をしながら洞窟の外に出るといつの間にか夜になっていた。結構長居しちまったな。
《ロトロトロトロト……》
「うん?アイアールのか?」
「うん。誰かな」
《「ハロー、アイアール。そしてラウラ。こちらオーリム」》
アイアールのスマホロトムから聞こえてきたのは知らない声。
「オーリム?」
「うん、コライドンの本当の主人の博士だよ。エリアゼロでポケモンの研究してるんだって」
《「ラウラは初めましてだね。君の強さは把握している。まだ戦えないコライドンをその強さで支えてやってほしい。記憶を取り戻す足がかりにもなる筈だ」》
「あんた、俺の記憶について何か知ってるのか…!?」
聞き捨てならない言葉に思わず問いかけるもオーリム博士は無視して続けた。言うつもりはないってか。
《「それで、こちらでも検知した。コライドンが本来の力をひとつ取り戻したようだな」》
そうなのだ。にがスパイスサンドウィッチをアイアールからもらったコライドンは食べるなり何か強化されていたのだ。例えるならバトル中のビルドアップみたいに。
《「ライド状態であれば水上でなみのり移動も可能になったようだ。コライドンはなみのり中でもジャンプができる、水上のポケモンの捕獲も容易となるだろう」》
なみのりといえばひでんマシンとか自転車が必要な気がしたがコライドンもできるのか。すごいな、と素直に感心する。
《「その調子でコライドンと共にパルデアの広大な大地を駆け巡り冒険を続けてくれ。きみたちの旅に決められたルートはない、地図を参考に君達自身の目的を発見したまえ。好奇心のままにいくのもいい。使命を感じ取っていくのもいい。気ままに探索もいいだろう。様々な経験が君達を大きく成長させるはずだ。引き続きコライドンをよろしく頼んだよ」》
そう言って電話を切ったオーリム博士だったが、なにかを思い出したのかもう一度繋げてきた。
《「ああそうだ、もうひとつ。青いサングラスの一団には気を付けたまえ。見つけても近づかないことだ。コライドンを失いたくなければな」》
「それってどういう……あ」
「…今度こそ切れたな」
青いサングラス……そう言えばテーブルシティを見て回った時に青い壁のカフェに青いサングラスをかけた一団が入って行ったのを見かけた気もするが……スター団やサニアのことが衝撃的過ぎて忘れていた。あれが関係しているのか?
「…とりあえず、山を下りようか。次はカラフシティかな?」
「あ、いや。ちょっと頼まれごとがあるから別行動したい。いいか?」
「わかった。じゃあカラフシティで先にジムリーダーに挑んでいるね」
そう言ってアイアールはコライドンに乗って去って行った。…さて、山越えしてスター団あく組とやらのアジトに向かうか。
「頼むぞダーマ」
ダーマを繰り出して抱えてもらい、山肌に糸をくっつけて乗り越えて行く。迂回するよりこっちの方が速いからな。
「ダーマの空中移動、慣れておいた方がいいな…!」
ブランブランと揺られて吐き気がしながらもなんとか反対側の麓に降り立つ。ふう、このまま進めばスター団アジトだな。うん?
