今回は災いの器とそれを狙う者との戦い。楽しんでいただけると幸いです。
新たな仲間、ぼむんを手に入れた矢先に聞こえてきた地響きの様な音と不思議な声。不思議に思った俺はしっかり手持ちのポケモンたちを回復させてからその声の下に向かうと、見覚えのある人物と遭遇した。
「マトイ先生?なんでここに?」
「あら、ラウラさん。また会ったわね。先生じゃなくて私はただの司書よ?こんばんは。いい子にしてる?」
モスノウを傍らに連れた、オレンジアカデミー司書、マトイさん。あく組に乗り込む直前に出会って以来だ。そんな前じゃないのに結構前な気がする。
「私は
「ディンルー…?」
「東の国から伝わった4つの宝のひとつよ。封じていた杭がいくつか無くなっていて、気になって祠を見に来たの」
「祠?」
「
そう言って早足で歩いて行くマトイさんとモスノウの後を着いて行く。なんだか気になった。行かなきゃいけない気がして。そして、小道の入り口に彼女はいた。
「災いの鉄器が目覚めた確率、99%……ボスの情報によればこの先にいるはずだ」
「何者かしら」
「…その格好、お前…アイアールを襲ったやつか!」
「お前たちは……」
青装束に緑色の髪、緑色のゴーグルにリップ。アイアールの言ってた襲撃者だ。俺達二人を見て驚いた様子を見せたその女は、モンスターボールを構えて不敵に笑んだ。
「邪魔者を切り刻め、キリキザン」
「バトルは苦手だけど、生徒に戦わせるわけには……」
「いや、俺が戦う。マトイさんは下がっててくれ」
繰り出してきたのはキリキザン。マトイさんが戦おうとしたので手で制してボールを構える。マトイさんの手持ちはモスノウ、はがねタイプ相手にはきつい。
「レクス!とびかかる!」
「キリキザン、つじぎり!」
レクスを繰り出して飛び蹴りを繰り出させるも、つじぎりで迎撃させる女。なんて練度だ、相性が悪いつじぎりで迎撃するとは。
「お前……この強さ、何者だ?」
「…………いいだろう。教えてやろう。私はバラ。ブルーフレア団の幹部だ」
「ブルーフレア団…?」
バイザーで見えない表情でなにか考えてから応えるバラの名乗った名前に首を傾げる。ブルー?アイアールが言ってたフレア団じゃないのか?
「フレア団…じゃない?」
「フレア団はやり方を間違えた。我々は新たなやり方を模索する、新生フレア団だ。名乗ったからには死んでもらう確率、95%。キリキザン!」
バラが指示するとはがねタイプとは思えない素早さで駆け抜けるキリキザン。狙いは俺だ。
「レクス!」
後ろ脚を展開して蹴り上げることでキリキザンの刃を弾くレクス。そのまま刃と蹴りの応酬が行われていく。
「ハサミギロチン」
「なに!?」
▽いちげきひっさつ!
レクスが蹴りを繰り出した隙を突き、バラの指示を受けて鈍い光を纏った刃を交差させて炸裂させるキリキザン。レクスは一撃で瀕死となり、崩れ落ちる。嫌な技覚えているな…!
「ダーマ!」
「つばめがえし!」
「カウンター!」
次に繰り出したダーマで、キリキザンのつばめがえしに合わせてカウンターの一撃を叩き込む。ズザーッと吹き飛ばされるも耐え抜くキリキザンが一瞬でダーマに肉薄する。
「アイアンヘッドだ!」
「スレッドトラップ!」
スレッドトラップを展開しきる前に頭部の刃で糸を斬り裂かれて頭突きが叩き込まれ、ダーマも戦闘不能。強すぎる……今俺の手持ちで一番練度が高いのは……お前か。さっそくで悪いが。
「頼むぞ、ぼむん!まきびし!」
「ッ!止まれキリキザン!」
繰り出すと同時に四つの脚の穴から撒菱をばら撒きキリキザンを近づかせない。よし、じめんタイプの力を持つ撒菱だ。そう迂闊に近づけまい。
「まきびしを射出しろ!」
からげんきやヘビーボンバーでははがねタイプには通らない。かといってでんじほうじゃ命中率に難あり。ならばと、設置技のまきびしを攻撃に転用する。ちょうどいいことに、フォレトスの脚は射出するのに特化している。砲台として利用してまきびしを射出する、俺の意図に気付いたぼむんがまきびしを高速で射出。次々とキリキザンに突き刺さる。効果は抜群だ。
「ヒスイの時代のまきびしの使い方……攻略率100%。つじぎり!」
