ブルーフレア団をぶっ潰すと言う決意も新たに東3番エリアを突っ走るコライドンに乗る俺とアイアール。目的地は東3番エリアの西に位置する鉱夫の町、ピケタウンだ。そこからジムが二つあるナッペ山か、スター団どく組チーム・シーのアジトがあるしるしの木立ちどちらかを目指すのが安定だろう。
「しっかし広いなここは」
「そうだねー、おいしい水を買い溜めしといてよかった」
しるしの木立ちに行くなら東3番エリアの途中で北上するのが一番早いのだが、コライドンなしで行くのは辛いし、アイアールを巻き込みたくないからとりあえずピケタウンに行くことになった。ロースト砂漠にも匹敵する広さと暑さだ、油断はできない。
「でもラウラ?」
「なんだ?」
「スター団に巻き込まれるかどうかは今更だと思うんだけど……もっと危険なブルーフレア団に何度も遭遇してるし」
真っ直ぐ前を見て運転しながらそう言ってくるアイアール。まあそれはそうなんだが…。
「こればっかりは俺の問題だ。お前もまで恨まれるわけにもいかないだろ」
「あ、私を心配してなのか……一蓮托生だから気にすることないのに」
「もし俺が本格的に狙われるようなことになったら、お前と別れて一人ででも旅する覚悟だ」
「……そういうの、やだな」
前を見続けるアイアールの表情を窺うことはできないが、声色から怒っていることは想像ついた。
「いや、コライドンを持っているからブルーフレア団に狙われることはしょうがないにしても、スター団はお前には本当に何も関係ないだろ。わざわざ面倒事を増やすな」
「だから、私も一緒に戦えるよ!1人より2人での方が……それとも私、そんなに弱い!?」
「いや、お前の強さは認めるがそれとこれとは関係ないだろ。俺はお前に巻き込まれて欲しくないだけで……」
「むしろ巻き込んでよ!友達でしょ、一緒に旅してる仲間でライバルでしょ!私はやれるよ!」
そう声を荒らげるアイアール。……だけどなあ。アイアール、明らかにブルー…いや、フレア団になにか悪感情を抱いているんだよなあ。
「……前回のほのお組でわかったんだが、スター団はブルーフレア団の庇護下にある組織らしい。ボスの一人もブルーフレア団の用心棒で……シュウメイとアケビの問答でも言ってた通り、奴らの息がかかった団員が何人もいる。多分一枚岩じゃない」
「…ブルー、フレア団の……」
説明すると分かりやすく意気消沈するアイアール。やっぱりな。初めて会ったバラやエスプリの時は多分、フレア団とブルーフレア団が繋がらなかったから平気だったんだろうが…重なったんだろうな。俺がバラと遭遇したときの電話とか、あまりに過剰に心配していた。
「お前の過去に何があったかは知らない。だけど、フレア団と何かあったのは分かる。抱いている感情は恐らく、恐怖か…畏怖、または嫌悪か」
「っ……」
「…それでも関わりたいか?」
「……ごめん、無理」
「アギャ?」
立ち止まり、心配する様にアイアールに顔を向けるコライドン。アイアールは自身の身体を両手で抱えて震えていた。
「何時から気付いてた?」
「アケビの襲撃の時だな。明らかに強張っていた。…会ったことがあるんじゃないか?」
「…あっちは覚えていなかったみたいだけどね。ねえ、入り口まで送るぐらいならよくない?」
「…お前がいいなら」
その後、しるしの木立ちに進路を変えてまた走り出す。その間、どちらも無言で何とも言えない空気が流れていた。こんな空気にしやがって、ブルーフレア団ぶっ潰す。
「…じゃあこのポケモンセンターで待ってるね」
「必ず帰ってくるから安心しろ」
しるしの木立ち前のポケモンセンターに辿り着き、コライドンから降りてアイアールと別れた俺は林の中に入って行く。なんで荒野の横にこんな生い茂った森があるんだ?カラフルな模様が描かれているのはスター団の縄張りの証とかそんなところか。すると森に入ったすぐ先に見覚えのあるリーゼントが見えた。
「お。校長…じゃない、ネルケ!」
「ラウラ。今の俺はネルケだ。そういうことにしといてくれ。いい機会だ……この前話しそびれた続きを聞いてくれ」
「なんでしたっけ」
「俺がスターダスト大作戦に参加しているのはスター団の問題と謎を探るため、スター団に入っている生徒たちの不登校の理由を知るためだ。団を解散させたいカシオペアと利害は一致してるしな」
そういやそんなこと言ってたっけか。…ブルーフレア団も関係あるんかな。
「実際、ラウラとスターダスト大作戦に加われてスター団に近づくことができたし、団のボスたちと話してわかってきたこともある。だがもう少し情報が欲しい。そのために残るスター団たちとも話がしたい。だからアジトに挑むなら力を貸すぜ。じゃあ俺は見張りに戻る。またなラウラ」
言うだけ言ってネルケは行ってしまった。どうせカチコミする時に合流するんだし一緒に行ってもよくないか…?まあいいや。それよりも、だ。
「蟲ポケモンがいっぱいいそうないいところだが……」
…なんだ?林に入ってから視線を感じる。見張られている…?
「おっ、ダーマ…じゃない、ワナイダー。それにコンパンまで…天国かここは?」
木の上にしがみ付くワナイダー可愛いな。コンパンもとてとて歩いてる姿が可愛い。……いや本当に可愛いな?
「……ちょっとぐらい寄り道してもいいだろ」
道を外れて、コンパンを追って林の奥に入って行く。ああ、癒される……コンパン手持ちに入れてもいいかもなあ。でも今のメンバー外したくないしなあ……あれ、コンパンどうしたんだ?そこで止まって、振り…返って…?
「げほっ、ごほっ!?」
崩れ落ちて咳き込む。なんだ、これ……毒か?コンパン、いやこいつは囮か…くそっ。足音が聞こえて、なんとか首を動かして視線を向ける。そこには、青いサングラスをかけたスター団のしたっぱの男女二人が立っていて。
「引っかかった引っかかった♪やりましたねパイセン!よくやったコンパン!」
「スター団のボスは馬鹿だからな。気付きもしないだろうさ」
「なにも待ち構えなくても、罠にかければコロッと引っかかる。これで私達、幹部ですかね!?パイセン!」
くそっ、やらかした……青いサングラスのスター団……ブルーフレア団のやり口をなめていた…ちく、しょう…
アイアールとはぎくしゃくした空気になったあげく、罠にかかってしまうラウラ。前作でもそうでしたが、自分を思ってくれる人の心がわからないやら、蟲に首ったけなのがラウラの欠点ですね。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。