今回はフリッジタウンへの道中。楽しんでいただけると幸いです。
エスプリにされていたスター団したっぱ二人を氷漬けにしたまま、二言三言交わしたグルーシャさんがこちらを振り向く。
「この二人の引き渡しは僕が引き受けよう。助けてくれて感謝するよ。だからってジムに来た時は手加減したりしないけど…」
「望むところです」
「絶対倒します!」
「サムいね。だけど、羨ましくも感じるよ」
そう言って見送ってくれたグルーシャさんと別れ、プルピケ山道を抜けて洞窟の中を進んでいく俺達。
「チャンプルタウンはこっちってさっきの看板に書いてあったけど合ってるの?」
「山の中にポケモンセンターがあってそこから内部を登っていくルートもあるが、チャンプルタウンの方から登った方がフリッジタウンは近いらしい」
「つまり……私がハルクララと会った辺り?」
「多分そうだ」
いつぞやの偽龍のヌシと戦った時にアイアールはナッペ山で修行してたから二度目の登山になるのか。
「前はどうだったんだ?」
「寒かった!」
「だろうな」
「あと、結構野生ポケモンが強かったよ」
「ちょうどいい、最近苦戦続きだからな。ちょっと鍛えて行くか」
ちゃんプルタウン方面から道なりに登り、コライドンを警戒してか襲ってくるクマシュンやユキワラシやデリバードなどを倒しながら中腹のポケモンセンターに訪れる。
「あら。この間の子ね、また来たの?」
「え、私のこと知ってるんです?」
ポケモンセンターに訪れてネットボール六つを預けるなり、ストーブの前に手を掲げて温まっていたジョーイさんがアイアールの顔を見て不思議そうに首をかしげる。アイアールの方は覚えがないらしい。しかしいつも思うがどこのジョーイさんも瓜二つだが姉妹かなにかなのか?……いや、よく見れば細部が違うか。同じ髪型と服にしているだけかな。
「木に何度も頭をぶつけていたアルクジラを捕まえていた子でしょ?捕まえようとして逆に吹っ飛ばされてたけどめげずに頑張ってた」
「お前そんなことしてたのか…」
「あはは……前は強くなるための修行で、今回はフリッジタウンを目指してきたんです。あ、この子が今のアルクジラ…ハルクジラのハルクララです」
そう言ってモンスターボールを見せるアイアール。先の戦いで進化したハルクララは顔見知りなのか嬉しげに手を上げた。
「進化したのね、よかったわ。いつも気絶したアルクジラを治療していたから感慨深いわね。いつか死んじゃうんじゃないかって心配してたの。大事にしてくれてありがとね?」
「い、いや…トレーナーなら当たり前です」
「謙遜するな、立派なことだぞ」
恐らく強くなるためとかじゃなくて、見てられなくて捕まえたんだろう。アイアールはそう言う優しいやつだ。すると機械を操作していたジョーイさんは何かを思い出したように紙の束を取り出した。
「そうだ、ここ近辺で行方不明者が何人か出てるの。フリッジタウンを目指すなら気を付けてね」
「行方不明……」
「ブルーフレア団の仕業かな?」
「さあな。エスプリの件もあるしな…気を付けるだけ気を付けとこう」
そうして一休みした俺達は再びフリッジタウンに向けて出発するのだった。
「吹雪いて来たね……」
「地図によるとフリッジタウンは近くのはずなんだが……」
道なりに進んでいると、突然吹雪いて来て、ドラゴンタイプなのか縮こまってしまったコライドンから降りてボールに戻し、歩いて進む俺達。防寒対策してなかったらヤバかった。
「アイアール、ちゃんとロープは結んであるか!?」
「だいじょうぶー!」
逸れない様に結んだロープが繋がってるのを確認し、吹き荒ぶ雪風から顔を隠しながら雪道を登って行く。大声を上げないと意思疎通できないし、いくらなんでも吹雪が強すぎる。もしかして、自然発生じゃないのか?
「アイアール、ポケモンかなにかがこの吹雪を操ってるかもしれない!警戒しろ!………アイアール?」
返事が聞こえないのでロープを引っ張りながら振り返る。そこには、風に吹き飛ばされそうになってるロープの切れ端がひらひらと浮いていた。先端が白く染まっているところを見るに氷か何かで斬られたらしい。気付かなかった。
「アイアール!?」
慌てて大声で呼びながら周囲を捜すが、返事も聞こえないし見当たらない。本格的に不味いぞ!?
