今回は幕間。ある事実が明らかに。楽しんでいただけると幸いです。
ジムテストのステージアクトをアイアールが行って大いに盛り上げ、ゴーストタイプにテラスタルすることできよめのしおの効果であくタイプ以外弱点が無くなったキョジオーンことツムヅムが無双してライムさんに完勝した、その後。
「きよめのしおでゴーストテラスタル、ゴーストタイプも半減するの鬼みたいなとくせいだな。しかも堅牢な要塞だし」
「ほぼ無敵だけどあくタイプって大体のポケモンのサブウェポンにあるから結構博打なんだよね…ラウラの戦いで予習できたのがデカかったよ」
「先にジム戦すると後の奴にそういう強みがあるよな」
言いながらフリッジタウンの屋台「串のトリコ」で購入したピンチョ・モルノ……串焼きを美味しく立ち食いする。アイアールは焼きおにぎりを購入して頬張っていた。なんかチャンプルタウンを思い出すなそれ。最初はまいど・さんどで昼食をいだたこうとしたのだがアイアールが嫌がったのだ。ピケタウンでは行ったはずなんだがな?
「ふぅ、食った食った」
「次はどこに向かうんだっけ?」
「スター団フェアリー組「チーム・ルクバー」のアジトのある北3番エリアだな。ここから北上してナッペ山を下りる必要がある。できればお前には待っていてほしいんだが……」
「コライドンもなしでナッペ山を降りる気?自殺行為だよ」
「それなんだよなあ」
ぼむんだとバランスも崩しそうだし、何より結構急斜面だ。かっくうもできるコライドンの力を借りるしかないよなあ。
「しょうがないか……でも手出しはするなよ。これは俺の喧嘩だ」
「それはわかってるよ」
スター団むし組のためにも、スター団のボス全員に一人で勝つ必要があるからな。その邪魔はされたくない。そんなことを考えながらフリッジタウンを出発する。目指すは北だが、来た道を道なりに戻って行く。一度、アイアールとハルクララを覚えていたジョーイさんのいたナッペ山のポケモンセンターまで戻り、そこから別の道を進む必要がある。
「…よし、ここを右だ」
「了解」
ポケモンセンターが見えて来たら右に曲がり、そのまま下り道を降りると北上する。すると、道の先でボチの群れに群がられて倒れている人影が見えてきた。どこかの民族みたいな奇妙な文様が描かれた、ウォーグルの羽が飾りとして付いている緑を基調とした仮面が傍らに落ちている、華奢な体にオレンジアカデミーの夏服のネクタイが無い上に両袖を破ってタンクトップ風にしていて、日焼けした浅黒い肌で裸足の、野生児という印象の人物。一瞬サニアか?と思ったがその顔は思いがけない人物だった。
「ペパー!?」
「オーリム博士!?」
「……え?」
ペパーにそっくりなその顔の人物、アイアールが言うにはオーリム博士らしい。ペパーの母親だから似ててもおかしくないか。いやだが、学生服?なんで?
「と、とにかく助けよう!」
「でもなんでボチなんかに……」
アイアールにコライドンを操縦してもらって近づきながら、ポケモン図鑑アプリを開いて調べる。ボチ、おばけいぬポケモン。ゴーストタイプ。人と関わることなく命を落とした野良の犬ポケモンが生まれ変わったと言われている。人懐っこくて寂しがり。ちょっとかまっただけでもいつまでも後をついてくる。ふむふむ…ふむ!?
「近くにいる人の生気を無自覚に少しずつ吸い取っているため、長時間遊ぶのは避けたほうがよい…!?」
「そういうこと!?コライドン、吠えて!」
「アギャアアアアアスッ!!」
アイアールの指示に頷いたコライドン渾身の咆哮を受けて蜘蛛の子散らすように逃げて行くボチの群れ。そりゃボチの群れに群がられたらひとたまりもないわな。
「おーい、生きてるかー!?」
というか服も夏服だし普通に寒さにもやられてるっぽい。なんとか上半身を起こし、荷物からモコモコの上着を取り出して被せると、その人物…少女は目を開けて驚きに目を見開いた。
「ラウラ。なんで?」
「その声…お前、サニアか?」
「驚いた、オーリム博士にそっくりだ」
その正体は仮面が外れたサニアらしい。アイアールの言う通り、ペパーにもよく似た美形の顔が目を引く。
「かんけいない。わたし。サニア。それだけ」
「お前、こんなところでなにしてたんだ?そんな薄着で自殺行為だぞ」
「……エリアゼロ。ぬけみち。さがしていた」
「「エリアゼロ?」」
エリアゼロってのはたしか、パルデアの大穴の中のエリアのことか。オーリム博士がいるとかいう。なんでそんなところに?とアイアールと一緒に首をかしげる。
「ゼロゲート。とじられてて。だんがいぜっぺき。はいれない。だから。さがしてた」
「なんでエリアゼロに?」
「わたし。あそこにかえりたい。クラベルにはかんしゃしてる。だけど。てがかりがほしい」
「なんのだ?」
「わたしのこきょうに。かえるほうほう」
真剣な顔でそう語りながら仮面に降り積もった雪を手で払って装着するサニア。つまり……サニアはエリアゼロから来たってことか?いや帰る方法の手がかりってのはどういう意味だ?
「わたし。とおいところからきた。とおい。とおいところから。かえりたい。でもわからない。だからいく。エリアゼロに」
「いやいや、わけがわからないよ?」
そういうアイアールだが、俺の中では線と線が繋がった気がした。遥か昔のシンオウ、ヒスイ地方にしか生息してない筈のバサギリに進化するためのアイテムを持っていたこと。現代人らしからぬ民族の様な風貌。片言の言葉。もしかして、もしかしてだけど。
「サニア、お前……過去から来たのか?」
「え?」
「わからない。だけど。ここ。わたしのしるばしょとちがう」
なんだろう、無関係とは思えない。誰も俺を知らない、それどころか痕跡すらないパルデアやガラル。俺の記憶では知り合いのはずなのに何も知らないモコウとムツキ。そして、どこかを通ってやってきた記憶。
「…まさか、エリアゼロは別の時間に繋がっていて、俺も別の時間から来たのか…?」
「え?え?」
「ラウラも。わたしと。おなじ?」
首をかしげるサニア。困惑するアイアール。固まる俺。場は混沌としつつ、膠着して行った。
その頃、チャンプルタウン郊外で。
「グレイ。少々大人げなくないですか?」
「ここの奴らが使えないメガシンカでボコボコにしてるお前に言われたくはないぞ、ダフネ」
「その言葉そっくりそのまま返しますよ色違いメタグロス羨ましいですね今畜生」
「キュレムやケルディオ、ゲノセクトがいないからな。俺はトウヤやお前ら以外に負けたくない」
「恋しいからってゾロアークにキュレムに化けさせるのやめましょう?騒ぎになって困るのはこっちなんですからね」
「悪かった。善処する」
「残業確定ですか……事情を聞かせてもらいますよ」
「「あ」」
付近のトレーナーに片っ端から勝負を仕掛けてカツアゲ紛いの如く賞金を乱獲し、通報を受けたジムリーダー・アオキに職質される男女二人組がいたとかいないとか。
ボチの群れに懐かれて行き倒れし、仮面の下がペパーによく似ていてオーリム博士に瓜二つだと判明したサニア。その正体は…?
一方その頃、アオキに職質されるアホ二人。その行く末や如何に。
次回も楽しみにしていただけると嬉しいです。よければ評価や感想、誤字報告などもいただけたら。感想をいただければいただけるほど執筆速度が上がります。