貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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133話

最強の戦士、シンザン。戦前に誕生した三冠馬、セントライト以来となる日本競馬史上2頭目の三冠馬。この馬の凄さを如何にして語ればその強さが伝わるのかはその戦歴を語れば伝わるだろう。19戦15勝、2着が4回。そう、4度の敗北は2着。生涯を通して連対を外した事がない。この記録は日本競馬史上に残る不破の記録となっており、次点がミス・パーフェクト、ダイワスカーレットの12連続連対。

 

圧倒的な戦績、種牡馬としても君臨したシンザン。その輝きは多くのホースマンの脳を焼き尽くし、後年のスローガンがシンザンを越えろ。その思いが果たされるのに20年以上も掛かった……それが五冠馬にして神馬と言われたシンザン。

 

 

「ホラホラ、気合入れて登りな!」

「はい!!」

 

そんなシンザンはウマ娘でもその強さが全く損なわれていない、下半身の力が強すぎる為に開発されたシンザン鉄、それによって更に鍛え込まれた事で生まれた鉈のキレ味と称された末脚のキレ。どれをとっても超一流、神のと言われた脚は健在でシンザン鉄の重さを感じていないほどに軽快な足取りで山の坂道を駆け上がっていく姿は異様。

 

「言うまでも無いだろうけど脚だけで登るんじゃないよ、シンザン鉄の意味、分かってるんだろう?」

「全身で、登る!!」

「分かってるね、そうそのまま走るんだ!!」

 

シンザン鉄はただ丈夫で重い蹄鉄ではない、その重さ故に全身運動である走りをより強く全身を使わせる事を強制させる。そうしないと走れないから、使い続ける程に足腰は鍛えられる上に自然に走りは矯正されていく。それこそが10倍シンザン鉄、本来のシンザン鉄を使う本当のメリット。

 

「(開始から30分経過……やるじゃないかこの子、10倍始めてからそこまで経ってないっていうのに全身を既に上手く使えてる。そういう指導を受けたっていうのも頷ける、面白いじゃないか、本当の意味でのあたしの後輩って奴は)」

 

シンザンはこのシンザン鉄が大っ嫌いだった。頑丈なのは分かるが凄く重いのである、当時はそこまで技術の不足もあったからか、簡単に摩耗したり破損する事も多かったのでその度に打ち直す事も多かったので本当に嫌になっていた。そんな蹄鉄を数年間も使い続けているなんて聞いた時は冗談だろ、と思った物だ。

 

「さあダッシュダッシュ!!」

「してるっつの!!」

「良い根性だ、まだまだ垂れるには早いよ!!」

「垂れてねぇっての!!」

 

普通のウマ娘ならばロクに走る事も出来ない筈なのに、平然と走って追ってくる上に叫び返す気力もある。これは可愛がり甲斐があるというものだ……。

 

「如何した如何した、あたしを追い抜いて見せる位の気概を見せて貰わないと困るよ、それとも止めるか、じっくりとっくり休んじまうかい?」

「やってやろうじゃねえかシンザンこの野郎!!無敗の十冠を、舐めるなぁぁぁぁぁ!!」

 

その一言で芸人根性(杉谷)にスイッチが入ったのか、ランページは一気に加速して山の斜面を凄い勢いで登っていく。

 

「それでいい、さああたしを追い抜いてみな!!」

「望む所じゃぁ!!」

 

目指しているのはこの山の頂上、シンザンも気合を入れて走り出して坂を登っていく。互いが互いを刺激し合いながらもどんどん山を駆け上がっていく。

 

「良い根性だ!!まだまだ先は長いんだ、この位で勝てると思うんじゃないよ!」

「上等だ!!」

 

そのまま叫びを山の中に木霊されながらも山道を疾走していく二人、結果―――

 

「はいあたしの勝ち、何で負けたのか考えておくようにね」

「ぢぐじょぉ……」

 

ランページも最後まで喰らい付き頑張りはしたのだが……シンザン鉄に対する熟練度とでもいうべきなのか、走るフォームの練度の違いを見せつけたシンザンが先に頂上へと到達した。

