今回はみんな大好き先輩登場。楽しんでいただけると幸いです。
大階段を登りきり、アイアールとネモと共に巨大な校舎の中に入る。なんだろう、俺の知ってる学校とはだいぶ違う気がする。まるで図書館の様な巨大なエントランスホールを案内するネモ。
「こんなに広いのにエントランスでのポケモン勝負は校則で禁止なんだー」
「「当たり前だと思う」」
「え、あ、うん、そうだよね……」
アイアールと声が重なるとネモはしょんぼりとして落ち込んだ。俺達に何を期待したんだ。
「アイアールさん、ネモさん。それにラウラさんですね?」
そこにやってきたのはオレンジ色の服を着た白髪に眼鏡と髭が目立つ男性。たしかオレンジアカデミーの一番偉い人だ。名前は……。
「改めまして。私はクラベル。オレンジアカデミーの校長をさせていただいております。初めての登校はいかがでしたか?」
「ラウラとも出会って一緒にカレーも食べました!楽しかったです!」
「右に同じ」
「そうですか。私も校長として鼻が高いです。ネモさんのおかげでしょうか。さすがチャンピオンランクで生徒会長。アイアールさんの案内、ありがとうございます」
満足げなクラベル校長。そういえばアイアールはネモに案内されてたんだったか。途中から俺が同行したけど。
「友達だから当然ですよ!ラウラもちゃんと案内したかった!」
「お前俺に蟲ポケモン以外を捕まえさせるつもりだったろ……」
「当たり前じゃん!だってもったいないもん!他のタイプを使えばラウラはもっと強いのに!」
「本当にやめてくれ頼むから」
もうやだこのバトルジャンキー怖い。
「あ、先生。そういえば、アイアールとラウラがスター団の人達と戦ったそうです。アイアールは人助けだけどラウラは勧誘されて返り討ちにしたんだっけ?」
「なんですって!?それは大ニュースですよ!?どちらでですか!?無事の様ですが…」
ネモが報告すると驚いて取り乱して眼鏡を押さえる校長。そんなにやばいやつらなのかあいつら。
「私は校門の階段下でイーブイバックの子が絡まれていたのでそれを助けて」
「俺は街の路地裏で勧誘されて蟲ポケモンを馬鹿にされたんで返り討ちに」
「ああなんということでしょう。まさか路地裏までとは……人助けは感心できるアイアールさんもですが、ラウラさん。入学早々ワイルドはほどほどに…一歩間違えれば退学案件ですよ」
「「ごめんなさい」」
アイアールと共に頭を下げて謝る。まあ確かにやり過ぎとは思うしな。アイアールはそんなことないしむしろネモが焚きつけてたと思うけど。
「ネモさんも。アイアールさんとラウラさんは今回はしょうがありませんでしたが、そういうときは先生を呼んでくださいね」
「…なるほどですねー」
「ネモお前わかってないだろ」
「そ、そんなことないよ?」
「図星だ…」
アイアールと二人でネモを睨む。本当に生徒会長なんですかねこの人。
「イーブイのバッグ…ボタンさんですかね」
「ボタンって赤と灰色の髪の眼鏡の子か?」
「はい、間違いなくボタンさんです。学校にいらしてくれて何より」
ボタンとかいう子は引き籠もりなのかな?まあいいか。
「一応ネモさんはスター団のことを担任のジニア先生に報告してください。そろそろ始業時間なので教室に急いでくださいね。アイアールさんは1-A、ラウラさんは2-Gです」
「わかりました!アイアール!案内するね!ラウラもまた後で!」
「おーう」
ネモとアイアール、クラベル校長と別れて電子機器の見取り図を見て教室の場所を把握する。急ぐとするかね。
「……失敗した」
数刻後、俺は自分の机に突っ伏していた。周りからは奇異の視線を感じる。完全に自己紹介でやらかした者の図である。
「よっ。その…なんだ、蟲への愛を感じられるすげー挨拶だったぜ!蟲ポケモン大好きちゃんなんだな!」
「慰めありがとよ。えーっと……」
「俺はペパーだ。よろしくな?」
ニッと笑う、髪の毛量が凄い隣の席のメカクレ男子、ペパー。そうなのだ。自己紹介で緊張で上がってしまった俺は「諸君。俺は蟲が好きだ。蟲ポケモンが好きだ。愛してる。だからこの愛を以て証明する。蟲ポケモンはかっこよくてかわいくて美しくて最高で最強なのだと!」とよーわからん宣言をしてしまったのだ。穴があったら入りたい。むしろあなをほるを自分でしてしまいたい。
