ポケットモンスター蟲スカーレット   作:放仮ごdz

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どうも、放仮ごです。今回から一応区切りがついたので他のキャラ視点を書いていくことにします。予定しているのは今回のネモ、他にアイアール、サニア……そしてもう一人。

今回はネモとラウラの出会いの過去。楽しんでいただけると幸いです。


サイドストーリー
VSヤングース sideネモ


 出会えたのは本当に偶然だった。新たな手持ちを育てるために訪れた南3番エリア。乾いた風が吹き荒ぶ荒野地帯だ。

 

 

「イワンコにコジオ、カルボウにノコッチ、メェークルにマクノシタ!ココガラにコリンク!将来有望なポケモンがいっぱいだあ!」

 

 

 思わず歓喜の声を上げるぐらい嬉しい。今の手持ちじゃトップとも楽しいバトルができやしない。だから一新する。そうすれば少しはいい勝負ができるだろうと考えての行動だ。

 

 

「…うん?バトルの音…?」

 

 

 思い思いに強くなりそうなポケモンを見極めて捕獲していると、遠くからバトルの音が聞こえてきた。誰かがバトルしてるのかな?と興味を駆られて向かってみる。崖の入り組んだそこの最奥、エリアゼロに隣接する場所でそれは行われていた。

 

 

「くっ……頼む、お前!にどげり!」

 

「あれは……女の子と、マメバッタ?」

 

 

 ヤングースの群れに取り囲まれた、明るい赤色の髪にズタボロの麦わら帽子を乗せた少女の指示で一匹のマメバッタが懸命に守ってる光景。少女の服は麦わら帽子と同じくズタボロだがどこかで見覚えのある黄緑色のユニフォームの様なもの。全身も擦り傷だらけで血を流している。遭難者?と一瞬思ったがどうも違うっぽい。

 

 

「ああ、お前!?」

 

 

 ついには数の暴力でマメバッタが崩れ落ち、慌てて抱きかかえる少女を狙い取り囲むヤングース達。見てられなくなって、捕まえたばかりのポケモンが入ったモンスターボールを手に突撃する。

 

 

「そのバトル、待ったー!」

 

「ざこちゃーう!?」

 

 

 我ながら下手くそなフォームで投げつけたボールがヤングース一匹の後頭部に炸裂。「あ」と声が思わず出て、後頭部にボールの直撃を受けたヤングースはまるでコガネ弁の様な悲鳴と共に崩れ落ち、申し訳なさそうなイワンコが出てくる。ごめんね、こんな初バトルで。

 

 

「えっと……チャーンス!イワンコ、がんせきふうじ!ほら、そこのあなた!逃げるよ!」

 

「え、あ、おう…?」

 

 

 イワンコにヤングース達との間に大量の岩で壁を作ってもらうとすぐさまボールに回収、思わぬ乱入に呆然としていた少女の手を手に取り、その場を逃げ出す私達。南3番エリアの物見塔まで来ると一息つく。

 

 

「ここまでくれば大丈夫だよ!」

 

「あ、ああ……何で俺を助けた?」

 

「俺?」

 

 

 俺っ子なのかな珍しい。でもなんで助けたって言われてもなあ。

 

 

「困っていたら助けるのは当たり前でしょ?」

 

「……それが当たり前なのか分からない。こいつといいお前といい、なんで俺を……」

 

 

 なんだろう、様子がおかしい。凄い不安そうというか。私が回復させたマメバッタを抱えてキョロキョロと辺りを見て警戒している。

 

 

「そのマメバッタあなたのじゃないの?」

 

「マメバッタって言うのかこいつ…ありがとうな。路頭に迷ってヤングースに襲われていた俺を助けてくれたやつだ。可愛い奴だな」

 

「ヤングースの事は知ってるんだ、変なの。……もしかしてパルデアの人じゃない?」

 

 

 ヤングースはアローラ地方にもいるポケモンだ。だからパルデアの人じゃないのかなと思ったけど、根本から違った。

 

 

「パルデア……?すまない、聞き覚えがない。ここがパルデアなのか?…俺は、なんでここに……」

 

「もしかして、記憶が無いの?」

 

 

 閃く。この様子、記憶がないから不安でしょうがないんだ。そう尋ねると合点が行ったようで少女は何かを思い出す様に指を一本ずつ立てて行く。

 

 

「…俺の名前がラウラなのと、マメバッタみたいな蟲ポケモンが愛らしい…いや、愛しているという事しか覚えてない……」

 

「ラウラ、そうかラウラって言うんだ。変なところを覚えてるね?」

 

「これが無いと俺が俺じゃない、そんな気がする」

 

「とりあえずそんな恰好じゃ寒いだろうし着替える?」

 

 

 とりあえず荷物から持って来たオレンジアカデミー制服の秋服を取り出して手渡し、物陰で着替えてもらうことにした。多分だけどこのラウラって子、すごく強い。見ず知らずのポケモンを使って凶暴な野生ポケモンの群れを相手に戦えていたということは、一目で使える技を見抜いた、信頼関係が無いポケモンでもその力を引き出せた、対多数の相手に慣れているという事である。記憶を取り戻せばとんでもなく強いトレーナーになるんじゃなかろうか。

 

 

「とりあえず着替えたが……」

 

「おー、ちょっと大きいかな?」

 

 

 小柄なラウラには私のサイズは合わなかったらしいがさっきのボロボロの服よりはマシだろう。ラウラの全身の傷をとりあえずきずぐすりと包帯で応急手当てしていると、回復したマメバッタが一向に離れないことに気付いた。

 

 

「ラウラ。そのマメバッタ…どうする?」

 

「…できれば仲間にしたいが」

 

「ボールならあるけど」

 

 

 そう言って差し出したモンスターボールを受け取り、じっと見つめたラウラはそっとマメバッタに向けて屈んで差し出した。

 

 

「俺に、ついてくるか?」

 

「!」

 

 

 するとマメバッタはピョンッと跳んでボールのボタンにぶつかり自ら納まった。自発的に捕まるポケモンなんて初めて見た。ラウラのなにかがそうさせたのだろうか。

 

 

「とりあえず、うちにきなよ。ラウラがどこから来たのか調べてみるからさ」

 

「いや、それはさすがに悪いと言うか……」

 

「その代わりお願いがあるの!記憶を取り戻したら私と戦って!」

 

「…そんなことでいいなら?」

 

 

 首を傾げながらも頷いてくれたラウラに、感極まって両手を上げて喜ぶ。

 

 

「やったー!絶対記憶を取り戻そうね!」

 

 

 退屈だった。そんな退屈を崩す出会いに感謝を。こうしてラウラは私の家のメイドとして住み込みで働くことになった。トップ…トップチャンピオンのオモダカさんやらクラベル校長やらに協力でラウラの着ていた服がガラルのユニフォームの一種だとわかったけど、ラウラがパルデア地方に来た記録も、出生記録もなにもなくて正直手詰まりだ。だけど、絶対にラウラの記憶を取り戻して見せる。そして思う存分戦うんだ。ああ、楽しみだなあ。




パルデアに訪れた記録が存在しないのにパルデアにいるラウラ。ズタボロの恰好といいなにがあったんじゃろね?マメバッタやネモとはこんな感じに出会いました。ネモの口調正直難しかった。

次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
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