今回はラウラを救うためにアイアールもとい、通りすがりの謎のヒロインエクスが大奮闘。楽しんでいただけると幸いです。
数刻前。ラウラのエクスレッグヘルメットを拾った私は何か知ってるらしいカリキリを追いかけて森の奥へ向かっていた。しばらく歩くと聞こえてくる怒号と、ラウラの声。
「いた……だけど、ブルーフレア団…」
会話を聞かなければよかったかもしれない。奴らがフレア団に連なる者だと知らなければ愚直に突っ込めた。でも無理だ、足がすくむ。手が震える。カチカチと歯が鳴る。もう関わりたくないと心が叫ぶ。
「ひっ、、はぁ、こひゅっ……すぅ、はぁ!」
「ゲコッ」
過呼吸になって苦しくなるもなんとか落ち着こうと肩で息をしていると、ゲッコウガに両肩を叩かれて正気に戻る。ジッとこちらを見つめてくるゲッコウガ。
「…うん、ごめん。君に甘えてばかりだね」
私の最初の相棒。なのに関わらず、嫌でも最悪な記憶を思い出してしまうから、カロスの旅を中断してからずっと他の手持ちと一緒に、……がいなくなって人手が足りない家の手伝いをしてもらっていた。申し訳ない気持ちでいっぱいで、話すことすら最低限だったのに、今でも言うことを聞いてくれているのが、泣きたくなる。
「もう、目を背けて逃げ続ける訳にもいかないよね。真正面から向き合わないと…でも、動けないよ。ラウラを助けたいのに、どうすればいいんだろう……」
「ゲコ」
するとゲッコウガが私の抱えているラウラのエクスレッグヘルメットを指差してきた。被れって、こと?そう言えばラウラ、これを被ったらいつもより強気になってた。高かったって言ってたしそういう効果があるのだろうか?
「…ええい、ままよ!」
眺めていてもラウラの苦悶の声が聞こえてくるだけなので、意を決してエクスレッグヘルメットを被る。あ、ラウラの匂い……って、そうじゃない!なんだろう、顔を隠しただけなのに落ち着いてきた。安心感があるというかなんというか。…うーん、なんだろ。今なら何でもできる気がする!
「ゲッコウガ、私も連れて上に!」
「ゲコ」
「牽制する様にみずしゅりけん」
そう指示した私を抱えて跳躍、木の上に飛び乗って様子を窺ってからみずしゅりけんを発射。スター団の恰好をしたブルーフレア団……ややこしいな!とにかく、ラウラから遠ざけることに成功する。
「何者だ…!?」
「危ないわね!?」
「ゲッコウガ、お願い」
ゲッコウガに抱えられたまま飛び降りて、警戒させるためにそれっぽいポーズを決める。え、えっと、なんか言った方がいいかな!?(目グルグル)
「わ、私は……えっと、通りすがりの謎のヒロインエクス!その人を離しなさい!」
「なにが謎のヒロインだボケこら!そのゲッコウガとかいうポケモン知ってるぞ!」
「ドンナモンジャTV見たもの!ラウラの相棒のアイアールでしょアンタ!」
「すぐばれた!?……な、なんのことかな!?」
「いや、無理があるぞ…」
ラウラにもツッコまれたけど、もうこのまま行くしかない!
「ゲッコウガ、たたみがえし!」
「え、あ、シルシュルー!?」
たたみがえしで打ち上げられ、四方八方から水刀を構えたゲッコウガに切り刻まれ、落下するシルシュルーは目を回して崩れ落ちた。戦闘不能だ。
「この…やっちゃいなさいコンパン!とびつく!」
「ベトベター、ドレインパンチ!」
女の指示で飛びついてくるコンパンをゲッコウガが殴り飛ばすも、横から溶けた状態でいきなり実体化したベトベターの拳が炸裂、殴り飛ばされる。あくタイプのゲッコウガに効果抜群の攻撃ばかり…厄介だ。
「どくのこな!」
「そんなもん、効くかあ!」
するとコンパンが横からどくのこなを放って来たが、エクスレッグヘルメットのおかげで全然効かない。命令していた女にずんずん近寄り、ヘルメットの頭突きを叩き込む。
「いったーい!?」
「今!ゲッコウガ、コンパンにみずしゅりけん!」
悲鳴を上げながら仰向けに倒れる女したっぱ。コンパンはそれを見て狼狽えてキョロキョロと見渡し、そこにみずしゅりけんの束が炸裂。コンパンはぱたりと倒れて戦闘不能となった。
「後輩!?やるな……だが、俺達がラウラに負けてからなにもしてないと思ったら大間違いだぞ!」
「そんな付け焼刃!つじぎり!」
「付け焼刃かどうかはその身を持って味わえ!ちいさくなる!」
「なっ!?」
するとシュルシュルシュルと瞬く間に縮んで草陰に隠れて見えなくなるベトベター。水刀は空振り、前転したゲッコウガは体勢を立て直して警戒する。
「ヘドロこうげき!」
「きゃっ…ゲッコウガ!?」
すると死角から飛んで来たヘドロの塊から、私を横抱きで抱えて飛び退くことで回避するゲッコウガ。私を狙ってきた!?げしげしと女を蹴って起こそうとしている男が見える。また2VS1になったらこの状況を覆せる気がしない!
