今回はぼむん、ちゃんとしたバトルに初陣。楽しんでいただけると幸いです。
それは、俺とアイアールのバトルが行われる数刻前…。
「素早く、技を繰り出すのが「早業」。力強く、技を叩き込むのが「力業」。前者が威力を犠牲に手数を増やし、後者が手数を犠牲に威力と命中率を底上げする技術、か。技の「皆伝」とやらが必要で、現在はその方法は伝わってない……」
アオキさんから聞いたことをマトイさんに話してみたらおすすめしてくれた本を読み進めていると目当ての項目を見つけた。まだバトルのルールも決まってなかった頃のヒスイ地方でのバトル。トレーナー…当時のポケモン使いだけでなく、野生のポケモンも使ってくることがあったらしい。中にはこの「早業」「力業」を織り交ぜた専用技を特定数使うのが進化の条件のポケモンも当時はいたとか。よく調べたな当時の人々。
「成長と共に技が皆伝することもある……つまり伝わってないだけで俺のポケモンたちが使える可能性もあるわけだ」
…これ、今の時代で使えたら強くないか?他にも色々載ってるな…どれどれ。
「へえ、まきびしやステルスロックは当時はスリップダメージを与える攻撃技だったのか……ほーん、ふーん……これ、使えるな」
「ラウラ!こんなところにいた!バトルしよ!」
「なんて?」
読み耽っていたらいきなり走ってきてそんなことを言ってきたアイアールに首を傾げたのも無理ないと思うんだ。
で、今現在。6体のフルバトルは長くなるからと3VS3になったわけだが、切札のジャックがやられた。今回はケプリべを使う気はないので復活は無理だ。最初に選んだ三体のうち残り二体で行くしかない。そっちが新入りなら相性がいい新入りのぼむんで勝負といくか。
「ちゃんとしたトレーナー戦では初陣だな!頼んだぞ、ぼむん!」
「ラウラの六匹目…!相手にとって不足無し!ハルクララ!とびはねる!」
またそれか。アイアールの組んだハルクララの戦法は大体わかった。こおりのつぶてで警戒させつつ、アイススピナーや後攻を取ったゆきなだれで確実に大ダメージを与える。とびはねて敢えて隙を作ることで空中から放つゆきなだれのダメージを増やしつつ、アイススピナーで身を守りつつまひを与えて確実に仕留める。組み立て方が
「なら先にこっちが麻痺させる!力強く!でんじほう!」
「なっ!?」
命中率に難ありのでんじほうを当ててハルクララを撃墜したことに目を見開くアイアール。これが修行、そして勉強の成果だ。
「生憎だったな、ジャックやレイン相手に命中率を上げた固定砲台ぼむんに死角はない!」
「それずるくない!?」
「いいところはとにかく上げれば強くなる!それに加えて「力強く」だからな」
土壇場だったが上手く行った。ヒスイ秘伝「力業」。威力と命中率を上げたでんじほうは効いただろう。どうやら麻痺したようでハルクララは満足に動けていない。
「たたみかけろ!素早く!まきびし!」
「まきびしぐらいなら……!?」
「じめんタイプで相性も悪いんだがな。刺さると痛いだろ?」
動けないハルクララに向けて高速で連続で射出され突き刺さるまきびし。元々練習していた「まきびしを直接当てる」がヒスイの時代に攻撃として使用されていたと知り、その使い方をできるようになったわけだ。
「蟲ポケモンで直接強敵相手にも立ち向かえるジャック……バサギリと違ってコイツは攻撃力が無いからな。小手先で行くぞ!力強く!ヘビーボンバー!」
素早く動いたことで続けざまに技を繰り出せるぼむんが跳躍、急降下してくる。力強く使ったことで威力も上がって隕石のごとし。
「ハルクララ避けて……足元にもまきびし!?」
「元々の使い方だぞ、そう驚くな」
さっき射出していた時に外れたものをばら撒かせておいた。これで結構足が速いアルクジラも満足に動けない。これで決まりだ。
「自分にゆきなだれ!」
「なっ…!?」
するとゆきなだれで自分を覆い隠して固めた雪でヘビーボンバーを受け止めるも、そのまま雪を吹き飛ばされて押し潰され戦闘不能になるハルクララ。危なかった、なんて奴だアイアール。
「アルクジラの特性はあついしぼう、こおり技を半減で受けれる…けど。想定してたより威力が強かった、今のは…?」
「だからって自分に使うか?今のは「力業」。ヒスイ…昔のシンオウ地方で使われたバトルの技術だ」
俺がそう説明すると観客からどよめきが起こる。ネモとキハダ先生に至ってはメモを熱心に取り始めたし、いつの間にかいたレホール先生が目を輝かせている。そういや古い物好きでしたね先生。あ、マトイさんに止められた。というか教師陣まで勢揃いしてるじゃないか。仕事しろ。あとネルケもといクラベル校長、教師陣が増えてきたからって一度隠れて校長の恰好に着替えてくるな。
「もしかして、さっきのまきびしの時の「素早く」も…?」
「そっちは「早業」だ。覚えたてだから練度は低いがな」
今まであんまりバトルしてないぼむんだから使えている節はある。他の皆はそれぞれのバトルスタイルを確立しているからな…力業か早業、どっちかが使えればいい方だろ。
「うん、さすがだね!ラウラから教えてもらった技術で勝とうと思ったらさらに上を行く!やっぱり、ラウラは強いよ!だから……負けたくない。行くよリプル!」
次に繰り出されたのはウミトリオのリプル。何が狙いかは知らないが…!
