今回はイダイナキバ戦。楽しんでいただけると幸いです。
ハイダイに勝利し、観客の中にいたアイアールに合流しようとすると、その前に1人の男が歩いてきた。後ろ髪を結んだ金色のワンレングスヘアが特徴的な緑色のスーツと赤いネクタイを着ている男性だ。オレンジ色の目にはハイライトがなく、強者の風格を感じる。
「あなたが噂のラウラくん…ですかね?」
「ああ、そうだけど…あんたは?」
一応礼儀なのでヘルメットを外して面と向かうと、男性は感心したように頷いてコホンと咳払いした。
「ネモくんやアイアールくん、ムツキくんから期待のトレーナーがいると聞いていますとも。急に話しかけて驚かせてしまいましたね、申し訳ない。小生はハッサク。ポケモンリーグ四天王が一人。アカデミーでは美術を担当しています」
「ああ、美術……」
「あまり興味なさそうですね。仕方ない事です。将来に必要かと言われれば決してそうではないのですから」
うんうんと腕を組んで頷くハッサクと名乗った男に苦笑いを浮かべるしかない。四天王ってことはムツキと同等の強さか…エキスパートタイプ次第ではきつそうだな。
「あなたはアイアールくんと同じく最年少チャンピオンのネモくんと同じ可能性が秘めているやもしれぬ……チャンピオンランクを目指すならいずれ小生とも戦うこととなりましょう。期待しておりますよ。小生が受け持つ美術の授業も、お試し感覚でぜひ受講してくれますようですよ。では」
そう言い残してハッサク先生は去って行った。…一瞬感じたドラゴンの様な威圧感、ドラゴン使いか?ひこう使いに続いてドラゴン使いか。いいね、やりがいがある。すると遠巻きに様子を見ていたアイアールがやってきた。頭に知らないポケモンが乗っている。
「ラウラ、ハッサク先生となに話してたの…ってどうしたの?」
「なにがだ?」
「だって、笑ってる」
「そりゃそうだろ。なにせ世界はこんなにも広い。俺と蟲たちはまだまだちっぽけだ。挑み甲斐が合って楽しいだろ?」
「そうかな?そうかも」
「ところでその頭に乗ってるのは?」
「ヒラヒナの「ヒナ」だよ。ロースト砂漠で仲間にしたんだ」
そう言って頭の上から両手に抱えられたヒナとやらが可愛く唸る。うちのジャックには及ばんが中々可愛いな。話しながらポケモンセンターで手持ちを回復させる。
「エスパータイプだけどひこうテラスタルなんだ。ラウラの蟲ポケモンにも負けないよ。エスパータイプといえばラウラの新入りもそうだっけ?」
「ああ。ベラカスのケプリべだ。ひこうになれるのかそりゃあいいな。負ける気はしないぞ。……名前、つけたのか?」
「うん。ラウラみたいに付けてみた!」
そう言って砂漠を背景に繰り出されたアイアールの相棒たちは逞しくなっていた。
「アチゲータの「シング」、ドオーの「ドーちゃん」、ウミトリオの「リプル」、ジオヅムの「ツムヅム」、そしてヒラヒナの「ヒナ」!これが今の私の手持ちだよ!」
「みんな進化したのか」
「うん、ちょっとシロデスナに負けそうになって……ロースト砂漠で鍛えたんだ」
「シロデスナ?なにがあったんだ?」
「それがコライドンが奪われそうになったってぐらいしか……負けられない理由ができたんだ」
「…俺も負けてられないな」
まだレクスとレインが進化してないからな。そろそろだとは思うんだが。打たれ弱いからとあまり前線に出さないのが駄目か?過保護すぎるかなあ。
「次の目的地は土震のヌシのつもりだがいいか?」
「うん、砂漠で見かけた奴だよね多分」
「ああ、俺も見たが…一目でわかった、あれは別格だ」
「でも私達なら……」
「ああ、負ける気はしないな」
アイアールと頷き合い、エクスレッグヘルメットを被ってアイアールの出したコライドンに跨り出発する。目的は土震のヌシだ。
コライドンでロースト砂漠を駆け抜けていると、見えてきた。砂嵐の中でも分かるドンファンにもよく似たあの巨体が。
「見つけた!土震のヌシ!」
「まずは動きを止める!レイン!バブルこうせん!」
「ヒナ!サイケこうせん!」
それぞれ肩に出したポケモンから遠距離攻撃を繰り出して土震のヌシの行く先を遮る。こちらを見据えた土震のヌシは
《ロトロトロトロト……「ハロー、アイアール、ラウラ。こちらオーリム。まさかとは思ったがイダイナキバと接触したのか。イダイナキバは本来、パルデアの大穴のポケモン。くれぐれも注意して対処してくれ」ガチャッ》
「それだけかよオーリム博士!?」
「来るよラウラ!お願い、ツムヅム!しおづけ!」
「受け止めろダーマ!スレッドトラップ!」
鼻を振り上げ、かわらわりを仕掛けてくる土震のヌシ……イダイナキバ。レインを戻して繰り出したダーマが腕の間に張り巡らせた糸の盾で受け止め、糸を引っ掻けて素早さを下げる。さらにアイアールのツムヅムによる岩塩の振りかけが炸裂、しおづけ状態になってスリップダメージを受けるイダイナキバ。よし、ピーニャ風に言うとさわりはOKだ!
