貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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101話 とあるモブウマ娘の一日

『メジロランページG1 7勝目はフェブラリーステークス!!』

『芝ダートG1制覇!!!』

『独裁者は真なる王座へ、真の王者は戦場を選ばない!!』

 

フェブラリーステークスの制覇は日本を飛び越えて世界にまで伝播していった、芝だけではなくダートを無敗で制したという常識外れな偉業を達成してしまったランページに注目が集まった。ワールドレコードは確かに凄まじい事だ、だが何れそれを出すであろうウマ娘の出現は予測は出来る、だって先駆者もいる。それこそ、オグリキャップのライバルの一人とされるイナリワン。

 

彼女は東京大賞典を制した後に、中央へと移籍しそこで天皇賞や宝塚記念を制している。史上二人目となる芝ダートG1制覇という事になるが、それでもランページの凄さが掠むという訳ではない。中央の芝ダートG1制覇という意味では史上初なのは確かだ。

 

「全く、彼女は何処まで高みに行けばいいんだろうな」

 

フェブラリーステークス優勝の一報を聞いたルドルフは窓の外を見つめながらも、どこか寂しげに、だが誇らしげにそう呟いていたとラモーヌは語った。G1を7勝、それはルドルフがトゥインクルシリーズを走っていた際に打ち立てた自身の栄光の形でもある七冠と並ぶ事を意味する。以前、とある先輩と話した時、こんな事を言われた。

 

『ルドルフ、私は時折寂しさを覚える。後輩たちが活躍し、自分の記録を越えて羽ばたいていく。それはきっと日本のレベルを引き上げているという意味では素晴らしい事だし世界を狙えるウマ娘が増えている事でもある……だが同時に思ってしまう。もう自分の時代は終わったんだな……と、だが寂しくはある、同時に誇らしい。先輩から受け取ったバトンを私達は後世に渡す事が出来た、それが分かるから』

「……そうですね、確かにその通りです」

 

 

私の名前はドラグーンランス、カッコいい名前だけどまだまだデビューもしていないウマ娘。トレセンに何とか入学出来たけど毎日大変、でも一歩一歩頑張ればきっとデビュー出来ると信じて毎日頑張ってます。

 

「ランちゃんまたね~!!」

「じゃあね~」

 

同級生の皆と別れて私は日課のトレーニングをこなす為に一旦寮の部屋に向かっていた。まだトレーナーはいない身だけど、何時かは選抜レースに出て大活躍する事が今の目標。ランっていうのは私のニックネーム、ドラグーンランスっていう凛々しくて勇ましい名前も好きだけど、このニックネームは大好き。何故かというと……

 

「本当に凄いよねランページ先輩!!」

「うんうん!G17勝って会長と同じだもんね!!」

「芝ダートどっちも行けちゃうなんて……んもうお姉様凄すぎぃ!!!」

 

私の憧れで目標の人はメジロランページさん、今一番話題のウマ娘と言ってもいい。そんな先輩は無敗で今も連勝中、とてもすごい先輩なんだけど……とっても優しくて親しみやすい人。雲の上みたいな存在の人なのに話しかけやすくて一緒にご飯食べたいって言ったら二つ返事で受けてくれる。そんな先輩は、同年代とかからはランって呼ばれてるみたい、だから一緒なのがちょっぴり嬉しかったりしてます。

 

「私も先輩みたいになりたいな~……」

 

そんな事を言いながら寮に向かっていると、誰かにぶつかってしまった。

 

「ゴ、ゴメンなさい!!」

 

怪我なんてさせたら大変!!と思ったけどそれは心配いらなかった、転んだのは私の方だったし逆に手を差し伸べられてしまっていた。そしてその人こそ―――

 

「こっちこそ悪かったな、怪我ねぇか?」

「ラ、ラララララ、ランページ……先輩……!?」

「応よ」

 

余りの衝撃にフリーズしそうになったのだが、その時、先輩が唐突にある事を言ったのだ。

 

「あっそうだ、なあこれから時間ある?」

「ふぇっ!?じ時間ですか!?え、えっと……確かに暇ですけど……」

「そっか、んじゃ悪いけどちょっと手伝って欲しい事があるんだけどいいかな?」

 

あの憧れの人からのお願い、それを私は断るつもりなんてなかった。

 

「全然大丈夫です!!!」

「そうか!!いやぁ助かるわ、実は南ちゃんがちょっと野暮用で出掛けちゃってさぁ……んじゃちょっとこっち来てくれ」

 

が、私はせめて何を手伝うのかを聞いておけばよかった。そうすれば心構えぐらいは出来たのに……

 

「おはこんハロチャオ~!!貴方の記憶にワールドレコード、独裁暴君、無敗のティアラ、Running in the turf!! Running in the dirt!!なランページだぜい!!皆の者~善行積んでたか~?」

「なんでさ」

 

私は先輩がやっている配信のお手伝いをする事になっていた。マジで聞いておけばよかった……。といっても私がやる事は簡単だった、コメントを拾う為にタブレットを良い感じに見えるように持ってほしいという事だった。本当に自分でも出来る事で良かったと安心している。

 

「皆の者~フェブラリーステークスは如何だったかな?俺はもう最高に楽しかったね!!ダートを走るイーグルにダイナ、レディ、他の皆も正々堂々と俺ちゃんに挑んで来てくれて凄い熱かったな!実際問題俺もちょっと危なかったかなぁ~なんて思ったりもした訳だ。そんな相手と走ったから俺も気合入っちゃってレコード出しちゃった訳だ!!ワールドレコードじゃないのかって?簡単に出せたらギネス記録に挑戦する人は現れないぞ~?」

 

・生で俺も見たけどダートレースの迫力エグかったわ!!