「素早い奴には動かせないぞ!ぼむん、素早く!周囲にまきびし!」
「それ厄介だなあ!リプル、あなをほる!」
ギュインギュインと高速回転して脚からまきびしをフィールド全体に撒き散らすぼむん。するとあなをほって地中に逃れるリプル。はがねタイプのぼむんに確実にダメージを与えるのが狙いか。ほのおタイプで四倍を狙えるシングを出さないのは温存だろうな、蟲ポケモン使いの俺に使ってこない理由がない。同じ理由でいわタイプのツムヅムだと思ったんだがな、修行していた時に新顔のぼむんが見られていたから警戒されたか?
「新技を使うか。でんじふゆう!」
「なっ!?」
だいばくはつを忘れさせるために覚えさせたからげんき、を更に忘れさせて覚えさせた技。でんじふゆう。ぼむん…フォレトスの弱点に機動力の無さがあげられる。それを補うための技だ。電気を纏い浮かび上がるぼむんに、地面から飛び出してきたリプルの攻撃は空ぶった。
「ヘビーボンバー!」
「アクアジェットで離脱!」
そのまま押し潰さんとするも、リプルは水を纏い高速でその場を離脱。まきびしでダメージを受けながらも距離を取る。だろうな、ウミトリオは攻撃力とすばやさは高いが耐久面は紙同然のポケモンだ。だがな、今のぼむんから逃げられると思うなよ。
「素早く!でんじふゆう!追いかけろぼむん!」
「うそお!?アクアジェット!」
でんじふゆうを利用して高速で移動するぼむんにアイアールが度肝を抜く。アクアジェットで逃げるリプルと、浮遊し追いかけるぼむん。まきびしのおかげで逃げるルートは分かりやすい!このまま決める!
「電気を使う蟲を見てると、なんだろう…こう、ゾクゾクするんだよな!でんじほう!」
「あなをほるで逃げて!」
でんじほうを発射。高威力で命中精度の悪い技だが、機動力を得て肉薄できる上に命中精度も上げた今のぼむんなら当てられる。それを危惧して地中に逃げるリプル。だがそれは悪手だぞ。
「天高く浮かび上がれぼむん!力強く!」
「しまっ…」
「ヘビーボンバー!」
でんじふゆうで高度を得つつ、力強く繰り出したヘビーボンバーはフィールドを砕き、地中にいたリプルに直撃。できあがったクレーターの中で目を回すリプル。
「…お疲れリプル。新顔のフォレトス、強いね」
「できることを最大限模索した結果だよ」
そのせいでむしタイプの技を一切覚えてないどころか半分がでんきタイプの技の高機動力固定砲台が出来上がったわけだが。まあいいか。
「でもね、負けない。私とこの子は今、最強だ!行くよシング!」
「…進化したか」
自信に溢れた表情と共にアイアールが繰り出したのはアチゲータのシング…じゃなかった。口・胴体・尻尾が長く伸びた厳つく凛々しいフォルム。アチゲータの時に卵らしき火が灯っていた頭頂部が燃え尽きて恐ろしげな骸骨の様な姿に。その割に可愛い小鳥の様な炎が鼻先に灯ってる。シンガーポケモン、ラウドボーン。ホゲータの最終進化系がそこにいた。
早業と力業、炸裂。まだぼむんしか両方使えませんが中々の戦力アップだと思います。
でんじふゆう、ゲームではあまり採用されませんが「現実」でのポケモンバトルなため採用しました。からげんきよりは間違いなく有用。
・ぼむん(フォレトス)♂
とくせい:がんじょう
わざ:だいばくはつ→からげんき→でんじふゆう
でんじほう
ヘビーボンバー
まきびし
もちもの:なし
テラスタルタイプ:はがね
備考:おくびょうな性格。物音に敏感。びっくりするたび大爆発する問題児だったが、それから救ってくれたラウラに懐く。ラウラ曰く「高機動力固定砲台」に仕上がった。日本語がおかしいがノリで言ってるので気にしたら行けない。現状早業力業をどちらとも使える唯一の存在。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。