「ドン!フアアアンド!!」
「うそっ…!?」
「そんなのありか!?」
するとイダイナキバはその場で足を細かく動かして、こうそくスピン。糸としおづけを振り払ってしまう。防御技もあるってか。そのまま鼻をスイングしてくるイダイナキバ。恐らくはたきおとす、か。
「ダーマ、カウンター!」
「ツムヅム、目に向けてうちおとす!」
鼻のスイングを受け止め、カウンターの一撃を叩き込むダーマと、目に向けて岩を飛ばすツムヅム。アイアールの奴相変わらず容赦がない。だがしかし続けざまにじだんだを繰り出してダーマとツムヅムを戦闘不能にしてしまうイダイナキバ。火力が違いすぎる…!
「翻弄しろ、レクス!こうそくいどう!」
「負けるな、リプル!レクスの作った隙を突いてトリプルダイブ!」
ならばと俺はレクスを繰り出し、高速で動いてイダイナキバを翻弄。その隙を突いて足元から飛び出してきた三つの影…ウミトリオことリプルが水を纏った三連撃を叩き込む。今の手ごたえ、効果は抜群…ほのおかいわかじめん辺りか?
「たたみかけて!リプル!」
「確かめるか…レクス!にどげり!」
いわタイプなら効果は抜群のはずだ。そう思い指示をするがイダイナキバはリプルを踏み潰してじだんだした上でレクスの二撃をあっさりと受け止め、レクスの小柄な体を鼻で叩き飛ばしてしまう。
「レクス!?」
吹き飛ばされたレクスは岩にぶつかり、粉々に砕き散らして砂ほこりに隠れてしまう。くそっ、ボールに…そんな俺の隙を突いて突撃してくるイダイナキバ。不味い、と思ったその時には鼻の一撃を受けていた。
「があ!?」
「ラウラー!?」
サッカーボールの様に吹き飛び砂漠をバウンドする俺の体。不味い、意識が……。そんな俺を誰かが受け止めてくれた。太陽の逆光で何も見えない。だれ、が……ぐう。
明らかにルートを間違えているんだが初見で分かる筈もないのだ(ハイダイの後にイダイナキバに無謀にも挑んで惨敗した馬鹿)。
シロデスナ戦の後に自分の戦力を見直して強化したアイアール。決意表明も兼ねてニックネームもつけました。
・シング/アチゲータ(歌うことが好きだから)
・ドーちゃん/ドオー(ハイダイ戦で進化。そのまんま頭文字から)
・リプル/ウミトリオ(修行で進化。トリプルから)
・ツムヅム/ジオヅム(修行で進化。積む積む)
・ヒナ/ヒラヒナ(新入り。ロースト砂漠でゲット。ひこうテラスタル)
・コライドン(さすがに預かっている(?)ためニックネームなし。拗ねた)
相変わらずダイレクトアタックを受けてるラウラ。ダーマとレクスと言う初期メンもやられて絶体絶命なところを助けてくれたのは…?
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。