「おい、起きろ後輩。お返しさせてもらうぜ!マッドショット!」
「アイアール、逃げろ!」
さらにヘドロこうげきに織り交ぜて泥の弾丸まで飛ばしてくるベトベター。泥の弾丸が掠ったゲッコウガのすばやさが下がり、ゲッコウガにヘドロこうげきが当たり始めた。ラウラがそう言ってくるがそういうわけにもいかない。ゲッコウガは木を蹴って次から次へと飛んでくるヘドロこうげきを回避し続けるが、このままじゃじり貧だ。
「ゲッコウガ、あのね………みずしゅりけん!」
「そんなもん当たるかよ!」
四方八方から次々飛んでくるヘドロこうげきを避けながら、みずしゅりけんを投げるゲッコウガ。ベトベターに当たるとは思ってない、目的は…!
「いたたっ…ってパイセン!?ラウラが逃げてる!」
「なんだって!?」
目を覚ました女したっぱが指摘した通り、いつの間にか縄が切れてラウラは逃げ出していた。ベトベターを狙っていると見せかけたみずしゅりけんで、密かにラウラの拘束を解いていたのだ。もうあとはラウラ任せだけど!
「逃がすか!」
「ベトベター!そのまま続けろ!後輩、絶対に逃がすな!」
ベトベターに攻撃を続けさせながら、男の方がブロロンを出して二人してラウラを追いかけるしたっぱコンビ。ラウラはなにかを探しているのかキョロキョロと辺りを見渡している。あれ、ボールは多分あのテントの中だと思うけど…とっている間にまた捕まることを危惧したのかな?じゃあ、何を探して…?
「いた!……こっちだのろま!」
「なんだと!?ブロロン、ずつきだ!」
すると顔を輝かせたラウラが挑発、ブロロンが放ったずつきを、華麗に避けて木にぶつけさせた。バサバサと木の中にいたのかヤミカラスの群れが飛び立っていく。
「万事休すだなあ、ラウラ?」
「大人しく捕まるのが身のためだと思うけど?」
「…ああ、同感だ。お前らがな」
「「は?」」
瞬間、二人の間の足元に突き刺さる、モンスターボールを改造したと思われる手裏剣。次の瞬間ボールが開いてベトベターが飛び出し、そのドロドロの身体で二人を飲み込んで拘束してしまった。
「今だ、みずしゅりけん!」
それに驚いてベトベターの攻撃が止まったところにみずしゅりけんが炸裂、撃破してラウラに駆け寄ると、腕を組んでドヤ顔していた。
「い、いったいなにがあ…!?」
「ここはお前らスター団のテリトリーなんだろ?なら、異常が起きれば来るはずだよな?お前らのボスが」
「…かたじけのうござる。ラウラ殿を待ち構えていたら、こんなことになっていたとは」
そこに降り立ったのは、紫の忍者。え、誰?その口調、もしかしてシュウメイさん?
「シュウメイか。悪いな、お前の手を借りるしか思いつかなかった」
「こちらこそ悪かったでござる。…仮にもうちの部下がこんなことをやらかすとは。謹んでお詫び申す。これではいじめっ子どもと何も変わらんでござるぞ」
「「ひ、ひぃ~!?」」
怯える二人。…何だか知らないけど、解決した様で何よりだ。
結構強かった男したっぱでした。ベトベターの技はドレインパンチ、ちいさくなる、ヘドロこうげき、マッドショット。なお女。
ヘルメットを被って現れたのは、仮面効果故でした。違う自分になった錯覚は意外と馬鹿にならないのだ。ラウラの匂いで安心したのもあるかもしれない(目そらし)
目に見える異常を起こすことでシュウメイを呼びだし勝利。感想でボール手裏剣のこと言われてビクッとなりました。こういうボスとの関係もあっていいじゃない。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。