貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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124話

その日、トレーニングルームでメニューをこなしていたランページ。そんな時に来客がやって来た。

 

「あっ居た居た」

「んっ何だテイオーか」

「ごめん邪魔しちゃった?」

「気にすんな、暇してた、所……だっ!!」

 

大きな音を立てながらバーベルを置く。明らかにトレーニング中だというのに自分に取り合ってくれた事に感謝しながらもテイオーは自分の分も含めて買って来たお気に入りのドリンクであるはちみつドリンク、はちみーを差し出した。

 

「俺、これ飲んだ事ねぇんだよなぁ……」

「ええっ!?そんなの損してるよ飲んで飲んで!!凄い美味しいから!!」

「まあ折角買って来てくれたんだから有難く美味しく頂くけどよ」

 

テイオーの大好物のはちみー、興味はあったのだが値段を見て思わず顎が外れそうになったので買う事は無かった。これ一つで1500円もするのだ、1500円もあれば色々買えるのだが……取り敢えずそんな高級なドリンクを買って来てくれたのだから、何か用があるならば真摯に対応するつもりでいる。

 

「んで何の用だよ、態々お前が俺を訪ねるなんて初めてだろ」

「ちょっと聞きたい事があってね」

「何を」

「ランは今年のジャパンカップには出るの」

 

何処か鋭い瞳で此方を見据えて来る、その瞳は紛れもない挑戦者の瞳、自分を倒しに来ている瞳だ。

 

「何でそんな事聞くんだ、出る気なのかジャパンカップ」

「うん。ボクはこのまま菊花賞を取って無敗の三冠ウマ娘になる、それで次走は如何しようかなって思って」

「まずは菊花賞を勝てるかを考えるべきじゃねえのか、お前と同着のネイチャだって出走するんだぞ」

「うん分かってる、ネイチャとは確りと決着を付けたいって思ってる」

 

ネイチャという強者が居るのにも拘らず、それに勝つと断言する。その意気込みは褒めるに値する。同じカノープスではあるが、これは菊花賞も楽なレースではない事が分かる。

 

「ンでお前さんは親愛なる会長の後を目指してジャパンカップを目指すってか?」

「最初はそう思ってたんだ、でも今は違う―――ボクは君と戦ってみたいんだ」

 

無敗の三冠ウマ娘、いや無敗の九冠というルドルフさえも超えてしまった称号を手にした最強のウマ娘と言っても過言ではないランページと勝負したい。自分が憧れ、目指したルドルフを超えたウマ娘の力をこの身で感じたい、そして自分は勝てるのか、全力で挑んでみたいという気持ちを抑えられない。

 

「ランページ、ボクは君に、いや貴方に誓う。絶対に無敗の三冠ウマ娘になってみせる、そして君に挑む」

「―――いい顔でそそる事言ってくれるな……テイオー」

「受けて、くれるかな」

 

テイオーは本気で言っている。本気で自分と戦って勝つつもりで言っている、此処までの闘志を全開にして燃やしてくれるというのは嬉しい事この上ない。フローラともイクノとも違う、純粋無垢なチャレンジスピリッツと燃え滾る闘志に武者震いが出て来る。

 

「テイオー、今の内に言っておくけど俺は来年には海外遠征をするつもりでいる」

「海外遠征……!!もしかして、凱旋門!?」

「まあな、今年一年はその為の下地を作る為だ。だから俺と戦うなら今年戦うのが一番だ」

「つまり―――受けてくれるんだよね」

 

その言葉にランページは静かに笑った。

 

「ただ、生憎ジャパンカップにするかチャンピオンズカップにするかで今悩んでてな。確実に俺と戦いたいなら有だぜ、菊花賞からのジャパンカップだとお前も十分に調整が出来ないだろ」

「有記念……そこなら、必ず戦えるんだね?」

「そこは保証してやるよ。去年出られなかったから今年こそはって思ってんだ」

 

その言葉をテイオーは何度も何度も繰り返すように呟いていた、自分の中でそれを咀嚼し、何度も意味を確かめ、自分に刻み込んでいく。

 

「分かった。ジャパンカップじゃなくて有で勝負しよ、例え無敗の三冠ウマ娘になれなくてもボクは―――あなたと戦いたい」

「殊勝な言葉なこった、良いぜ受けて立ってやる」

 

帝王から差し出された挑戦状を独裁者は素直に受け取った。次世代の最強達とガチで戦える一年の最後を締めくくるレースなんてロマンに満ち溢れていて最高じゃないか……

 

「ねえ、ランはどんなローテーション組んでるの?」

「んっ?帝王賞だろ、ンでその後が札幌記念で天皇賞(秋)、ンでエリ女からジャパンカップかチャンピオンズカップでって感じだが」

「―――えっマジでそのローテーションで行くの、凄いハードスケジュールじゃない?」

 

特に秋天からエリザベス女王杯、ジャパンカップかチャンピオンズカップかの日程はかなりきつい筈なのだが……それを平然と組もうとするこのウマ娘は一体何なんだろうか……。

 

「あっそうだ、テイオーこの後暇?」

「うん、ボクは暇だよ」

「んじゃさ―――」

 

 

「「おはこんハロチャオ~!!」」

「貴方の記憶にワールドレコード、独裁暴君、無敗のティアラ、心のマグマが目覚めたら 大地を蹴って立ち上がるぜ!!なランページだぜい!!」

「君の記憶にテイオーステップ、無敵のテイオー、無敗の二冠!!生まれてくる時掴んでた ソウルの力働かせて!!なトウカイテイオーだよ~!!」

「「皆の者~善行積んでたか~?」」

 

最近少々休みがちになってしまっていた配信にテイオーも参加して貰う事になった。先日のダービーを勝ったから話題性も抜群だからゲストとしては申し分ないだろう。

 

「皆の者~今日はもう見てて分かるだろうけど今日のゲストは先日のダービーでウチのネイチャと同着でゴールした無敗の帝王のトウカイテイオーだぞ~皆の者~未来の三冠ウマ娘の貴重な出演だぞ、脳内スクショを忘れるな~」

 

先程の王者足らんとしていた堂々としてカリスマのあった姿から一変して、ノリが極めていいネットアイドルのような面が前面に出ているランページにテイオーは軽く脳内がバグりそうになった。余りにも切り替えが上手すぎないだろうか……まあ自分も自分でこの配信のリスナーだったので流れについては熟知している。

 

「今日はテイオーに色々あんな事やこんな事を質問しつつ、リスナーからの質問に答えようと思ってるぞ~」

「イエ~イ!!」

「んじゃまずは……テイオー。お前何であんなクソアマドリンクをゴクゴク飲めるの?」

 

真っ先に質問したのはまさかのランページだった。

 

「ボクのおすすめの硬め濃いめ多めはちみー、気に入らなかった?」

「何処のラーメン屋のメニューだ、もう殆どただの蜂蜜じゃねえか……飲むのに10分掛かったぞ、あれならロイヤルビタージュースのが美味しく頂けるわ」

「ピェッ!?あのすんごく苦くて美味しくない青汁みたいなのを美味しく飲めちゃうの!?」

「いや青汁は美味いだろ」

「ワケワカンナイヨー!!!」

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