・モコウ
でんきタイプ使いのトレーナーにして最速でジムを突破しているジムチャレンジャー。ラウラの事をライバル視していて後に親友となる。ラテラルタウンの名家出身。一人称は「我」で自称
今回はモコウの秘密。難産でした。楽しんでいただけると幸いです。
俺の記憶の中の少女と顔も名前も瓜二つだが印象が違いすぎる少女、モコウと出会って数分後。俺達は彼女が失くしたと言うボールを探すために東1番エリア物見塔付近に来ていた。
「それで?朝が気持ち良いから散歩に出ていたらケンタロスの群れに襲われたと」
「はい、油断しました……。手持ちの入ったボール5つも落としてしまって。ケンタロスに襲われるのはもう何度目なのかわからないんですけど未だに慣れなくて……」
「多分その服のせいだぞ」
首をかしげるモコウ。やめてくれ、その無垢な様子は違和感凄すぎてヤバい。ケンタロスってたしかヒラヒラする物に気が立ってしまう性質があったっはずだ。カントーとかのケンタロスは尻尾を振ることで群れを統一してたぐらいだしな。とか考えていると、草むらに転がる青と黄色の球体を見つけた。
「おい、クイックボールを見つけたぞ。これじゃないか?」
「ああ、そうです!あびゃあ!?」
拾ったそれを手渡そうとすると、こちらに向かって走ろうとして何もない草むらですっ転んだモコウはビターンと顔から叩きつけられ沈黙する。痛そう。
「…おーい、生きているか?」
「生きてます……いつものことです…」
「よく生きてるなお前」
俺の差し出した手を、痛そうに鼻を擦りながら手に取りボールを受け取るモコウ。…なんだろう、前もなんかドジってたモコウを助けた記憶があるような、ないような。
「ごめんねパチリス、置き去りにして」
クイックボールからモコウが繰り出したのはでんきリスポケモンのパチリス。なんか意外なポケモンが出てきたな。トテトテと甘ロリを駆けのぼって肩の上に移動してモコウに頬擦りするパチリスに、親しさを感じた。
「お前の相棒か?」
「はい、そうです。こっちに来てから初めて会ったポケモンで……転んでぶつかった木から落ちてきたのが出会ったきっかけです」
「痛そう」
「痛かったけど、この子に会えたので……」
「…こっちに来てってことはパルデア以外から来たのか?」
「はい、ガラル地方から。ある事情からここにきて運命に出会いまして」
「ガラル」
またガラルだ。……うーん。モコウの相棒はもっとこう、かっこよかった気がするんだが……。
「やっぱり前に会ったことない?」
「新手のナンパですか?」
「いや、心当たりがないならそれはいいんだけど」
うーん、どうしても違和感が凄い。
その後、パチリスに続いてジバコイル、デンリュウ、ストリンダー(ハイなすがた)、ウォッシュロトムと、計五匹のモコウの手持ちを回収した俺達。でんきタイプ使いか、…ハッコウシティのジムリーダーの知り合いなんかな。
「助かりました、ラウラさん。ありがとうございます!」
「まさか崖下まで転がっているとは思わなかったが見つかってよかったな」
「ごめんねジバコイル……」
ドジにも程があるがこれで日常茶飯事らしく出てきたジバコイルも慣れた様子で目を細めていた。お前らも大変だな……。
「ああっ!?スマホロトムマナーモードにしてた……」
すると何かを思い出した様子でスマホロトムを取り出し時間を確認してビクゥとオーバーリアクションで驚くモコウ。慌ててポチポチとスマホロトムの操作を始めた。
「お、おいどうしたんだ?」
「じ、時間が!」
「時間?」
朝の九時だがなんかあるのか?と首をかしげていると、スマホロトムに映るのは見覚えのある顔。ハッコウシティのジムリーダーの顔だった。
《「皆の者~!準備はいい?あなたの目玉をエレキネット!
