今回はゲッコウガVSインテレオン。地味にどっちも蟲の天敵動物モチーフって言うね。楽しんでいただけると幸いです。
「やあアイアール。フラダリ氏から聞いたよ。ポケモン博士になりたいんだって?」
「はい、そうです!」
それは、カロスに住んでいた頃の話。まだ9歳ぐらいの子供として、私は父親の仕事の上司の推薦を受けてカロスでも有名なポケモン博士であるプラターヌ博士と直接話をする機会を得ることができた。
「私、バカだけど。大好きなポケモンのことをいっぱい、いっぱい知りたいんです!」
「うん、いい夢だ。なら彼を君に託そう。ケロマツという。彼と一緒に旅に出て見ないかい?」
そうして私は、最初の旅に出た。……つまり、ゲッコウガは私の最初の相棒だ。でも辛い出来事を思い出してしまうから、他の手持ち共々ずっと家にいてもらっていた。パルデアの旅ではパルデアのポケモンたちだけで乗り越えようと思ってたけど、…色は違うけどフレア団を名乗る奴らが出てきて、本気を出すと決めたんだ。タイプの被っていたリプルには悪いけど家に置いて来たのが心苦しいけど……連れてきてよかった。
「一緒に旅できているだけの女が邪魔しないでくださるかしら?」
「ラウラの何を知ってるのかは知らないけど。手出しはさせない」
直感的に分かったんだ。ああ、この女にだけは負けられないって。ラウラとモコウが周囲の人間を逃がしている間に、長い手足を使って格闘戦を演じる忍者とエージェント。共に主に仕える存在だ、負けられない。
「接近戦だと分が悪いですわね。距離を取りなさいインテレオン、みずのはどう!」
「ゲッコウガ。たたみがえし!」
インテレオンから放たれた巨大な水の塊を、アスファルトを捲り上げて防ぐゲッコウガ。しかしみずのはどうを撃った直後にインテレオンはそれを追うように駆け抜けて来ていて。
「みずしゅりけ…」
「ふいうちですわ」
強烈な回し蹴りが頭部に炸裂、蹴り飛ばされるゲッコウガ。吹き飛ばされたゲッコウガはくるりと宙返りしてビルの壁面に着地。両手に水でできた手裏剣を形成して投げつけた。
「防ぎなさい。みずのはどう。そしてご返却するのですわ!」
インテレオンはみずのはどうをまるで自分を覆い隠す盾の様に展開してみずしゅりけんを取り込むことで防ぎ、さらに大きくなった水の塊を球体に纏めると蹴り飛ばして叩きつけてきた。
「たたみがえし!」
「連続でねらいうち」
水の塊を捲り上げたアスファルトで防御。しかしドドドン!と何かが三連続で直撃した轟音と共にアスファルトがぶち抜かれ、ゲッコウガは体勢を屈めて何とか避ける。
「よく避けましたわね。同じところに寸分たがわず当てればどんな壁だろうが物理ならば貫けますわ」
「みずしゅりけん!」
「ふいうち」
みずしゅりけんを形成して投げつけようとしたゲッコウガの横にいつの間にかインテレオンが移動して蹴り飛ばしてくる。駄目だ、溜めがいるみずしゅりけんじゃ…でも、距離を取られたらあの技が使えない。
「みずのはどう、ねらいうち」
するとまた一瞬で距離を取り、エセお嬢様の傍らに立って水の塊を形成、それにねらいうちを何度も当てて巨大化させ射出してくるインテレオン。…駄目だ、バトルセンスはあちらが遥かに格上だ。
「かげぶんしん!」
ゲッコウガは当たる直前に複数に分身することで回避。インテレオンを取り囲み、私が指示する必要もなくみずしゅりけんを全ての分身が両手の間に形成、一斉に射出する。これなら…!
「よく見て避けなさいインテレオン。ねらいうち」
「うそっ!?」
するとインテレオンは身体を器用に逸らして全弾回避。返しに両手を構え、ねらいうちを連射して全てのゲッコウガを撃ち抜いて行く。分身を次々と消して、本物を追い詰めたインテレオンのねらいうち二連射が、壁面から空中に逃れていたゲッコウガを撃ち抜いていた。
「ゲッコウガ!?」
「追撃ですわ。とんぼがえり」
力なく落下するゲッコウガに、私は咄嗟に構えたそれを投げつけるも、容赦ない追撃の蹴りが叩き込まれて海まで蹴り飛ばされてしまうゲッコウガ。間に合った、かな…?