「くそっ……こうなったら、ケプリベ!」
生憎とウルガモスは手持ちにいないし、ニトロチャージが使えるウカは言うことを聞いてくれない。ならばとケプリベを繰り出すと、雪の中でぼんやりと玉が輝くのが見えた。
「フルパワーだ!じんつうりきで吹雪を止めろ!」
そう指示すると玉が強く光り輝き、桃色の波動が周囲にドーム状に広がって、吹雪の雪をその場で固定する。約5メートルのドーム状の空間内で雪風は完全に静止した。すると背後に気配。こおりタイプと読んでぼむんの入ったボールを掲げる。
「ぼむん!でんじほう!」
するとオーロラの様な壁ででんじほうが防がれる。オーロラベール、あられもしくはゆきの時だけ使える技で、ぶつりととくしゅに強いバリアを発生させる技だ。その向こうにいるのは、一見人型だが頭部から両腕が伸びているという特殊なフォルムの全体的に白く着物を着た少女を思わせる可憐な容姿のポケモン。図鑑を確認する。
「ユキメノコ、こおり・ゴーストタイプのポケモン…!」
図鑑説明によれば気に入った人間やポケモンを冷気で凍らせ、巣穴に持って帰って飾るとある。つまり行方不明者やアイアールはコイツに氷漬けにされて誘拐されたのか?それで俺も捕まえようとして…。
「ぼむん、ヘビーボンバー!」
空中に舞い上がり、急降下攻撃を繰り出すぼむんだったが、雪煙が晴れたそこにユキメノコの姿はなく。とくせい、ゆきがくれか…!
「警戒しろ、ぼむん!」
ケプリベは吹雪を固定しているから戦闘には参加できない。もう一匹出してもいいが、正直ぼむんの周りや俺の周囲を警戒するのでいっぱいいっぱいだ。考えろ、考えろ…恐らく奴の覚えている技はゆきげしき、オーロラベール。ふぶきも覚えているかもしれないがそれならアイアールだけ連れ去られた理由が分からないから多分違う。アイアールだけを音もなく凍らせてしまう技ってなんだ…?
「ぼむん!?」
考え事をしていたら、気付いたら氷漬けになってゴトンと音を立てて雪の中に転がり、追撃の鬼火の様な波動を受けて目を回すぼむん。今のはたたりめか…?なんだ、奴は何をしている?
「ダーマ!」
相手の攻撃の正体を見極め反撃するためにダーマを繰り出す。ダーマのとくせいは「はりこみ」交代してきた相手に攻撃する際、こうげき・とくこうが2倍になるというとくせいだがもうひとつ、警戒心が非常に高く隠れている相手の動きもある程度観測できることができる。蟲ってのはか弱いから、外敵に対する備えは強いのだ。俺が見るよりも、ダーマが反応するのを待った方が確実だ。
「スレッドトラップ!……こおりのキバ、か」
ダーマが反応したのを見て指示、糸の盾で受け止めて下手人を糸で絡め取るダーマ。攻撃の正体はこおりのキバ。あれでひっそりと噛み付いて連れ去っていたのだろう。そして、ダーマが動きを止めてくれているならもう一匹ポケモンを出して反撃できる。
「ジャック、その場でがんせきアックス!」
そして繰り出したその巨体に怯えるユキメノコに、ジャックが振り上げた岩斧がスレスレ目の前に振り下ろされる。倒してしまったらアイアールたちの居場所が分からないからな。
「これで斬られたくなかったらアイアールたち…お前が攫った女の子たちの居場所を教えろ」
「(コクコクコクッ)」
軽く脅すと全力で首を縦に振ったユキメノコをダーマで縛り上げ、歩かせるとかまくらが存在し、中で氷像にされていたアイアールたちをウカに頼んでニトロチャージしてもらい溶かして救出した。さすがに仲間と認識しているアイアールのピンチにはウカも手を貸してくれるらしい。
「助かったよラウラ……シングを出す暇も無くてさ」
「肝が冷えたぞ」
ユキメノコは反省した様なので逃がしてやり、俺達はユキメノコに囚われていた人々と共にフリッジタウンに到着、一息つくのだった。
ブルーフレア団関係ない話は久々かな?
アニポケとかポケスペとかなら多分主人公達の手持ちに入っているであろうタイプのユキメノコ。技はゆきげしき、オーロラベール、たたりめ、こおりのキバです。
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