今回はシュウメイとの語り合い。楽しんでいただけると幸いです。
「うちの…元部下が迷惑かけたでござるな」
包帯と傷薬を手に傷付いた俺の身体を治療するシュウメイに事のあらましを話すとそんな言葉が返ってきた。エクスレッグヘルメットを被ったままのアイアールはテントの中に入って物色しているようだ。
「いや……災難なのはお前たちもだろう。アケビによればしたっぱのほとんどがブルーフレア団に鞍替えしているとか」
「信じたくないでござるが……そもそも我々スター団はいじめられっ子の寄せ集めでござるからな。服従を強制しているわけでもなし。気が変わっても仕方がないやもしれぬ」
「カシオペアが言っていたな…大半がいじめられていたり、人付き合いが苦手なだけのオレンジアカデミーの学生が集まってスター団が結成された…一人では立ち向かえないいじめに打ち勝つために、だっけか」
「カシオペア…?」
「…あー、忘れてくれ」
シュウメイから語られた言葉に思わず言ってしまったが、これ内緒だった。危ない危ない。
「…その話、どこから得たでござるか?」
「生徒のSNSをハッキングして突き止めた情報らしいが」
「それは妙でござるな。当時の事を知っている生徒がSNSで話すとは到底思えぬ……新たな教師たちに我らの事情を説明しようともしなかった連中でござるし…スター団からしたら思い出したくもない過去でござる」
「…それは確かにおかしいな?」
じゃあカシオペアはどこからその情報を…?するとテントの中から、やっぱりエクスレッグヘルメットを被ったまんまのアイアールが俺の鞄とボールホルダーを手に出てきた。お前何時までそれをつけてるんだ…?
「ラウラの荷物と手持ち、見つけたよ。七匹とも、みんな無事みたい」
「ありがとうアイアール」
「それにしても、そこの御仁」
「な、なんですか?」
俺に荷物とボールホルダーを渡してから、シュウメイに声をかけられて手をちょこんと伸ばして身構えるアイアール。ホアーとか言って振り回してるのアホっぽいぞ。
「そう身構えなくてもよい、我は手負いを襲うような野暮はせぬよ。それよりも、いいポケモンをお持ちでござるな。ゲッコウガといったか…興味深いでござる」
「あ、ゲッコウガですか!私の相棒で、しのびポケモンでですね!みず・あくタイプでみずしゅりけんが得意技で、とくせいはたしかきz…」
「落ち着け!」
「はう!?」
シュウメイに相棒の事を聞かれて嬉しかったのか、極度の緊張状態だったせいかペラペラと早口で喋りだしたので背中を叩いて正気に戻す。
「しのびポケモンでござるか…どくテラスタルがいたらぜひとも捕まえてみたいでござるな。我は忍者の末裔故」
「そうなのか?」
「自称でござる。我は忍者オタク故。オタクの道は修羅の住まう
そう語るシュウメイのまなざしは哀愁漂っていて。……スター団の根幹に当たるものが分かった気がした。……あの二人みたいなクズは少数派と考えた方がよさそうだな。
「そうか…いいと思うぞ、好きなものは貫きたいよな。俺も蟲オタクだ」
「私はポケモン博士志望!」
「なんと、種類は違えど同志でござったか!……もう少し早くユーたちと出会えていたらよかったでござるな……」
「シュウメイ……俺は、あの二人に大好きな蟲ポケモンを貶されて、スター団はみんなそういう奴等だと思ってぶっ潰そうと決めたんだ」
「…そんなことをしたでござるか」
「「ひい!?」」
シュウメイに睨み付けられてベトベトンに捕らえられているしたっぱ二人は震え上がる。やっぱりあれはこいつらの独断だったか。
「……だけど、そうじゃないらしい。ピーニャやメロコ、ビワと出会って戦って、お前らにも信念があると分かった。こういう奴等は一握りだってこともな。だから、スター団だからって恨むのはやめにする」
「…かたじけない。でもだからといって手は抜かないでござるよ。正々堂々カチコミして我の
「望むところだ」
「…これは?」
拳を突き出すと首をかしげるシュウメイ。…うーん、なんだろう。無意識に拳を突き出してたけどなんだっけ…あ、そうだ思い出した。
「なに由来かは忘れたけど
「ダチ…!よもやマジボス殿たち以外とそのような関係に……喜んで、でござる!」
「こうしてこうして、こうだ!」
シュウメイも突き出した互いの拳を数回打ち合わせて、揃って笑みを見せる。こいつとは気持ちよくバトルができそうだ。
「では我からもこれを」
「これは…手裏剣型のモンスターボールか?」
シュウメイが懐から取り出して手渡してきたのはベトベトンも入っていたあのボール手裏剣だった。…なんか既視感あるんだよなあ。
「ある地方の忍者のものを参考にして改造したボールでござる。かなりの飛距離を飛んで壁などにも突き刺さるため不意打ちに使えるでござるよ。…ブルーフレア団と戦っているならこういう絡め手も重要でござる」
「なるほどな。ありがたく受け取るよ」
ウカ辺りを入れて切札として使うかなあ。ウカが言うことを聞いてからじゃないとろくに使えなそうだが。
「…ちょっと妬けるな」
「なにがだ?」
「なんでもない!」
アイアールがなんか呟いてたけどなんだったんだ?
