巫女ちゃんのお気の召すまま   作:お否さま

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ナヒーダが当てられなかったので草主人公とニィロウでイチャイチャさせてる私です。
頑張ります。


出会 (ってしま) い

秋葉ひらめく中、秋晴れバンザイとばかりに陽光がダンスの相手を務める。

赤に黄色に夕日のオレンジ。鮮やかで、けれども少しばかり幻想的なその中に1人の少年が下を向き歩いていた。

なぜか? もちろん、少しばかり上をむく気分じゃなかったのだ。人というのは目の前にどれだけ美しさがあろうとそういう時もある。西日が眩しいとか落ち葉が顔にダイレクトアタック仕掛けてくるのがウザイとか、あとはほんのちょっとした理由とかで。

 

周囲の環境など気にせず少年は歩き続ける。

学校からここまで尽きることない道を。

100万円だとか超激レアカードだったりの面白いモノが何も無い道を何かを探すように。 何かがあればいいと思いつつも、その何かが明確に定まらないまま。

それでも結局道からは外れないまま。

ただ、ただ、足だけが何も感じないくらいに痺れて重くなっていく。

 

 

だから、多分これは偶然ではなく待っていた必然だったのだろう。

 

 

夕刻が牙を剥く気配。

足元の影少し大きいような、そんな違和感がした少年はふと顔を上げた。

だが、何かが違う、と感じたその時には少年は既に奇妙な景色の中に取り込まれていた。

 

あの、時計塔は知っている。

あの、学校は自分が通っているところのはずだ。

だけれど致命的に何かが違う。

くらい影が少年を侵食している。

違う、同じだけど違う。

見たことあるのに、全く知らない街並み。

それは少年を混乱へと、『自分たちの側へと』引きずり込もうとする。

 

私は。

僕は?

 

ここは……

 

 

 

なんて。

 

 

おどろおどろしく初めてしまったが、この話はそんなに暗い話でもなんでもない。客観的に見ればイタズラ好きな妖怪のせいと気づかずいたいけなショタが迷子になって涙目になってるだけの光景だ。ただショタに客観的に見るほどの余裕は無いし、妖怪の仕業だなんてもっと思いつかない。

 

では、そんな迷い子を客観的に見ている人物とは。

 

 

「はらいたまひ、きよめたまふ____」

 

 

少女の清寂な声がどこからともなく聞こえてきた。

それは祝詞と呼ばれるもの、その中でも特に禊ぎ祓うことを役割とする言霊。

 

りぃん、と共に耳に響く鈴の音は少年の心に落ち着きをもたらす。まるで迷子を導くように。

混乱から解き放たれた少年はその声の主を縋るように探す。

果たしてそれは、夕暮れ迫る住宅街の道の真ん中にいつの間にかいた。それはともすれば自分よりも迷子を疑うような風貌で、それでいてその年代の子とは何かが決定的に違う雰囲気を纏ってそこにいた。

 

清澄な気配を保ったまま、彼女は『夕刻』へと足を踏み入れる。

しずりしずり、と。厳かに清らかにその歩みを進める

止まることなく彼の方へ向けて。

 

今まで気づかなかった後ろの何かが慄き、蠢く気配がする。

だが少年もソレも少女の歩みを固唾を飲んで見守るしかできていない。彼女は異常で清浄であった。

 

そして遂に少年の目の前に立った彼女は口を開く。

 

 

 

「マジカル巫女パンチ」

 

 

 

少年があまりのワードに宇宙猫みたいな顔になった真横をなんの躊躇いもない少女の右ストレートが空気を歪ませながら放たれる。少年は恐怖と困惑の二重奏。後ろのナニカは吹き飛んだ。

そしてその後を追ったシリアスさんの横顔は、美しい夕焼けとは別に少し雨雲がかかっていた気がした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ダメですよぅ、子供が1人でフラフラ歩き回ってたら〜」

 

お前が言うな。

少年は目の前のどう見ても小学生……いいとこ中学生じみた少女に向かってそう思った。

 

「ごめんなさい」

 

しかし、自分が何かしら人様に迷惑かける結果になりかけていたことを知っている少年は大人だったので言わなかった。

 

 

シリアス諸共吹き飛ばした少女に事情聴取したかった少年が連れられ、たどり着いたのはとある神社だった。一緒に飛ばした妖怪らしきものの影響が無くなったので、場所的に街の外れ近くにある神社だと言うのは分かっている。

ちなみに連れられて行く時に、女の子と手を繋いだことがあまりない男の子が手汗とか気にしてたのはまた別の話。

お世辞にも大きいと言えない神社の中の居住エリアへ通された後、居間の座布団に尻を落ち着けて今に至る。

イマだけに。

 

「少年くん、そういうギャグはドヤ顔だと恥ずかしさが増しますよ」

「なんでわかるんだよ」

 

 

プライバシーの侵害などナニソレオイシイノ?とばかりに、眉根を寄せ困った表情をする目の前の少女だが、困るのはこちらである。

 

「ていうか、結局何者なんですかあなた。

今の所、誘拐か誘拐じゃないかの半々ぐらいの情報と変な人ってことしか分からないんですけど」

「これがホントの半罪者ってとこですか」

「はっ倒すぞ」

 

どうしよう、あってまだ数時間も経ってないはずなのにどっと疲れてきたと頭を抱える少年。

そんな少年を見かねたのか、単に自由なだけなのか彼女は少年の問に答える。

 

「私は巫女さんですよ、ほら」

 

と立ち上がりひらりと一回転。

それに合わせて巫女服の裾がひらりと後を舞う。

その所作自体は流れる清水の如き美しさがある......が、悲しいかな背丈のせいでどうしても子供のコスプレにしか見えない。

だがそんな事実にめげない彼女は言葉を続けていく。

 

「より正確に言えば、ここ磐戸神社の超絶つよつよ美少女巫女です。

人手不足により禰宜も宮司も全部こなす天才ハイブリッド型ではありますが」

「余計な情報付けないでくれるともう少し素直に受け取れたんですけど」

 

まぁ、素直に受けとったところで少年にとっては信じ難い事実だった。天才というところ……もそうだがこんな小さい子供が?という疑問が彼の頭を占めている。

とはいえ、得体の知れない何かから助けて貰ったのも事実。

アレが壮大に演出された誘拐劇とかで、少年が勘違いの対象だった訳じゃないのであれば感謝はすべきなのだ。

 

そんなことを考えていたらついじーーっと件の巫女さんに視線を固定してしまっていた。

はて、と首を傾げる巫女さんに気づき、少年は慌てて視線を背ける。ただ、さすがに向けられた視線の意味に気づいたのだろう。

目の前の少女はこう言った。

 

 

「可哀想に私のナイスバデーに欲情したのですね、この変態」

「うるせぇ、こっちにも選ぶ権利があるんだ妖怪1部ぬりかぶふぉう」

「マジカル巫女パンチ」

 

同じオチを同じ話で2度も使うのはやめた方がいいのでは、

と少年は口に出せなかった。

物理的に。

 

 




ヒメ__巫女さん。ちょっとウザイ。
チビと言うとマジカル巫女パンチが飛んでくる。

少年__やばい人と関わってしまったと思ってる。
心の中で爆笑ギャグ(本人談)を言ってる系男子。
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