「ははは。まさか噂の転入生がこんな愉快な奴だとはな!こんなに笑ったのは久しぶりだ」
「噂…?」
「スター団の奴等を圧倒的な実力で蹴散らしたって噂で学校中持ち切りだぜ?生徒会長とつるんでるっていうアイアールの噂も負けてないけどな。ラウラお前、すげーつよいちゃんなんだろ?」
「誰か見てたのか……ってどうした?」
なんかそわそわしているペパーに不思議に思って尋ねる。なにか言おうとして迷ってるみたいだ。
「いや……お前が強いならさ、実は頼みがあるんだ」
「頼み?」
「もうすぐ課外授業で宝探しがあるんだ。その時に…俺の野望の実現のため、お前の強さを貸してくれねーか!」
「野望なら答えはノーだ」
「ね、願いだ!野望なんて邪なものじゃない!」
俺が断ると慌てて言い換えるペパー。必死だし話ぐらいは聞いてやるか。
「意外かもしれねーけど俺の趣味はピクニックでな。料理すんのも得意なわけよ」
「ほう料理。カレーも作れるか?」
「もちのろんだ!で、今はポケモンを元気にする健康料理を研究してんだけど」
そう言って赤い本を取り出すペパー。古びた本だ。そこらで買ったとかじゃなさそうだ。
「この前見つけたこの本に“秘伝スパイス”っていう全部で五種類の食べればたちまち元気になる、パルデアにしかないガチで貴重な食材の事が載っていたんだ。一口舐めるだけで滋養強壮、血行促進!老化防止に免疫アップなんだってよ!」
「へー」
「興味なさそうだな…」
「蟲ポケモンが寄ってくるなら興味ある」
「お前がどういうやつなのかわかった気がするよ…カレーに合うかもだぞ?」
「それは探さないとな!」
なんでか知らんがカレーは大好きだ。なんというか心身にカレーが刻み込まれてる感じ。自分でもよくわからん。
「だけど秘伝スパイスはヌシポケモンってのに守られてて簡単に手に入らないんだと。ヌシってのは多分こんなやつだ」
そう言ってペパーが見せてきたページに載っていたのはドンファンの様な何か。なんだこれ。エリアゼロに生息している巨大で凶暴な生物…?
「自分で採りにいきたいけど俺、ポケモン勝負は苦手でさ。強い友達のアテもないし、そこでお前の助けを借りたいわけだ。他にも助けを借りたいと思ってるんだけどよ?」
「とりあえず場所だけ教えてくれ。行くかどうかはノリで決める」
「おう!ヌシがいそうな場所だ。頼んだぜ!」
そう言ってファンシーなスマホロトムを取り出したので俺も普通の奴を取り出すとパルデアの地図の五ヵ所にアイコンが追加された。険しそうな所ばかりだな、秘伝とはよくいったもんだ。するとお腹が鳴る。もう昼か。
「じゃあ俺そろそろ昼食にいくわ」
「食堂に行くなら俺も行くぜ?」
「いや、隠れ家的お店でサンドウィッチ買って来たから適当なところで食うわ」
「そうか。またな!」
そうしてペパーと別れて俺は人がいなさそうなところを捜し歩く。…思考が完全にボッチのそれだが気にしないことにする。しかしヌシポケモンか。……蟲ポケモンの強さを証明するいいチャンスかもしれないなあ。ペパーが何か隠していることだけがちょっと不安だけど、宝探しの時にちょっとは手伝ってやるか。
ラウラ、レジェンドルート参戦。ペパーと同じクラスです。担任は誰なんじゃろね。
感想がえしでも書いたんですが、ラウラは15歳ぐらい、ネモは14歳、アイアールは12歳のイメージで書いてます。なので2年にしたけど、老人とか子供とか普通にいるしどうやって分けてるのかマジでわからなかった結果です。
今回バトル無かったので次回は暴れます。次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。
ウカ以外のラウラの手持ちにもニックネームは…
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つける
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つけない