貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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112話

『メジロマックイーン先頭!!ライアンも続く、パーマーも迫る!!今年もメジロは強い!!いや、大外からイクノディクタス!!イクノディクタスがやって来た、大外からイクノディクタスが強襲ぅ!!』

 

「いっけぇ~イクノ~!!!」

「気合入れてけ~!!」

 

「ハァァァァァァ!!!」

「あそこから伸びて来るの!!?でも根性なら、負けないんだからぁぁぁ!!」

「流石はイクノさん、ですが―――負けませんわぁぁぁぁ!!!」

「アタシだって負けないぞぉ!!!」

 

『メジロマックイーンも伸びる!!パーマーもまたやって来た!!さあイクノディクタスは間に合うのか!?行けるのか!?パーマーを抜いたぞ、ライアンまで行けるのか!?如何だ如何なんだ!!?メジロマックイーン一着!!二着にはメジロライアン!!イクノディクタスは惜しくも三着!!』

 

「お疲れイクノ、如何だったマックイーンは」

「同室ですので凄さは分かっていたつもりでしたが……強かったです。捉えきれたと思ったのですが……」

「現状では最強ステイヤーの一角ですね」

 

天皇賞(春)に出走したイクノ、結果は僅差の三着。二着ライアン、パーマーは四着とメジロ家の強さが遺憾なく発揮された天皇賞となった。

 

「しかし、落ち込んでいる暇などはありません。次は勝ちます」

「おうおう言ってくれるな、俺だって一応メジロなんだぜ?」

「ランページさんはメジロですがそれ以上に同じチームメイトですから」

「言ってくれるな、そういう所が好きなんだけどな」

「私もランページさんのそういう所は好きですよ」

 

ハイタッチをする二人。見た目こそ理論派でお硬そうなイクノではあるが実際は極めてノリがいいので当たり前のようにこういった事に乗ってくれる。

 

「んで次は予定通りに安田記念か?」

「実はヴィクトリアマイルを考えていたのですが……今回、取りやめておきます」

今回のイクノは大逃げをするパーマーの背後にピッタリと付きながらも正確無比のペースを刻んで相手を煽り続けていた。それにパーマーは乱れていた筈なのに、持ち前の根性でそれに耐えきった。イクノも乱されながらも精神力のみで走り続けたパーマーに驚いた、そんな隙を突かれる形でマックイーンに抜かれてしまった。最後には何とか抜き返そうとしたのだが……パーマーを抜くのが限界だった。

 

「というかパーマーも大概バケモンだな……俺はイクノのそれには慣れてるけど他の奴からしたら煽られ続けるからキツいんだろ?」

「ええ、以前他のチームの方と併走した時はそれこそボロボロでした」

「ターボさんが付けてくださいましたイクノペース、間違いなく私の必殺技ですね」

「フフン!!」

 

そんなイクノでもパーマーのハイペースに付いて行きながらも最後の逆襲で疲労が溜まってしまっているので、考えていたヴィクトリアマイルを挟む計画は取りやめにして予定通りに安田記念に行くプランにする。

 

「狙うは今度こそG1制覇です。今の所、G1制覇がまだなのは私だけですからね」

 

ランページと同期且つ競い合っていたというのもあるのでイクノはまだG1を取れていない、良くも悪くも対戦相手が強いが故に勝利を飾る事が出来ない。G2やG3では勝てているのだが……これがレースの難しい所と言っただろう。

 

「さて、5月になりましたが今月も忙しい月です。何せターボさんはオークス、ネイチャさんは日本ダービーですからね」

「ターボ勝つよ!!真ドッカンターボで勝つもん~!!」

「アタシも頑張るよ~カタパルトネイチャ、だっけ?まあそれで勝利を狙うつもり~」

 

一方はやる気十分、一方はマイペースと対照的な二人だがこれはこれで望ましいテンションだと南坂は思っている。高揚した精神は肉体に作用していい影響を与えてくれるし自分のペースでいられるという事は安定した力を出せる証明でもある。

 

「そしてお二人の前にランページさんのヴィクトリアマイルですね」

「勿論、勝ちを狙うぜ俺は」

「これで仮に勝ってしまったらティアラ路線の完全制覇になりますね」

「そうなの!?先輩すごっ!!」

「まだ勝ってねぇけどな」

 

ティアラ路線のG1競走は全6レース。ジュニアクラスの阪神ジュベナイルフィリーズ、クラシッククラスの桜花賞・オークス・秋華賞、シニアクラスのエリザベス女王杯、そしてヴィクトリアマイル。既にランページは5つを制覇しているのでラストのヴィクトリアマイルを勝った場合、本当の意味でのティアラ完全制覇という事になる。

 

「頑張ってお姉様、ライスも応援するからね」

「まあやるだけさ……なぁ~んかプレッシャー掛けられちってさ」

「誰から?ランさんがプレッシャー掛けられても動揺する姿って全然イメージできないけど」

「どういう意味だタンホイザ」

 

配信もやっているしURAから送られた勝負服は箪笥の肥やしにするからだと思われる。

 

「実はよ、とあるウマ娘をお婆様から紹介したいって言われちまってさ。その人が如何にもビッグネーム過ぎて萎縮しちまってんだよね俺様」

「ビッグネームってこれまでどれだけ会長やらシービーさんやらラモーヌ副会長やらと色々やってるのさ、今更委縮するも無いっしょ」

「ある意味そういう連中よりもやべぇから緊張してんだよこっちは」

「一体何方なのでしょうか、私達も知っている方なのですか?」

「知ってると思うぜ、名前言ったら一発」

 

流石は無敗の王者ともなると自分達では想像もつかないような相手が会いに来るという事なのだろうか、だが逆に分からない。これまで三冠ウマ娘やらと数多く接して来ているランページが緊張する程の相手とは……一体誰なのか。

 

「その人もさ、なんか配信に出てみたいっていうんだよ」

「良いじゃんなんかフランクで、ランと仲良くなれそうで」

「それならいいんだけどよぉ……だってそのウマ娘って凱旋門賞に挑戦したウマ娘なんだぜ?」

『えっ』

 

その声の中には南坂も混ざっていた。凱旋門賞に挑戦したとなればその数は絞られる。何せ日本ではまだ3人しか挑んでいない世界最高峰のレースなのだから……うち一人はシリウスシンボリになるのだが……彼女とは既に顔見知りである事は分かっている、ならば……自動的に他の二人になるのだが

 

「え、えっともしかして……」

「そうだよ、会長のお婆様」

「そ、それって!!?」

「そうだよ。スピードシンボリ、それがお婆様が俺に紹介しようとしてるウマ娘の名前だ……今度の休日に邸宅に呼ぶらしい……」

「……付き添います?」

「いや、気遣いサンキュ南ちゃん……でも大丈夫ターボ達の事見てやってくれ……」




―――次回、ダブルお婆様との対面。
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