チャンプルジムテスト、ラウラが出会ったのは…?楽しんでいただけると幸いです。
ネモとアイアールのバトルも無事に終わり、ジムに戻ってきた俺達。
「で。ジムテストを受けた訳だが、まさかチャレンジャー同士を争わせるとはなあ」
「ね。それぞれ別のヒントを与えられたわけだけど」
手渡された封筒をひらひらさせるアイアール。その中には俺の封筒と同じ、ヒントの書かれたメモが入っているのだろう。
「まさか俺達が今やってるジムテストの最後、三人目と四人目だったとはな」
「定員四人ごとにジムテストが行われるなんて面白いね。それでさ、ラウラ」
「なんだ?」
「残り二人、チャンプルジムに挑戦するチャレンジャーがいるみたいだしさ、一人ずつ倒して頂上決戦して勝った方が相手の集めたヒントを得てジムリーダーに挑まない?」
「…同じこと考えてたよ」
単純にアイアールを含めた三人を倒すよりそっちの方が効率がいい。問題は以前戦った時は負けてしまったことだが……。
「前回戦った時は負けたからな。今度は油断しないぞ」
「望むところだよ!じゃあまた!ヒントを手に入れたらさっきネモと戦った場所に集合ね!」
「おう。負けるなよ?」
アイアールと別れ、早速もらったヒントを確かめに行く。アイス屋台の仲間外れ……アイス屋台なら昨日、串のトリコって屋台の傍にあった気がする。違うかな。結局違い、「あまいやつめたいや」って店で焼きおにぎりを見つけてこれだと確信する。後はヒントを持つ他のチャレンジャーを捜さないとだが……。
「…ねえ君、チャンプルジムへの挑戦者でしょ?」
「…そう言うお前もか?」
振り返る。そこにはオレンジアカデミーの秋服を身に着けた、複眼の様に輝く黄緑色のサングラスで目元を隠した、暗い藍色の髪を蟲の触角の様な髪型にした人物がいた。年は同じぐらいか?
「失敬。ボクはオレア。セルクルジムで蟲ポケモンでジムバッジをすべて集めてトップチャンピオンを倒すことで最強を証明する、って宣言していたラウラ…だよね?」
「…そうだと言ったら?」
「ボクも蟲ポケモンを愛用してるんだ。あの宣言、感銘を受けたよ。でもそれを証明するのは君である必要はない、よね?カラフジムで苦戦している様じゃこの先、勝ち進むなんて無理だ。ボクが引き継ぐから安心して負けてくれ」
「蟲の好かない奴だなお前」
「失敬な。蟲には好かれてるさ」
ネットボールを構えるオレアと名乗った生意気なトレーナーが構えるので、俺もモンスターボールを構えて指を二本立てる。
「2VS2のシングル、道具はなしだ。文句はないな?」
「それはいいけど…ネットボールで捕まえないなんて誇りはないのかい?」
「愛情があればどんなボールだろうと関係ない。ぶっちゃけ気にしてることだから言うな」
「失敬。だったら僕に勝てたら予備のネットボールをあげよう。蟲使いのよしみだ。…勝てたらの話だけどね?」
「いいね。ありがたくもらうとするか」
睨み合う。蟲使いなら出す奴は決まってる。…唯一あいつが相手だったら最悪だがメタルコートを持たせて交換とか早々できないだろ。
▽むしつかいの オレアが 勝負を しかけてきた!
