今回はネモ襲来。楽しんでいただけると幸いです。
ナンジャモとのジム戦を終えたアイアールを迎えに行くと、オモダカさんと話していたところに出くわした。あの人暇なのか…?
「ジムリーダーに勝利、おめでとうございますアイアールさん。チリからユニークなトレーナーたちがいらっしゃるとお聞きして、貴方方だと思って会いに来ました。おや?ラウラさんもいたのですね、ちょうどよかった」
「あ、ラウラ。どうだったどうだった!?私達の戦い!」
「強かったよ。末恐ろしく感じた」
「本当!?やったー!」
俺があんなにギリギリだったナンジャモ相手に一匹も落とされずに勝ってる時点で俺を越えてるよ、お前は。するとオモダカさんが咳払いする。あ、話の腰を折ってすみません。
「こほん。まずアイアールさん。先程の試合拝見しましたが、とてもファンタスティックな実力の持ち主です…!ゲッコウガと呼ばれていたあのポケモン、パルデアでは見ない種でしたが芸術に等しいチームワークでした。コルサが見れば感動のあまり崩れ落ちていたでしょう。相手のポケモンを知って対策していたのかもしれませんが、選出も完璧でした。わかっていてもあそこまで上手くはまりませんよ?」
「そ、そんなに…?私なんか全然すごくなくて、ラウラの方が……」
「お前それ他の奴に言うなよ。嫌味になるぞ」
「そうなんです!ラウラさん!配信、見させていただきました!貴方も素晴らしい!蟲ポケモンへの揺るぎなき愛と、それを貫く覚悟!まるでジムリーダーの様でした。それに加えて決して強い部類ではないむしタイプだけで統一しているのに関わらず不利な相手だろうと物ともせず圧倒すらした戦術!ピンチでも諦めず勝利を呼び込む度胸と機転!どれをとっても素晴らしい!」
「うんうん。わかっていますねオモダカさん!」
「そんなに褒められると照れます……」
思わず顔が赤くなり前髪を弄る。あとアイアール、訳知り顔で頷くな。なんでお前が褒められた時より嬉しそうなんだ。
「その調子でお二方がチャンピオンランクへとコマを進められましたら近い将来ぜひとも貴方たちをポケモンリーグへとスカウトさせ……」
「アイアール!ラウラ!戦うポケモン決めたよー!」
なんかオモダカさんが凄いことを言いだしたタイミングでやってくるネモ。今回ばかりはナイスタイミング。傍らに仮面をつけた直立している緑の猫みたいなポケモンを連れているがニャオハの最終進化系か。後ろ手に調べる。マジシャンポケモン、マスカーニャか。あ、溜め息ついた。お前も苦労してるな。
「アイアールのジムの勝負も見てた!まーた強くなっちゃって!ラウラといい実って来たね!」
「チャンピオンネモ。お久しぶりですね」
「えっ!なんでトップがアイアールと一緒に…!?」
話しかけられて初めてオモダカさんに気付いて驚くネモ。お前、バトルの事となると本当に周りが見えてないんだな。あ、またマスカーニャが溜め息ついて頭を抱えた。
「トップって?」
「あれ!?二人にはちゃんとは説明してなかったっけ!?この人はねー、みんなが憧れるチャンピオンランクの更に頂点……トップチャンピオンのオモダカさんなんだよ!」
アイアールの問いかけに手を広げて意気揚々と答えるネモ。いや俺は知ってたけど。そうだ、この人は俺の最終目標、勝利することで蟲が最強だということを世に知らしめる相手だ。するとにこっと笑うオモダカさん。ちょっと怖い。
「ラウラさんは知っていた様ですね。わたくしオモダカ、トップチャンピオンをポケモンリーグ委員長、それとオレンジアカデミー理事長を兼務でやらせていただいています」
「ジムの視察できないほど忙しいんじゃなかったでしたっけ!」
「こちらは別件です。このたびは有望な人材が二人もいると聞いてヘッドハンティングに参りましたので」
やめてください記憶喪失に重要な役割させようとするの。俺が犯罪者とかだったらどうするんだ。ロケット団とかマグマ団とかアクア団とかギンガ団とかプラズマ団とか、あとフレア団とか。あ、したっぱは蟲を使うから結構好印象だったりする。スカウトされたらなびいてしまうかもしれない。ボスを倒して乗っ取って蟲が頂点に立つ世界を作るかもだが。あれ?そっちの方が平和じゃね?……うん?なんで俺、会ったこともない悪の組織の名前としたっぱのことについて知ってるんだ?
