貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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152話

「えへへっ~♪ふふふ~ん♪うえへへへっ~♪」

 

カノープスの部室はそこまで広くはない、人数的にも増えて実績も十分に積んだとはいえそれでも部室としての機能を果たす為の大きさがある程度。そんな部室の一角に置かれている棚の一番目立つ高さに飾られている三つの勝利の証を見て、ターボは込み上げてきた笑いを抑えきれずに笑ってしまった。

 

「ご機嫌だなトリプルティアラのターボさんよ」

「えへへっ~♪だってターボが勝ったんだよ、トリプルティアラになったんだよ、ターボってば凄いんだよ!!」

「そうだな。それは誰もが認める事だろうな」

 

先日の秋華賞で見事過ぎる逃げ切り勝ちをしたターボ、これによってカノープスが2年連続でティアラ路線を独占した事になってそこいら中は大騒ぎである。当然マスコミや出版社などもにターボへの取材を多く希望していたのだが―――

 

『ターボへの取材するとこはもうこっちで決めてっから』

 

無敗の十冠という権力を存分に利用するランページが間に入り、自分が贔屓にしている出版社に取材をお願いしておいた。自由にさせてもいいかな、とも思ったのだが、自分がまともに取材に応じなかったからターボに無理な取材を行う可能性があると南坂から言われたので自分が仲介する事にした。

 

『ランの紹介なら安心だね!!』

 

と本人も乗り気だったのでそうさせて貰った。

 

『ツインターボ、二段加速による逃げ切り勝ち!!』

『先代と今代のトリプルティアラの共通点』

 

結果的に紹介した出版社の発行した取材記事はかなり的確だった、的確にターボの走りを分析した上で自分との比較、実際に走ったらどうなるか、これからのトゥインクル・シリーズの流れなどなど読んでいる側をワクワクとさせる物だった。

 

「いやぁ~中堅だったころが懐かしいね、今や学園最強と言っても過言じゃないんじゃない?」

「これでお前が菊花賞取ってくれたら申し分ねぇんだけどな」

「あちゃ~藪蛇だったかな……」

 

次はネイチャの菊花賞、いよいよクラシック三冠のラスト、テイオーとの最後の勝負とも言うべき舞台、これまで一敗一引き分けという戦績だが、次勝てるか如何か……その是非を問うかのように南坂へと視線を投げると笑顔で答えてくれた。

 

「ネイチャさんはダービーよりも確実に強くなってますよ、スピード、スタミナ、パワー、根性、戦術眼、様々な面で。問題は同じように強くなっているテイオーさんと走った際にどう対応するかです」

「ちょうど3か月ぐらい前だもんな、合宿」

「ええ。あの時の基礎訓練の成果が出始めるのがこの辺りです」

 

合宿では南坂の下で練習に明け暮れたテイオー。彼が課した基礎練習の成果が出始める頃合となった今、それによってどんな強さをテイオーは発揮するのだろうか……かと言っても心配は別にしていない、何故ならばネイチャはネイチャで皆で常日頃からテイオーがやっていたメニューをやっていたのだから。基礎体力作りはどれだけ長い期間続けていたのかである。

 

「南ちゃんから見て、テイオーはどの位合宿でレベルアップしてるんだ?俺は俺でシンさんとの特訓に首ったけだったからな」

「何とも言えない、というのが素直な所です。何せ私は基礎的な練習ばかりをさせてました、コツを掴めば直ぐに効果が分かる応用は一切です」

「それこそ沖トレとテイオー次第って所か」

「正しく」

 

自分で分かるのはテイオーの詳細な能力ぐらい、だがそれも合宿終了自体と今では大きくズレている事だろう。沖野が応用をやらせていないとは思えないし、寧ろ基礎の重要性を再認識させられたテイオーが自分でそちらを鍛え、沖野は応用を集中的にやらせるという分担に近い事も出来る訳でそれこそどこまで伸びるのかは想像出来ない。

 

「基礎は足し算、応用は掛け算。この頃合から一気に伸びるでしょうから……また何とも」

「いやはや、リギルの方に行ってくれたら気が楽だったんだけどねぇ」

「それはそれで怖くね?応用のレベルが上がりつつもバランス上がるんだぜ?」

「あ~……うん、それも怖いわ」

 

詰まる所、合宿をどこで過ごそうともそれを乗り越えたテイオーのレベルアップは必然且つそれは大きな成長であるのは確実。他にも有力ウマ娘が出走する菊花賞、敵はテイオーだけではない。そんなレースでのネイチャの勝利は中々に厳しいと言わざるを得ない。

 

「厳しいのは最初っから分かり切ってた事だよ」

 

改めて現実を目にしても、ネイチャは余裕を崩す事はなかった。それはどうして?とチケットが問いかけるとニコやかに答えた。

 

「ターボのレースを見て思ったんだけどさ、やっぱりレースで勝つのって自分のレースをしたウマ娘だと思うんだよねぇ。どれだけ自分を貫いて信じられるかって事、アタシの場合はカノープスでずっと皆と走ってきたアタシ自身、それってさ皆を信じるって事にもなる訳じゃん?皆を信じられるのにアタシ自身がアタシを信じないなんて可笑しな話でしょ」

 

自分のレースをするのが勝つのならば矢張り自分だ。自分の走りは数年間共に走り続けてきた仲間たちとの経験によって裏付けされた物だ、もしもこれが自分一人で作り上げたのならば不安になってしまった事だろう。だけど自分にはカノープスの皆が居るのだ、そんな皆と走るのならば怖くはないし勝つ気も満々だ。

 

「ネ、ネイチャ先輩カッコいい~!!チームの皆の事なら信じられてそれなら絶対に負けないなんて……かっこよすぎて泣けてきた~!!」

「ちょっ何で泣くのよ!?泣く要素なんてなかったっしょ!?」

「まあ何時もそれで泣くかってのがウチのチケゾーな訳ですしお寿司」

「でも、ネイチャさんカッコいい、よ?」

「あ~いや、なんか改めてそう言われるとハズくなってきた……」

 

だがまあ、実際そういう意味ではカノープスはチーム全体で走っていると言っていいだろう。タンホイザはそれが顕著でマチタンフォームにチームメンバーの長所を取り入れている。ランページもイクノもターボも、皆仲間と走り込み続けたからこそ此処まで来たのだから。ネイチャの言葉は間違っていない。

 

「菊花賞、気合入れてけよ。俺の天皇賞も近いんだ、景気よく頼むぜ」

「アハハッランに花を持たせられるように頑張るよ」

「要らねぇよ、自分で持つ花の準備でもしとけ」




「おはこんハロチャオ~♪今日のゲストは~!!」
「やっほ~皆~!!ターボだよ!!」
「今日はトリプルティアラの二枚看板、さあ皆の者、脳内スクショを怠るな~?」
「イエ~イ皆見てる~!!?ピースピース!!」
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