「行くぞジャック!」
「蟲は儚くともその身に着けるは
俺がジャックを繰り出すと同時に、唐突な前口上と共に繰り出されるはその最悪の可能性として考えていたハッサム。むし・はがねタイプの、ジャック……バサギリと対になるであろうストライクの進化系だ。メタルコートを持たせて交換すると進化する、結構入手しにくいポケモンのはずなんだが…懐かしさを感じるのは何故だろう。
「バサギリ。知ってるよ、過去のシンオウ地方、ヒスイ地方にかつて存在したストライクの進化系。何故現代にいて、君が持ってるのかは知らないけど……ポケモンは進化し続ける生き物だ。太古の岩斧じゃ鋼の鋏に敵わない!」
「そいつはどうかな。こいつは強いぞ」
俺がそう言うと岩斧を振り回して乱舞を行い、自慢げに踏ん反り返るジャック。どうだ、俺は凡俗なお前とは違う進化を果たしたぞ、と自慢でもしてるかのような気配を感じる。多分間違ってない。対してハッサムはどこ吹く風、目を瞑って自然体で構えている。それがジャックは気に入らないらしく不満げに岩斧を振っている。
「ジャック!」
「ハッサム」
「「つばめがえし!」」
岩斧と鋼鋏が交差し、それぞれの頭部を捉える。ふらつく両者。しかしその目には好敵手を得た炎を煌々と滾らせていた。
「がんせきアックス!」
「バレットパンチ!」
素早い動きで懐に潜り込み、テクニシャンにより高威力となった拳を腹部に受けながら岩斧を振り上げ、叩き込むジャック。元々素早さが高かったジャックは、いわタイプに進化することでいわタイプ特有の打たれ強さを得た。蟲の素早さと岩の強固さ、相反する二つを併せ持つ、それがバサギリだ。テクニシャンで威力が上がろうとも、効果抜群だろうが、ビクともしない。
「つるぎのまいで立て直せ!」
「くさわけで邪魔しろ!」
一度後退し、つるぎのまいで火力を上げようとするハッサムに、ジャックは草をかき分けるような動きで食い下がる。舞うように振るわれる鋏を、岩斧で遮って妨害する。ただでさえテクニシャンで強いのに使わせてたまるかよ。
「つばめがえし!」
「がんせきアックスで受け止めろ!」
ポケモンにはタイプ、属性が存在する。それと同じようにこの世界の物質は絶対的な相性差が存在する。つまりだ、ひこうタイプの技は岩に対しては弱体化する。岩石を纏うがんせきアックスなら完全に防ぎきることができる。完全に受け止めると目を丸くするオレア。
「両腕を使え、つばめがえし!」
「距離を取れハッサム!」
逆につばめがえしを発動。ハッサムはジャックには存在しない翅を羽ばたかせて大きく後退して避けようと試みるが、左腕による一撃目は避けられたものの、踏み込みながら下から振るったつばめがえしが直撃、大きく打ち上げられるハッサム。
「そうか、くさわけ……すばやさを上げて当てる速度を上げたのか。いいね」
「ご明察だ。れんぞくぎり!」
「むしくい!」
とくせい「きれあじ」で斬撃技の1.5倍の威力となるれんぞくぎりと、とくせい「テクニシャン」で威力60以下の技が1.5倍の威力となるむしくいが激突。岩斧を鋼鋏が挟み、そして。岩斧が、鋼鋏をこじ開ける。
「なっ…!?」
「がんせきアックス!」
そしてステルスロックをばら撒きながら胴体を岩斧で斬り裂き、ハッサムは戦闘不能となって倒れるのだった。
「…まさかタイプ相性を覆してくるとはね。失敬、どうやらボクは君を見くびっていた様だ。最大限の敬意を持って応対しよう。――――蟲は儚くとも威厳溢れる女王の威光!押し潰せプレッシャー。いでよビークイン、いざここに!」
「ビークイン……」
繰り出されるはビークイン。やはり何故か懐かしく感じると共に、サイズが少し小さく感じるのは何故だろう。
「いいね最高だ。やっぱり蟲ポケモンはかっこよくて!かわいくて!美しくて!最高で!最強だ!」
「それについては同感だね!」
蟲の好かない奴だとは思うが、蟲ポケモンについては熱く語り合えるなと、そう思った。
・オレア
ラウラやカエデ以外の蟲使いのトレーナー。手持ちにハッサムとビークインがいる。蟲ポケモンをリスペクトし、褒めちぎる変人。蟲に対しての愛は誰よりも強いと考えており、ラウラがセルクルジムで宣言したことに対して感心と嫉妬を抱いている。名前の由来はとある毒性植物。蟲で頂点に立とうとするラウラにとって完全なライバル的な存在。モチーフは某魅せる者。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。