「あら、ラウラさんじゃない。こんばんは。いい子にしてる?」
「マトイ先生。毎度言ってきますけど俺がいい子にしてるように見えるなら目の病気だ」
「あら、心配なだけなのに。それと、先生じゃなくて私はただの司書よ?」
スター団あく組アジトのある道から歩いてやってきたのは、先端に行くほど銀色なグラデーションが綺麗な蒼色のロングヘアーと少し暗い赤いツリ目の持ち主の、誰からも好かれそうな雰囲気をした大人な雰囲気の女性。大人の女性らしい青いパンツスタイルの服装に、白コートを着ている彼女の名はマトイ。オレンジアカデミーの司書だ。確か歴史の教師のレホール先生の大親友の考古学者だったか。モスノウを連れている。いいセンスだ。
「こんなところでなにを?」
「ここらへんに
「ははあ」
「興味なさそうって顔ね」
「俺、蟲ポケモンにしか興味が無くて…伝説だろうと欲しくはないです。そのモスノウ、いいですね。懐いている証だ」
「あら、わかるかしら?私もみずとこおりタイプのポケモンが好きなの。特定のポケモンに対する愛、タイプは違えど……貴女の心意気は素晴らしいわ。きっと強くなるわね。じゃあまたね、読みたい本があったら探してあげるからいつでも来るのよ。フィールドワークでいないかもしれないけどね?」
そう微笑んだマトイさんはモスノウを引き連れて去って行った。うん?電話だ。
《「…カシオペアだ。スター団のアジトが近いな」》
「ああ。協力させてもらうよ、スター団壊滅」
《「ありがとう。これであなたも同志……スターダスト大作戦を決行するメンバーだ」》
「ちょっと待ってくれ」
「誰だ!?」
後ろから話しかけられて、咄嗟にダーマに構えさせる。スター団の誰かだと思ったが、予想外の人物がそこにいた。
「なあその話。俺にも噛ませてくれないか?」
《「誰だお前は」》
「え。こ、こう……!?」
そこにいたのはリーゼント頭と眼鏡が特徴のちょいワル風の、アカデミーの制服を着た初老の男性。というかクラベル校長。あまりの衝撃に固まる。なにしてんだアンタ一体。
「俺はネルケ。オレンジアカデミーの学生さ」
「いやネルケじゃなくてこ…」
「ネルケだ」
「お、おう」
ごり押してくるので黙ることにした。わかったから顔を迫らないでくれ。怖い怖い。
《「ネルケと言ったか…いつから聞いていた?」》
「おいおい。警戒すんなって。俺はコイツの連れだ。そうだよなラウラ?」
「え」
「おいおい、相変わらずシャイな奴だな!」
笑顔で肩を叩かないでください。何なんだこの人。
《「スター団を相手にするんだ。これは遊びではないぞ。わかっているのか?」》
「わかっているさ……俺も団とは色々あるんだ。自分で言うのもなんだがいい仕事するぜ?」
《「……わかった。あなたも同志として迎えよう」》
「決まりだな。それでカシオペアさんだっけか。あんたは何者なんだ?」
それは確かに気になってた。無言で耳を傾ける。
《「…わたしカシオペアはスター団の元……関係者とだけ言っておく。それではさっそくスターダスト大作戦の説明だ」》
「具体的にどうするんだ?」
《「近くにバリケードがあるな?その先こそスター団のアジト。奥にターゲットであるチームのボスがいるはずだ。実は既にラウラの名で各アジトに宣戦布告してある。つまり私達はスター団に喧嘩を売ったわけだ」》
「やってくれるな。どう足掻いても巻き込ませるつもりだったわけか」
《「…すまない。だがスター団には掟がある。ボスは売られたケンカは必ず買わなければならない。そして買った喧嘩で負ければボスを引退しなければならない」》
「…なるほどな。それで宣戦布告か」
わかったのかネルケ!俺はチンプンカンプンだぞ。
《「つまりだ。ラウラがスター団アジトに乗り込んでチームを纏めるボスを倒し、その座から下ろすことでチームを解散させる。ボスを失ったチームは統率を失い自然消滅するだろう。だがスター団は数も多く、アジトの中を警備している。並みのトレーナーではボスの元に辿り着くのも難しい。だからこそラウラと手を組ませてもらった。私は表立って行動できないため遠くからサポートさせてもらう。すまないな」》
「俺は何をすれば?」
《「ネルケはすまないがまだ完全に信用できない。アジト周辺の監視とラウラのサポートを頼む」》
「慎重派は嫌いじゃないぜ」
《「それでは健闘を祈る」》
そう言ってカシオペアは通話を切った。俺はネルケ…校長と視線を交わす。
「なにしてんですか」
「おっと。俺の正体についてはお口にジッパーで頼むぜ。今の俺はネルケ、そういうことにしておいてくれ」
「……邪魔をしないなら文句は言いませんよ」
さて。スター団アジトか。どう攻略してやろうかね。
新キャラ、マトイさん登場。レホール先生の大親友でオレンジアカデミーの司書もやってる考古学者です。簡単に言うと四災にラウラを関わらせるためのキャラ。
オーリム博士ともついに接触。その言葉の真意とは…?
アイアールと一時別れ、カシオペアとネルケの関係構築。ラウラとのトリオでスター団攻略開始です。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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