・なんで芝しか見てなかったのかスゲェ後悔した!!

・ダイナとかのスパートが届く!?って凄い冷や冷やしてた

・ゴメン俺レディのファンになってた。

・同じく……。

・貴様、王の放送で何を言っとるか!!そこはダイナだろ!!

・イーグルだろ!!

 

先輩はトレセンの宣伝部長?らしくてトレセンの良さやらを発信する為に理事長からお願いされて配信を行ってる、内容は毎回のようにレジェンドクラスのゲストが出て来るから本当に価値のある配信にしてるからすごいよ……先輩自身もレジェンドだし。

 

「いやいや良いんだよ、ダートの魅力が伝わったようで何より。実際問題、芝よりもパワーが必要とされるから迫力は上だったね。さて、それじゃあ今回のテーマは~……?」

 

チラリと此方を見られた、準備していたカンペを出した。

 

「えっ何々?フムフム……ヘムヘム……成程、え~っとね予定ではゲストにウチの南ちゃんを呼んでお話を進めて行こうと思ったんだけどなんかドタキャンになっちゃった。まあ俺が活躍しちゃってるからしょうがないよね~」

 

・まあ忙しいだろうしなぁ……

・史上初の大偉業やらかしたウマ娘のトレーナーは違うな。

・忙しくしたのお前やぞ。

・ちくわ大明神。

 

「誰だ今の。そんな理由もあって、実は前々から俺の戦歴を振り返って欲しい!!っていうのがあったからいい機会だからそれをやろうと思う。題して~!!史上初、芝ダートG1制覇した無敗の独裁者はどんな道を辿って来たのか~!!!」

 

それに合わせて先輩は一旦画面の外へと出るとそこから大きなボードを引っ張って来た。そこにはこれまでの戦歴が書き込まれている。輝かしい戦歴の数々だ……16戦16勝、その内G1レース勝利数7。シンボリルドルフ会長がドリームトロフィーリーグにまで上がるまで勝利したG1の数と同じなのだから……。

 

・改めて見ても頭おかしい戦績で芝。

・端的にいってバケモン。

・長距離に出ない事だけが唯一の救い。

・ホンマそれな

 

「まあ、長距離には長距離得意なマックイーンとパーマーいるけどな」

 

・うわあああああああああ!!!!?

・改めて思うと今年のメジロ何なんだよ!!?

・マイルと中距離にはこの化物と三冠のライアン、長距離にはマックイーンとパーマー

・これ他のウマ娘からしたら地獄でしかねぇぞ。

・後の救いは短距離だけか……!!

 

「ああそうか、短距離あったか……出てみるかな」

 

・馬鹿野郎余計な事言うんじゃねえ!!

・短距離にまで出張ってこられたらもう打つ手ねぇよ!!!

・ゴメン!!でも見てみたいと思った、反省はするが後悔はしない!!

・それは同意するがマジで出たらどうするんだよ!!!

 

「まあまあまあ皆の者ご安心を、流石に短距離までやろうと思う程節操がない訳じゃないぞ?」

 

・ダート制覇してる奴が言っても説得力ねえよ!!

 

「確かに~」

 

そんな調子で先輩の配信は続いて行った。一視聴者として見ていた配信をこんな形で見る事が出来たのは光栄の極みだった。

 

「今回は此処まで!!貴方の記憶にワールドレコード、独裁暴君、メジロランページでした!!次の放送までに皆善行を積むのだぞ~♪」

 

配信が終了すると、先輩はスポドリを飲むと身体を伸ばすと直ぐに私を見た。

 

「いやぁ悪いな、なんかタブレットだけ持っててくれればいいって言ったのに色々手伝って貰っちまった」

「い、いえその光栄でした!!私、配信ずっと見てたので……」

「おっリスナーだったのか、嬉しいねぇ~」

 

そう、こういう所が先輩が人気の一つ。ルドルフ会長やラモーヌ副会長と違ってフレンドリーな対応且つ態度が柔らかくて、一緒にいてもそこまで緊張せずにいられる。それでも緊張はしちゃうけど……。

 

「そう言えばまだ名前聞いてなかったな」

「ド、ドドドドドド!!!ドラグーンランスです!!!」

「良い名前だなぁ、今回はありがとなドララン」

「ドララン!?」

「いや、ランって呼ぼうとしたんだけど俺と被るから、悪い嫌だったな」

「い、いえ寧ろ気に入りました!!」

 

大好きな自分の名前と尊敬する先輩と同じニックネーム、それが一つになった名前、果てしなく気に入った。ドララン、何処か可愛らしい響きもして最高だ!!

 

「んじゃ配信も終わったしどっか飯でも食いに行くか~……ドラランも来ないか、配信のお礼に配信中は言えない裏話とかいろいろしてやるよ」

「ぜ、是非お願いします!!」

 

先輩は色んな呼び方で呼ばれている。ターフの独裁者、暴君、トリプルティアラ……でも私にとってはランページ先輩という呼び名が一番しっくりきた。それを伝えると、先輩は嬉しそうにしながら頭を撫でてくれた。そして……

 

「手伝いのお礼にそうだな……なんかして欲しい事ってあるか?」

「え、えっとそれじゃ……私と、と、とととと、友達になって貰えますか!!?」

「勿論いいぜ、これから宜しくなドララン」

「はっはい!」

 

この日、私は憧れの先輩と友達になった。そして私は―――憧れの先輩みたいになる為に、今日も走る。

 

「目指せ、先輩みたいなカッコいいウマ娘!」




アプリやってる時に出て来たモブウマ娘にこんな感じにカッコいい名前のウマ娘が居たのでそれから発想を得てこの名前に。実はこの名前が初期のランページの名前だった。
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