「では我はこれで。この二人の処遇は任せてもらおう」
「ああ、また後で会おうな」
ベトベトンに二人を捕らえたまま去っていくシュウメイを見送り、俺とアイアールは一息ついてから歩いてチーム・シーのアジトの入り口を目指して歩いて行く。あ、そういえば。
「アイアールはどうする?」
「心配だからついていく!あ、でもこのヘルメット貸してね。これないと不安になるから…」
「…あとで返せよ、それお気に入りなんだから」
「……私も買えばよかったなあ」
「そんなに気に行ったのかよ」
そんな会話をしながらバリケード前にやってくると、なにか揉めている様だった。なんだ?星型サングラスをかけたスター団のしたっぱと……あのちっこいのはオレンジアカデミーの生徒か?
「……いい加減、帰ってくれないかなあ!」
「やだ!どく組ボスのシュウメイ殿に会いたいんだ!」
「だからさ!本人に言われてるのよ団員以外は誰も通すなって!今はただでさえラウラって奴に宣戦布告されてて大変な時期なんだしさあ!わかる!?」
「絶対に会う!シュウメイ殿とおはなしするんだ!」
「勘弁してくれよ、もう……誰か助けてくれー!」
なんか知らんがちっこいのはシュウメイに用があるみたいだな。
「なんだか揉めてるみたいだけど、どうする?」
「ほっとくわけにもいかんだろうよ。おい!」
「あれ?」
「あーあ、また誰か来ちゃったよ……しかも一人は見るからに怪しいし…スター団の新人ってこんなにめんどいんだ……入らなきゃよかったかも。でも楽しいんだよなあ」
話しかけながら近づくと、げんなりと肩を落とすスター団。なんか悪いな。すると少年はなにかに気付いたようであからさまに警戒し始めた。俺なんかしたかな?
「待ってしたっぱさん!この赤髪の人ってラウラじゃない?」
「ラウラってうちらに喧嘩売ってるやつ?」
「おう。カチコミだ」
「やはり!」
「わわ。ヤベえー!昨日オールでゲームしてたしアジトの奴ら絶対寝てる……」
「楽しそうだな」
「あ、それでシュウメイ買い出ししてたんだ…」
アイアールがボソッと呟く。なんでボスが買い物してるかと思ったが合点が行ったわ。すると少年がしたっぱと俺達の間に立ちはだかってきた。
「そのカチコミ、待った!ここは任せて!したっぱさんは仲間を起こして!」
「はっ?なんでお前が?」
「アジトがむぼーびだとシュウメイ殿もあぶないんでしょ!シュウメイ殿はおんじんであり僕の同胞…!危機には万難を排し馳せ参じるが道理なんだい!」
「難しい言葉を使えて偉いが、俺はそのシュウメイとダチだぞ」
そう言ってさっきもらったばかりのボール手裏剣を見せると、少年としたっぱは揃って驚愕した。これ便利だな。
「シュウメイ殿のトモダチ、つまり同胞!?」
「アイエエエッ!?指名手配のラウラがボスとダチとかマジ!?いやでもカチコミに来たって言ってるし、あれえ!?」
「なんでもいいがとりあえず仲間を起こしてこい。誰もいないのにカチコミとか寂しいぞ。準備できたら教えてくれ」
「お、おう!なんだかわからないが助かるぜ!じゃな!」
促すとスター団したっぱはそそくさとアジト内に入って行った。…さてと。
「シュウメイに用事があるらしいな?俺は今からアイツと戦いに行く、ついてくるか?」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて…」
「いいの、ラウラ?」
「いつもはこうちょ…じゃない、ネルケもいるし、今回はアイアール。お前もいる。今更一人増えても変わらんさ」
その10分ぐらい待つことになってからさっきのしたっぱがやってきてOKサインを出してくれたので開戦する。待たせ過ぎじゃないかなあ!?
ラウラのダチ認定されることなったシュウメイ。拳のぶつけ合いは宇宙キターなあれです。どうでもいいことは覚えているラウラの頭。ラウラとはオタク仲間。アイアールとは忍者仲間で親和性高かったシュウメイでした。
ヒロノブくんイベントは友情の証でスキップ。次回ようやっと開戦です。
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