「おはこんハロチャオー!」
「これは…配信か?」
これまでのが嘘の様に画面の向こうの少女と合わせて満面の笑みで挨拶するモコウ。
《「ナンジャモの~?ドンナモンジャTVの時っ間っだぞー!ごめんね、皆の者~!ボクと一緒にゲームをやってくれるはずだったモコたんが全然来ないし電話にもでないしですっぽかされてさ~。しょうがないから一人でやるね!」》
「モコたん?」
「うおおおおおっ、謝らねば……でも配信中に電話やメールするわけにはー!?」
「モコウ?」
スマホロトムを両手で持って百面相しだすモコウ。なんだろう、凄い懐かしい感じがする雰囲気になってる。ちょっと覗いてみると、怒涛の勢いでコメントが流れていて。よう知らんけど人気なんだなあ。
〈いつもの〉
〈どうせドジってマナーモードにしてるとかだぞ〉
〈エレキン:もはや様式美〉
〈モコたん遅刻何度目だろ〉
〈持ち物はじしゃく:数えてる限りだと17回目〉
〈そんなに遅刻されて怒りもしないとかナンジャモ優しい〉
〈怒るナンジャモと怒られるモコたんの関係好き〉
〈モコたん:ごめんなさい〉
〈草〉
〈コメントに出没してて草〉
〈さすがナンジャモのガチ勢〉
〈誤ってないで出てもろて〉
〈エレキン:終身名誉リスナーがんばれ〉
〈誤る草〉
〈ほんとだ草〉
《「あ、モコたん!またケンタロスに襲われていてるのかと思ったジャン!通話繋げるから声だけでも出て、ほらほら!」》
するとプルルルッと電話が鳴り響く。このナンジャモとやらが呼んでる「モコたん」というのはモコウのことらしい。モコウは深呼吸するとちらっとこっちを向いて「シーッ」と人差し指を口の前に立てた。よくわからんけど頷いておく。黙ってろってことだろうな。
「わわわ、我が来た!皆の者おはこんハロチャオ!ワハハハ!わ、我がモコたんだ!」
〈わえがきたこれ〉
〈声が震えてる定期〉
〈推しと話すオタクの例〉
〈声がいい〉
〈声だけなのにバズってナンジャモにロックオンされた元リスナーやっぱり笑う〉
まるで別人の様に話すモコウ。声だけ聴くと別人だ。
《「モコたん~?まず最初に言う事、あるよねー?」》
「わ、我は悪くないもん!散歩してたらケンタロスに襲われて手持ちのボール全部落とした挙句にアカデミーの生徒に助けられた上にボール探し手伝ってもらったけど、我悪くないもん!」
〈草〉
〈草〉
〈ナンジャモの予想当たってて草〉
〈いつものなんだよなあ〉
〈声震えてたのその恩人の目の前だから?〉
《「あ、やっぱり?相変わらずドジだなー。さすがモコたん!話題に事欠かないね!詳しく教えて教えて?というか傍にいるのかな?声聞かせてほしいなほしいな!」》
「え。で、でも迷惑かもだしだな」
「俺は別にいいぞ」
モコウ困ってるようだし。配信とかよう知らんけど喋ればいいんだろ。
《「本人もいいって言ってることだし行ってみよう!なんか挨拶とかあるかなー?」》
挨拶。挨拶ね。…おはこんハロチャオはさすがに毛恥ずかしいな。配信ってたしか全世界に流れてるんだっけ。俺で尺を使うのも嫌だな……よし。
「諸君!俺は蟲が好きだ!蟲ポケモンが好きだ!愛している!だからこの愛を以て、ジムバッジをすべて集めてトップチャンピオンを倒すことで証明する!蟲ポケモンはかっこよくて!かわいくて!美しくて!最高で!最強なのだと!!」
「ええ……」
〈むし狂いだー!〉
〈俺っ娘きたこれ!〉
〈嫌いじゃないわ!〉
〈でもどっかで聞いたぞ〉
〈たしか動画が出てたセルクルジムチャレンジャーの宣言だこれ〉
〈え、本人?〉
〈たしかラウラだっけ〉
〈ジムリーダー相手にこの啖呵切れるのすげえ〉
やっぱこれしかないだろ。とドヤ顔をしてみると「あわわわ」と慌てるモコウ。どうしたんだ。
《「ほっほーん。つまりこのボクにも勝つってことでおーけー?じゃあモコたんと一緒にジムに来て来て!オフコラボしよう!」》
「そ、それは不味くないか!?」
「おふこらぼ?」
なんだそれ?
ナンジャモ語難しい(白目)
というわけでこのモコウは「モコたん」と言う名前でナンジャモのリスナー兼声だけ動画に参加している配信者でした。演じているときだけ「我」。声だけでしかもだいぶ印象変わるのでリアルに会ってもまずわからないタイプ。手持ちはパチリス、デンリュウ、ジバコイル、ストリンダー(ハイ)、ウォッシュロトム。
ラウラは前作の掲示板とかにもまず参加しないぐらいネットに疎いのでナンジャモの事は知らないし動画とかも見ないタイプの人間。身バレとかもまったく気にしないです。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。