貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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115話

「はぁ……全く以て寿命が縮んだ気分だよ」

「申し開きがあるなら聞くぞ」

 

配信が終了すると、スーちゃんことスピードシンボリは時間が来てしまったので名残惜しそうにしながらもアサマと共に去っていった。そして残されたランページは残ったメンバーから問い詰められる事になった。

 

「ンな事言われてもな……俺の立場からしたらお婆様からの呼び出しに応じない訳には行かねぇし、スーちゃん呼びも配信も直接お願いされた事だし」

「お婆様が出たいと……ああいや、あの人ならむしろ出たがるか……」

「……確かに」

 

冷静に物事を判断すれば、スピードシンボリがそういう事に積極的に参加したがる様な性格である事は分かる筈だったのに……余りにも衝撃的過ぎる事に動揺して一種の思考停止状態になっていた。

 

「ってかこれからお婆様の気分次第じゃ私もテメェの配信にでなきゃいけねぇって事じゃねえか!!勘弁しろよ……流石にキツいぞ」

「それだって、そもそもアンタがちゃんとスーちゃんとの時間を取ってればこうなって無かったと思うですけど」

「話反らしてんじゃねえ!!」

「何処が反らしてんだ、反らしてんのはそっちだろ」

 

相手が先輩であるシリウスだろうが、ランページは一切の躊躇も恐れも見せる事も無く、胸倉を掴みかかってくるような勢いのシリウスに対して怫然とした態度のまま反論をする。

 

「スーちゃん言ってただろ、遠慮してあんまり会いに来てくれないって。それが本音なんだよ、色々と会いにくいのは察するけどあの人はアンタらのお婆ちゃんには変わりないんだからちゃんと会ってやれよ。その結果が今回の配信のあれみたいなもんだぜな」

「ぐっ……」

 

孫と仲良くしたいと言っていた時のスピードの瞳は本当に寂しげだった、自分の事を考えてくれるのは嬉しいがそれならば家族として触れ合って欲しいと思っているのが良く分かった。

 

「会長、アンタもだ。忙しいのは分かるが簡単なとこならメールでも何でもできる筈だぜ。それだけでもスーちゃんは大喜びする」

「……耳が痛いな、これからはそうするとするよ。 シリウス、君もそうした方がいい。でなければアサマさんから私達がお婆様の付き人に指定されて配信に出る事になるぞ」

「それだけは勘弁だな……わぁったよ」

 

満足いく答えではないがこの位にしておくとしよう。自分の言葉を聞いてライアンは神妙な顔をしてしまっていた。ランページが先輩であるシリウスにあそこまでの態度を取ったのは紛れもない、家族に関する事だからだ。家族に関する事になっては黙っていられないのだろう。

 

「んで二人はトレセンに戻らなくていいのか?生徒会の仕事ほっぽり出してきたんだろ」

「しまった、余りにも衝撃的過ぎたから完全に忘れていた……ラモーヌ、直ぐに戻るとしよう」

「そうしましょう。アルダンも一緒に行きましょうか」

「はいお姉様、それではランページさんこの写真大切にしますね」

「喜んでもらえたようで何よりですよ」

 

アルダンの胸には配信の最後に撮影した写真がきれいな写真立てに飾られており、それを彼女は愛おし気に抱いている。メジロの皆だけではなく、ルドルフらと言った皆と写真を撮れたことが純粋に嬉しく思っている。そう思われると自分としては嬉しく思う。

 

「俺も戻る、いる理由もねぇしな……おいランページ、お婆様に変な事言ったら承知しねぇぞ」

「聞かれない限り言わんよ、いやなら自分から会いに行けば?」

「……そうするしかねえか……あんま得意じゃねえんだけどなぁ……」

 

仲が良くない、というよりもシンプルに相性が良くないだけな模様。シリウスとスピードの事を考えると確かに頷けてしまう、がシリウスが嫌っている訳ではない。単純に恥ずかしいのだろう。そのままルドルフ、ラモーヌ、シリウス、アルダンはトレセン学園へと戻っていくのだが……自分に対する追及はまだまだ続いて行くと言わんばかりにマックイーン達が残るのであった。

 

「しかし、ランページさんも一言ぐらい言ってくださればよかったのに……私なんてトレーナーさんから見せられてひっくり返ってしまいましたわ」

「アタシも似たようなもんだよ、水分補給してたから思いっきり咽たし」

「ヘリオスから面白い事になってるって言われたからみたら、うわぁ……って引いたね」

「そう言われてもなぁ……」

 

まあ実際アサマまでもがあそこまでノリノリで配信に参加してくれた事自体は完全な想定外だったが……

 

「でも、何だかんだで嬉しいんじゃないの?お婆様と新しい接点が出来たから」

「それは……否定、しませんけども……」

「まさか普通にポケモンガチ勢だとは思わなかったよね」

「なんというか、普通にヘリオス紹介しても大丈夫そうかなってナチュラルに思っちゃったよ」

「たぶん大丈夫だぞ、お婆様ってスーちゃんと若い頃にお忍びでギャルっぽい格好して遊びに行った事あるらしいし」

「えっそれマジ!?」

 

後日、パーマーはヘリオスをアサマに紹介したのだが……普通に仲良くなってパーマーのウマッターにヘリオスとアサマで撮ったハートポーズ写真がアップされるのであった。

 

「でも、如何してお婆様はランページさんに会長のお婆様をご紹介したのでしょうか?」

「単純に会いたかったから、じゃないかな。お婆様とは親友みたいな関係らしいし」

「普通にありそうだよねぇ……」

 

それもあるだろうが―――実際は、自分が海外挑戦する為の足固めを行う為でもある。シンボリはスピードシンボリ、シリウスシンボリと現状で凱旋門に挑戦した事がある為に自分が将来的に行う遠征の支援を行って貰える。メジロとシンボリ、この二つがサポートについて貰えれば間違いなく万全な体制で臨む事が出来る。

 

「(シリウスを俺のサポーターに付ける為だな……いざって時はスーちゃん自身か、いやそっちの方が可能性高いか……)」

「ラン、これからもお婆様も配信に参加したりするのかな……?」

「あり得るな。暇を作れれば参加してくれるんじゃないかな」

「やっぱりそうなのかなぁ……なんというか、ちょっと怖いなぁ」

「そうか?」

「寧ろなんでランページさんはそんなにマイペースなんですの……」

「人生経験の差かな」

「アタシ達同い年だよね一応……」




家族の話題には割かし敏感なラン。

シリウスはスーちゃんとの距離が縮まった。体力が15減った。やる気が上がった、根性が10上がった。賢さが5上がった。

後、サポーターは多分スーちゃんの方だと思う。
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