「え!ラウラは知ってたけどアイアールも、もう有名人なの!?でも、ラウラとアイアールは私が最初に目をつけたんですからトップでも横取りダメです!」
「俺達はお前のもんじゃねえ」
「私、ポケモン博士になりたいからお断りします」
「フフ……残念です。動画のコメントも拝見しましたが、お二人とも大人気ですね」
そうなの?……自分の出てた時の動画を確認するのすっごい怖くなった。どうしようモコウが困ってたやつみたいに変なファンついてたら。…いや待てよ、ナンジャモみたいに人気者になって俺が蟲ポケモンの良さを広めたらみんなも使うんじゃないか?……ふむ。ありかもしれん。
「そうだ!まずはアイアール!約束のポケモン勝負しよっ!はやくはやく!バトルコートへ向かうよー!」
「お待ちください」
「え!なんですか!」
「その試合、わたくしもぜひ見学させていただきたく思いまして」
はやるあまり凄い顔でオモダカさんを睨むネモに物怖じせず笑顔でそう言うオモダカさんはだいぶ大物だな。いや大物だったわ。トップチャンピオンでポケモンリーグ委員長でパルデア最大の学園オレンジアカデミーの理事長とかどんだけ盛ってるんだ。
「あはは!わたしは全然いいですよ!アイアールもいいよね?ラウラも!」
「うん!」
「どうとでも。俺は逃げる」
▽たたかう
ポケモン
バッグ
にげる
たたかう
ポケモン
バッグ
▼にげる
「「逃がさないよ?」」
▽にげることが できない!
踵を返して逃げようとしたら両側から腕をガッシリと掴まれた。目をキラキラさせているネモと、目からハイライトが消えているアイアールだ。待って怖い、その目の差がえぐすぎて怖い。
「なんでだ!ネモはともかく、アイアールまで!」
「アイアールの次はラウラだよ?もう、追いかける時間がもったいないでしょ?」
「私を、じゃない。私の戦いをちゃんと見てて。チャンプルタウンのジム戦、見てくれなかったこと許してないよ?」
「怖いって!?」
思わず涙目で叫ぶ。ブルーフレア団のお嬢様の時といい、アイアールお前怒ると怖いな!?おい周りのギャラリー、引いてないで助けて。オモダカさんもニコニコ笑って見守ってないで何か言って!って今気付いたけどナンジャモ!何時の間にいて、陰から笑いながらなに撮ってるんだ!?生配信してないよな!?せめて許可を取れ!?いや許可しないけど!
「感謝いたします。御三方の攻防、楽しみです。それでは参りましょうか」
「あ、ボクも撮影していいー?ネモ氏、アイアール氏。実況はこのボクナンジャモ、解説はラウラで配信したいんだ!これで視聴率もシビルドン登り……ニッシッシ…」
笑顔で礼を述べたオモダカさんに続いてナンジャモが会話に入ってきた。許可を取れとは言ったが違う、そうじゃない。あとなにしれっと俺を巻き込んでるんだ。
「もちろん、いいよ!」
「ラウラの解説…!」
「俺の許可を取れ!?せめて!?あ、待って引き摺らないで。歩くから。ばかぢからでも覚えてるのか二人とも!?」
こうして俺はアイアールとネモにバトルフィールドまで連行されたのだった。
アイアールの狂気(?)が加速する。実は「逃げられる」ことに途轍もないトラウマがあるって言うね。チャンプルタウンで自分に無断で先に行ったラウラに怒りを溜めて、今回それが爆発した感じ。
アイアールとラウラをヘッドハンティングしにきたオモダカさん。断られたけどまだ諦めない様子。
しれっと登場ナンジャモ。ラウラ戦が過去最高クラスの視聴率を稼いだからいい物が撮れそうならそりゃあ参戦します。まだ彼女のターンは終わらない。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。