今回は南一番エリアで蟲ポケモンを探すラウラの話。楽しんでいただけると幸いです。
数日後。制服やら教材やら買い揃えた俺は、一人でコサジの小道を通って南一番エリアに入りテーブルシティを目指していた。ネモも一緒に来ようとしていたがお隣さんの方も気になったのか迷っている間に一人で出発した。さすがにアカデミーに着くまで何度もバトルするわけにもいかない。俺はバトルジャンキーじゃないのだ。
「しかし広いな。これでもパルデア地方の南のほんの一部ってマジか……」
メイド服から着替えたオレンジアカデミー指定の制服の夏服を身に纏い、頭にマメバッタを、肩にタマンチュラを乗せたままやってきた南一番エリア。ネモに聞いた話だとタマンチュラの他にコフキムシやミツハニー、アメタマといった蟲ポケモンがいるらしい。パルデアにしか生息しないパルデアのすがたのウパーがとくせいもタイプも優秀だからとおすすめされたが正直興味ない。
「ここからでも見えるってでかい学校だな」
南一番エリアの高台から大きく見える学園都市であるテーブルシティに感嘆する。ここまででかい街もシュートシティぐらいしか……シュートシティってどこだ?
「まあいいか」
途中にあるプラトタウンをそのまま目指す…訳もなく。寄り道して蟲ポケモンを探す。目標はコフキムシかアメタマだ。ミツハニーは…何故かそこまで欲しいとは思えなかった。ビークイン強いんだけどな。なんでだろ。
「おっ、いたいた」
水場までやってくると、優雅に水面をスイスイと移動するあめんぼポケモンを見つけて腰をかがめ、じりじりと近づく。波紋で敵を感知してすぐ逃げることができるポケモンだ。慎重に…しかし可愛いなあ。思わず顔がほころぶ。するとげしっとマメバッタに軽く後頭部を蹴られた。痛い。
「悪かったって。お前も可愛いよ。タマンチュラもな」
負けず嫌いなマメバッタからしたら自分以外にいい顔をするのが気にらないのかな。タマンチュラはマイペースなのが特に気にせず欠伸をしているが。
「!」
「あ、やべっ」
すると俺達のやりとりに気付いたのか、スイスイと水面を滑走して水場の奥まで行ってしまうアメタマ。俺は慌てて追いかけ、思いっきり足を滑らせて水に落ちてしまった。
「に、が、す、かぁああああ!」
「!?!?!?!?!」
別に泳ぎが得意という訳じゃないが根性で手足をばたつかせてアメタマを追いかけると心底驚いた顔で逃げようとするのでタマンチュラを移動させた左腕を突きつける。
「タマンチュラ、とおせんぼう!」
「!?」
ビシッとアメタマの動きが固まり、頭の上のマメバッタをボールに入れて投げる。背を向けてあたふたしていたアメタマにぶつかったボールから浮き袋の足場に乗ったマメバッタが水面に飛び出し、構える。
「こうそくいどう!」
足場を蹴って水面を滑り、アメタマの横に回り込むマメバッタ。アメタマは不意を突かれて動けていない。遠慮なく喰らわせる。
「とびつく!」
足場から飛び刺してアメタマにとびつき、水面でしっちゃかめっちゃかになるマメバッタ。前足で頭部にしがみ付きながらげしげしと蹴り付け、アメタマの繰り出す泡をまともに浴びてしまっている。
「フェイントもおりまぜろ!」
俺の指示を受け、蹴りつけると見せかけ頭突きするマメバッタ。初めて出会った時から思っていたがヤンキー気質だなこいつ。だがおかげでアメタマは心身ともに弱った。10個だけネモにもらっていたモンスターボールを取り出し投げつける。
「!」
マメバッタが避けた所にボールが炸裂、アメタマは吸い込まれていき水面にポチャンと落ちてプルプルと揺れ、カチッという音と共に静まった。
「よし、よろしくなアメタマ」
さっそくマメバッタとタマンチュラを定位置に置いて、モンスターボールを手に取って岸まで戻ろうとするが、岸まで辿り着いた瞬間手にしていたモンスターボールを細い脚で蹴り飛ばされてしまう。
「いたっ…なんだ!?」
見てみれば、そこにいたのはピンクのフラミンゴの様なポケモン。そのポケモンは転がったモンスターボールを口に加えると飛び立ってしまう。
「待てこら!?」
慌てて追いかけながらネモに譲ってもらった旧式のスマホロトムを取り出しポケモン図鑑のアプリを開いてあのポケモンを調べる。カラミンゴ。シンクロポケモン。ひこう・かくとうタイプ。あの見た目でかくとうの複合かよ。説明によればお腹に溜めたエネルギーがくちばしから漏れないように首を根元で結んでいる?よく生きてるな、さすが不思議な生き物。
「くそっ、マメバッタ!」
マメバッタに頭の上から跳躍させる。そこそこの衝撃に吹き飛ばされ、ゴロゴロと転がるもマメバッタはカラミンゴにしがみ付けたらしい。
「にどげり!」
カラミンゴは空中で器用に脚を動かして蹴りを繰り出そうとするが、その前にマメバッタの鋭い蹴りが二連撃顔に叩き込まれ、ボールを吐きださせて落下させる。
「頼むタマンチュラ!」
転がった体勢のままタマンチュラを投げつけ、糸に包まれた胴体をクッションにアメタマの入ったモンスターボールを受け止め、手に取り中身を確認する。無事か、よかった。
「クエーッ!」
すると怒り狂ったカラミンゴが突撃してきた。マメバッタとタマンチュラが立ち向かうが巧みな蹴り技と翼の一撃で蹴散らされる。ならばと俺は手にしたモンスターボールを投擲、アメタマを繰り出す。持ってかれた怒りからか小さな体で精一杯威嚇するアメタマ。
「アメタマ、さっそくで悪いがバブルこうせんだ!」
俺に指示に従ってくれたアメタマのバブルこうせんによる大量の泡が全身に纏わりつき、すばやさを下げられたカラミンゴがゆったりと脚を突き出してくるのに合わせて、残り二匹に指示する。
「マメバッタ、フェイント!タマンチュラ、カウンター!」
マメバッタの先手を取った一撃と、蹴りに合わせた体当たりがカラミンゴに炸裂。カラミンゴは吹き飛ばされて戦闘不能となった。
「…野生だから三匹で連携できたがネモみたいなトレーナーだとこうもいかないんだよなあ」
天敵ともいえる鳥ポケモンを倒して喜び、集まってわいわいと騒ぐ三匹を見ながら溜め息を吐く。…早くこの三匹に慣れないといけないなあ。慣れない上品な帽子を被った頭に手を置く。この違和感は何時まで経っても消えないんだろうな。
初見でカラミンゴにボコボコにされた人は結構いると思う。
・マメバッタ♂
とくせい:むしのしらせ
わざ:とびつく
にどげり
フェイント
こうそくいどう
もちもの:なし
備考:むじゃきな性格。ちょっぴりみえっぱり。気絶していたラウラに寄り添いそのまま仲間になったポケモン。ヤンキー気質でかまってちゃん。今作の相棒。定位置は頭の上。
・タマンチュラ♀
とくせい:はりこみ
わざ:とおせんぼう
カウンター
いとをはく
むしのていこう
もちもの:なし
備考:のんきな性格。物音に敏感。コサジの小道で捕獲されたポケモン。のんびりやでどっしりと構えて戦う。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。