「みず・あくのゲッコウガ。むしわざは効果は抜群ですわ。助けなくてもよろしくて?」
「…うん、わかってたよ。とんぼがえりあるんだろうなって。ねらいうち、みずのはどう、ふいうち。三つの技しか使ってこなかった。理由は今わかった。…私相手にインテレオン一人で勝ちたいから、バトル中に手持ちを手放してたんだね」
「よく気付きましたわね」
そう扇子を広げて笑うエセお嬢様の傍ら、植込みにモンスターボールが五つ乗せられていた。さっきの攻防の時にこっそり手放してたのだろう。それを拾い上げしまいながらエセお嬢様は笑う。
「わたくしはインテレオンだけで十分ですので。この子たちは使う気はありませんわ。そちらは別に、六匹で来ても構いませんことよ?」
「ううん。私もゲッコウガ一匹だけで勝つ。同じ条件で勝たないと勝ったなんて言えないもの」
「寝言は寝て言う事ですわ。ゲッコウガは既に……」
「倒された、と思ってる?みずしゅりけん」
瞬間、海から飛び出してきた、結晶化し頭に噴水の様な結晶を乗せたゲッコウガが、超巨大な水の手裏剣を頭上に掲げた右手に形成、投擲。さっきとんぼがえりを受ける直前にテラスタルして、効果抜群を防いでいたのだ。それに気付いたエセお嬢様は驚愕に目を見開き、インテレオンの陰に移動する。
「っ、インテレオン!みずのはどう」
「それは囮だよ!つじぎり!」
みずのはどうで超巨大な水の手裏剣を防ぐインテレオンだが、せめぎ合っているその間に真横に移動。水の刀を手にして、インテレオンを十字に切り捨てるゲッコウガ。忍者とは、心に刃を持つ者と書く。とっておきの懐刀だ。
「テラスタル……小癪な真似をしますわね」
胸部に十字傷を受けて尚、よろめきながらも立ち上がるインテレオン。なんてタフさだ。まるで、自分だけは負ける訳にいかないという気概を感じる。
「使えるものは何でも使う。ラウラの言葉だ」
ゲッコウガを傍に侍らせて警戒しながらもそう宣言すると、サングラスをかけててもわかるぐらい悔しげな表情を浮かべるエセお嬢様。よし、このまま……!
「みずしゅりけん!」
「ねらいうち、ですわ!」
睨み合うゲッコウガとインテレオンが、それぞれの手に水を集めていたその時、影が差した。
「その勝負、待った!はがねのつばさ!」
一瞬で落下してきた色違いのアーマーガアの鋭い刃の様な翼が、インテレオンとゲッコウガの首元に突きつけられ、技を中断する両者。そのアーマーガアの背に乗っていた人物を見て、避難誘導から戻ってきたラウラと私は同時に口を開いた。
「「四天王ムツキ!?」」
「うるせーですよ、嵐ですかデコボココンビ」
開口一番悪態を吐いたのは、首元に青いスカーフを付けた灰色のロングコートの下には空色のフライトスーツ、黒髪をポニーテールに纏めた紅い瞳の少女。以前、出会った際にラウラとジャックを圧倒した四天王、ムツキさんだ。エセお嬢様は四天王だと聞いて露骨にテンションが下がってブスッとしていた。
「…四天王、ですか。面倒ですわね」
「ブルーフレア団ですね。話を聞きたいのですが。…おや。あなた、ガラルで会いませんでした?」
エセお嬢様を見て、サングラスをかけているにも関わらず見覚えがあるのか首をかしげるムツキさん。するとお嬢様は扇子を広げて口元を隠しながらそっぽを向く。
「なんのことかしら?逃げますわよインテレオン。口惜しいけどここまで、ですわ」
瞬間、インテレオンが一瞬で形成したみずのはどうを破裂。目くらましに私とムツキさんが怯んだ隙に、エセお嬢様は繰り出した通常のアーマーガアに乗って空に舞い上がっていた。ムツキさんが追おうとするも、こわいかおされてすばやさが下げられてしまいドンドン距離が開いて行く。
「あなた、わたくしより高貴そうなアーマーガア連れていて、ド!生意気ですわ!ラウラ、次会ったら今度こそ決着をつけますからそのつもりで!それまでにわたくしのことを思い出しときなさい!」
そう言い残し、エセお嬢様は去って行った。……なんだったんだろ。結局、名前もわからなかったな。決着も着かなかった。次はラウラと戦うと言ってたけど、そうはさせるか。次はボコボコにしてやる…と言いたいけど、技量の差があり過ぎる。悔しいけど、強くならないとな。
とんでも技量のグロリアとインテレオン。ムツキはグロリアの事を見たことがある模様。
実は二度目の冒険だったアイアール。ポケモン博士志望なの忘れていた人結構いそう。その過去になにがあったのか。
そして参戦、四天王ムツキ。ついにラウラモコウムツキが一堂に会しました。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。