 

「にしても……大したもんだ、初見で山を登り切ってみせた……低い山だから出来て当然だけど、凄い体力だ」

 

倒れこんで動かない彼女の身体を突いてみる。矢張り、良い筋肉が身体を覆っている。全身の筋肉のバランスも良い、一方だけが凄いなんて事はなく何方も均等に鍛え込んでいる上で全身を使っているので筋肉も動く事に最適化された形になっている。

 

「良い鍛え方をしてるじゃないか」

「そりゃどうも……ライアンと一緒に鍛えてるんでね……」

「メジロライアンかい、ああそうかあんたもメジロだったね」

 

自分と同じ三冠ウマ娘のメジロライアン、最初は何方かと言えばそちらを注目していたのだが……この忌々しい蹄鉄を使っている大バカが居ると聞いて其方に興味を向けてみた、その結果がこれだ。

 

「何時からこいつを使ってんだい?」

「10倍はつい最近……そっちからしたら軽い物は俺がデビューする前から」

「へぇっ……」

 

それを聞いて少しだけ目つきが変わった。あのトレーナー、まさかそんな時から思ったのだろうか……シンザン鉄は身体の動き方をマスターする為には最適な物であると。例え自分と同じ重さでなくても普段使う物よりも重い蹄鉄は脚の力だけでは満足に走れない、だから身体の操縦性を上げる為の訓練には持って来い。

 

「(ってなるとこれも怪我防止の為……特にこの子は他と比べても身体がデカいからね、それを無意識下でやらせる為にか……)いいトレーナーを見つけたね、感謝しときなよ」

「ンな事分かってるっての……南ちゃんには普段から感謝感謝の雨あられだよ……」

「それなら結構」

 

腕時計を見てみるともう直ぐ昼食の時間帯だ、山を下りる準備をしておかなければ……

 

「ほれ、水分補給したら山を下りるよ。但し今度はゆっくりとね、午後はまた頂上まで登って来な。其処で相手してやるから」

「う~っす……ってシンザン……さんはどうするんだ?」

「呼び捨てで構わないよ、あたしは適当な所で食って来る。あんな高級ホテルの飯なんて合いそうにないからね」

「なんか気が合いそうですぜ、俺も定食屋で生姜焼き定食が食いて~」

「おっ話が分かるね」

 

自然とシンザンとは仲良くなっていくランページ、気質的に合っているのも合ってか、シンザンとは良い関係になれるという確信があった。そして山を下りるとシンザンはまた後で、と言い残して去っていった。

 

「にしてもまさかシンザンに練習見て貰えるなんてなぁ……」

「驚きました?」

「そりゃ驚く……っ南ちゃんの登場にな」

「それは失敬」

 

どうやら迎えに来てくれたらしい、だが余りにもゲストが大物過ぎるのでランページは文句を言う事にした。

 

「流石にあのゲストはねぇよ、これならモンスニーさんが来てくれた方がまだいいわ」

「実は打診はしたんですがシンザンさんがいらっしゃるなら自分はいらないと仰っておりまして」

「あの人がンな事言うのか……」

「如何でしたか?」

「もうさ、なんなんあれ」

 

今まで自分が使ってきたシンザン鉄は彼女からしたらまがい物でしかなく、最近になって導入した最大の重さの10倍が彼女にとっての普通である。なんというか様々な意味でスケールが違う気がしてならない。

 

「今までのあれって何だったのって気分」

「あれはシンザンさんが普段使いとして使っているものです」

「ハッ?あの人普段からシンザン鉄履いてるの?」

「現役時代にずっと付けていたせいで、軽いと気持ち悪さを覚えてしまったらしいんですよ。その為に作って貰ったとか」

「マジかよ……」




シービーが来てくれた!!そして有償50個の一回ガチャでドットさんが来てくれた!!
師匠が☆1であるお陰でゲートが銀でも全然がっかりしないから師匠ってすげぇわ。
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