貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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140話

「はぁぁっ……なんでこんな事になってんのかねぇ……」

 

溜息をつきながらも手元にある許可証を見る。理事長発行のこの許可証、配信を学園が許可するという事を確りと明記した許可証……なのだが、その配信に今回、シンザンがマジで来る気だという事を知ったURAは愕然とした。何せレジェンドもレジェンドだから、トレセン学園の学園祭とはいえもっと確りとした所で迎えるべきだとコンタクトを取ったらしいが―――

 

『断る、あんたのそれは絶対に堅苦しいし楽しくない。それにあたしはTTGの連中とダチの配信に出るって約束してんだ、それを破れってのか?』

 

という事を言われつつ一蹴されたらしい。何ともシンザンらしい……そして自分の方に交渉を求める旨の話が飛んできたのだが……何とか出来る訳ねぇだろ、と此方だって白旗宣言。自分程度の意見を聞いてくれるシンザンではない。

 

「はぁぁぁっ……」

 

溜息がまた漏れる。こんな事をする度に幸せが一つ一つ零れ落ちていくという話を聞いた事があるが、既に幸せじゃないので零れ落ちる幸せなんてものは存在しないので気にすることなく続ける。一応対策として他の人にも配信の手伝いをお願いするという案があったのだが……一体誰がこんなカオスな配信の手伝いをしてくれるというのだろうか、ランページ一人では完全に許容しきれない理解しているのでたづなと理事長は救援を頼もうとするのだが、では誰に……となった。

 

「十冠って大変だなぁ……こんな苦労しなきゃいけないんだから……」

 

幾ら十冠と言えど、普通はこんな苦労を背負い込む事なんて普通はあり得ない。

 

「……一人、宛てはあるか」

 

そう思いながらスマホを手にして連絡を取る、相手も当然レジェンド。

 

『成程ね~……随分と大事になっちゃってるわね』

「ええ、こんな事頼むなんて失礼かもしれませんけど、助けてくれません……?」

『モチのロンよ、お姉さんとの仲でしょ?当日は私も手伝いに行くから安心してね♪』

「マジで感謝します……神様仏様マルゼンお姉様ですわぁ……」

『いやんお姉様なんて、もっと言って!!』

 

助けを求めたのはジャパンカップ前にお世話になったレジェンドの一人であるマルゼンスキー。幸運な事に彼女はTTG世代の一年後の世代、なので見知った先輩を相手取る事になるので自分だけで相手をするよりも遥かに楽になる。

 

『その代わり、私も配信に参加させて♪』

「そりゃ勿論……って、シンさんに加えてTTG、そこにマルゼン姉さん追加ってURA発狂しそうなぐらいな面子だ……」

『流石にそこまでは行かないんじゃないかしら?』

「いや既に脳破壊されてると思いますよ」

 

レジェンドを制する為にまた呼ばれるレジェンド、ある種の無限ループなのではないだろうか……まああの4人に比べたらマルゼンスキーは大分マシな方だろう、それでもレジェンドなのは変わりないのだろうが……

 

「失礼する……って大丈夫かランページ?」

「これが大丈夫見えるってんなら眼科紹介してやるぜこの野郎、ついで診察料から検査費用まで全部俺が持ってやるから人間ドックで精密検査して来やがれ」

「荒れてるわね」

 

苦笑するように此方を見ているのはルドルフ、ラモーヌ、シービーと言った現在のトレセン学園が誇るレジェンド三人。まあ自分を含めたら4人なのだが……と何処か嘲笑気味に笑っているランページは死んだ目をしながらもノートパソコンのキーボードを叩き続けている。

 

「何やってんの?」

「配信で使う資料作りだ、俺は必要ないが理事長がURAに提出する為にまとめて欲しいって泣きついて来たんだよ」

「来るのがあの方々だから致し方ないかもしれないわね……」

「ハァッ……やれやれ、十冠ってのは大変だぜな」

 

そんな苦労は君だけだ、とルドルフは声を大にしたかった。

 

「んで何の用だよ、見ての通り結構忙しいんだぜ。様子見に来た程度で来たならさっさと帰ってくれ、気が散る」

「いや許可を貰いに来た」

「許可ぁ?生徒会の会長が副会長と三冠引き連れて何の許可を貰おうって言うんですかねぇ」

 

と言葉からも感情の荒波が読み取れてしまう。これは相当に追い込まれている。だが、此処で引く訳には行かないのである。

 

「私達も君の配信に出る許可を貰いたいんだ」

「あ~はいはい、もう好きにすりゃいいじゃねえの俺困らねぇし困るのURAだしあいつらが発狂するだけだし俺しらねぇし」

「真面目に言ってるんだけどなぁ……あの方々相手するの流石に一人じゃキツいでしょ?」

 

詰まる所助け舟を出しに来てくれたという事なのだろう、幾らなんでも自分ではあのレジェンドたちを相手取るのは不可能に近い。特にTTGは生徒会メンバーだったらしく、今の生徒会的にも絶対に避けては通れないのだとルドルフは言う。

 

「んじゃシービーさんは何で?」

「いやほら、あたしも一応トレセンのあれ的なあれだから」

「語彙がなんかこう、凄いですね。ハァッ……まあ出るならもうお好きにどうぞ、マジでTV局とかも発狂しそうな面子になって来たな……」

 

基本的にトレセン学園内にはテレビは入れない。ウマ娘の安全確保などの為、故に内部情報は中々に公開されないのでランページの配信はそれらを知る事が出来るという意味で非常に貴重。そこにウマ娘界のレジェンドが次々とやって来るのだからTV局的にはもう頭を抱えるしかないだろう。

 

「それで、内容はどうするのか決まったのかしら」

「如何決めりゃいいのか逆に決めて欲しいわ。シンさんにTTGだぜ、どんな企画が適切なのか分かります?」

「……困るわね」

 

流石のラモーヌも閉口せずにはいられない。この面子に相応しい企画なんて思いつく訳がない。

 

「かと言って、偉大な先輩の戦績を振り返るとかシンさんが好むとは思えないし……堅苦しいのも嫌いなあの人が気楽に出来るってマジでトークショー的なもんしか思いつかねぇぞ」

「もうそれで良いような気もするよねぇ~」

「いっその事、先輩たちと一緒にライブでもするか?」

「もはやそれは最終手段としたいな出来れば……」

 

幾ら議論を積み重ねても形にはならず、ランページが自分の力で何とかするしかないという結論に至った。自分のチャンネルの配信をやる以上、如何にかするのが配信者だという自負があるのか、それともヤケクソなのか……三人の参加も了承した。もうこうなったらマジでお婆様達も呼んでやろうかな……と半ばヤケクソになりかけている。

 

「お姉ちゃん俺もう駄目だぁ……今回ばっかりはマジで当日になってみない事にはどうしようもないよぉ……」

「よしよし大変でしたね、大丈夫お姉ちゃんが付いてますよ~」

 

最終的にランページはクリークに素直に膝を貸して貰うまでに追い詰められていた。

 

「えっらい事になったなぁ……ウチらが出てても焼け石に水か……大食い企画でもするか?」

「それなら私も手伝うぞ」

「なんかオグリさんがレジェンドと対決みたいな事でも良いような気がして来たわぁ……」

「よしよし、今はお姉ちゃんにたぁんと甘えていいですからねぇ~♪」




ゴルシチャンネルはこれを越えないといけないのか……ああ、だから宝塚記念三連覇の場面で立ったのか!!!そうか、そうだったのか、流石ゴルシだ!!
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