すると射出し続けるまきびしを、バラの指示を受けて刃で斬り落としていくキリキザン。なんて強さと連携だ。相当な時間を過ごしている相棒と見た。仲間にしたばかりのぼむんじゃ分が悪いか。
「とどめだ、ハサミギロチン!」
突進して来て、レクスを倒した斬撃を叩き込まんと両腕を振りかぶるキリキザン。その時を待っていた。
「近づいてくれてありがとよ!でんじほう!」
「なんだと……!?」
高威力のでんきタイプの砲撃が零距離で直撃、麻痺して吹き飛ぶキリキザン。これは効いただろう。
「…なるほど。あのまきびしは、ルートを限定するためのものだったのね」
「そういうことです、マトイさん」
後ろで見ていたマトイさんが呟いた言葉に頷く。対してバラは自分の計算が外れたからか狼狽えていた。
「馬鹿な……命中率に難ありのでんじほうを四つしか覚えられない技に採用しているだと……理解不能、理解不能…!」
「だろうな。こいつは捕まえたばかりでな、俺はちょっとしか手を加えていない。ヘビーボンバー!からのからげんき!」
残り体力は少ないだろうと考え、ヘビーボンバーで接近してからの連続攻撃。押し潰し、恐怖を晴らすかの様に滅多打ちにしたぼむんの猛攻を受けて目を回すキリキザン。戦闘不能だ。
「くっ……からげんき、だと……理解ができぬ!」
「理解しなくてもいいが観念しやがれ」
「馬鹿め。まだ手持ちはいるぞ……!」
そう言って、バラが次のモンスターボールを取り出した時だった。
「ソ……ゲ……ソソゲー!!」
「「「!」」」
俺とマトイさんが最初にそれを見て、バラも一足遅く振り向いて気付く。バラが塞いでいた小道の向こうから、異様なポケモンがやってきたのだ。土石で形成された四足歩行の体に、中心から真っ二つに割れた巨大な青銅の器が立派な角になっている厳しい姿。マトイさんが感動からか口元を手で覆っている。
「あれが災厄の器ディンルー……美しいわ!」
「こいつがディンルーか…!?」
「最重要ターゲット……捕獲!」
手にしていたモンスターボールをしまってクイックボールを取り出すバラ。捕獲する気か!?
「させるか!」
「邪魔をするな!」
咄嗟にバラに飛びかかり、もみくちゃとなる。クイックボールを奪い取ろうと手を伸ばすも、靴底から炎を噴射したバラの飛び膝蹴りを受けてしまう。
「があっ!?」
「邪魔をするからだ。捕獲…なっ!?」
「おいおい嘘だろ……!?」
俺達が争っていることに苛立ったのか、ディンルーはその重そうな頭部を一振り。地割れを生み出し、俺とバラは巻き込まれる。マトイさんは地割れから離れていたものの衝撃からか吹き飛ばされてモスノウに受け止められていて、バラもブーツからの炎で空を飛んで逃れるが、俺はそうもいかない。
「ダーマ……は戦闘不能だったー!?」
咄嗟にダーマを繰り出そうとするも戦闘不能であり、俺はなすすべなく落ちて行く。
「うわぁああああああ!?」
なんか落ちてばっかりだなと思いつつ、迫ってくる底に死を覚悟したその時、ボールホルダーから勝手に誰かが飛び出してきて俺を抱きとめて着地する。見てみれば、ウカだった。
「助かったよウカ……ありがとう。しかし参ったな。深さ50mはあるぞ…?」
遥か高くの地上を見上げて困っていると、ウカが自分の背を指し示す。乗れってことか?翅の生えている背中にしがみ付くと、ウカはピョンピョンと切り立った岩肌を跳んでいき、一気に地上まで出ると、ちょうどディンルーをダークボールに収めているバラが見えた。
「なに!?チヲハウハネ……!」
「そのまま連れて行かせはしないぞ、ブルーフレア団!暴れろウカ!」
「くそっ…潰せディンルー!」
そしてバラの繰り出してきたディンルーと、ウカが激突した。
大活躍ぼむん。まきびしで制限してでんじほうを当てるのは「サイケまたしても」って漫画が元ネタ。
四災研究家マトイさん。ポケモンバトルは得意ではない模様。今のところ四災関係の時のイベントキャラですね。
そしてついにベールが剥がされた敵組織。感想欄でばれてたけどフレア団科学者だったバラと、新生フレア団ことブルーフレア団。青いのはまんまでした。どんな組織なのかはまたおいおい。ちなみにキリキザンなのは原作XYでの切札ポケモンだからです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。