貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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175話

「アハハハハッ!!いやぁ負けた負けた、本当に強いね。これでも自信あったんだけどなぁ~流石世界最速、まあ推定だけどね。これでも昨年の世界王者だから調子に乗っちゃ駄目だよ?」

「負けた癖にペラペラと……よく回る舌だな、塞いでやりたくなるわ」

「やるなら南の口をリクエストするね」

「その口に超硬質ブレード突っ込むぞゴラ」

「お~こわやこわや」

 

見事にチャンピオンズカップでアンブライドルドを下して勝利を勝ち取ったランページ。以前のジャパンカップでは疲労困憊で動く事もつらかったがあれから1年、ミッチリトレーニングを積んだ結果身体は1年前よりもずっと頑強になっていたのか以前よりも疲労は酷くはなかった。曰く、今回はダートコースだったので負担も少なかったのではと言われている。実際ダートウマ娘達の方が現役が長いのもそれが関係している。

 

「それにしてもランページさん、お疲れ様でした」

「まっ昔の女に今の女が負ける訳には行かないからな」

「あの、その言い方は勘弁してくれませんか。私が女性をとっかえひっかえしているみたいじゃないですか……?」

 

流石にこの言い方には南坂も汗を流しつつ訂正を乞う。

 

「間違ってないんじゃね?トレーナーって職業からして」

「ひ、否定出来ませんねそれは……ですがそういうのはやめてください」

「えっ南、もう私の事如何でもいいの、嘘って言って、あの雨の日の夜にベッドの上で抱きしめてくれたのは嘘だったの!?」

「南ちゃん……」

「事実無根ですからやめてください、というか貴方達のその連係プレイは一体何なんですか。レース前のあのバチバチ感は何処行ったんですか」

 

一度死力を尽くして戦った相手とは並の友人以上に分かり合えてしまうのがウマ娘、というかアスリートなのである。お陰でアンブライドルドとはすっかり仲のいい友人ぐらいにはなっている。同時に少しばかりの惜しさも感じる、きっと南坂が指導を続けていたら彼女は間違いなく連続でブリーダーズカップを取って絶対的な世界王者として名を馳せただろう……まあ惜しさを感じるだけでそれ以上の事は何とも思わないのだが。

 

「んで南ちゃん、約束―――忘れてないよな?」

「約束って、南何か約束したの?」

「ええまあ……チャンピオンズカップに勝ちましたら私の事を話すという事で」

「えっそんな面白そうな事してたの!?」

 

そう、ランページが此処まで頑張ったのはアンブライドルドに負けられないという以上に南坂の素性を知る絶好の機会という事だったから。以前からずっと気になっていた事が明らかになると思うと色んな意味でワクワクが止まらなくなってきてしまう。

 

「でもいいの南、話しちゃって」

「まあなんだかんだで長い付き合いですから……話しておくのが礼儀かと、良いですよねアンさん」

「ん~まあいいか……南が良いなら反対する理由は無いし」

「えっ何、ルドっさんも関係してんの?」

「まあそうですね、というかルドさんって呼びなんですね……」

「可愛いでしょ」

 

何やらルドにすら確認を取るとは思った以上に大事になりそうな気がしてならなくなってきた、まあ今更な感じはするが……これまでに出てきた断片的な情報は貿易会社勤めでクレーム対応をしていた、大きな取引先が居たなどなどだった。それが一体どんな形をしているのかワクワクしてきた。南坂はお茶を淹れつつもいよいよ話し始める。

 

「分かるとは思いますが私はトレーナーになる前はアメリカに居ました」

「まあ、ルドっさんと付き合いあったって事はそういうこったな」

「そしてどうしてルドさんのメニューを見ていたかなんですが、私の上司の娘さんだからです」

「へ~南ちゃんの上司さんの、ンで結局南ちゃんの前職って?」

「連邦捜査局って聞いた事あります?」

 

余りにも唐突な言葉にランページは変な顔をするが、勿論知っている。

 

「所謂FBIだろ、勿論知ってる……ってまさか―――」

「はい、元連邦捜査官なんです私」

 

想像していた以上、というかある意味某国のエージェントだったのではという物が正しくズバリ的中してしまっているのだから。

 

FBIは簡単に言えばアメリカ国内を捜査する警察組織。アメリカは連邦制でありそれぞれの州が単一の国家に近い独立性を持っており、人権の根幹か軍の運用に係るものを除いてほとんどの法律も各州が独自に州法として設定している。死刑の可否すら州法によって変化する。日本の警察でも県を跨ぐと県警同士が何方の所轄になるかでもめるというのがあるが、それらに対処するための組織が連邦捜査局、FBIなのである。

 

「―――いや、なんでトレーナーやってんの?」

「最初は私のパパのお願いで私の相手をしてくれたの、あっ因みに私のパパはFBIの長官」

「大物すぎんだろ!!つうかそんな相手の娘の相手頼まれるってどんな役職だったんだよ!?」

「サイバー対策課に勤務してました」

「もう何も言えねぇ……」

 

それと同時にそんな所に居たのならば、アニメでモニタージャックも出来るのも当然だ……とある種の納得に近い感情が湧いて来てしまった。

 

「そこでアンブライドルドさんのメニューも作ったりもしたのですが、その時にトレーナーになりたいと思ったんです。ウマ娘と此処まで密接に、彼女らの心に寄り添うトレーナーに興味が湧きまして」

「そこからは早かったよね~辞表提出してパパに驚かれて止められたので振り切って日本に帰っちゃったし」

「というか、日本に行く要因作ったのお前じゃねえかルドっさん」

「アハッ♪」

 

取り敢えず何とも凄い事が分かってしまった……確かにこれは話したくても話すタイミングを見計らうのも納得がいく。確かにこれは言い淀む。

 

「もしかして、ジャパンカップの時に情報集めたのも……」

「はい。FBI時代に出来たコネを使いました」

「なんちゅうもんをことに……」

 

何というか、本当に言葉が出なくなるレベルにとんでもない事過ぎてもう笑うしかない。これは知って良かったのだろうか、知らない方が幸せだったのか何方なのだろうか……。

 

「てか、これ俺知っちゃって大丈夫な奴?」

「大丈夫ですよ、既にちゃんと退職してますし」

「パパから出来れば戻って来て欲しいって言われたんだけど?」

「お断りしといてください、既に大統領にもお断りのお返事をしてありますので」

「もう聞かなかった事にするわ」




という訳で南ちゃんの正体は元連邦捜査局員でした。うん、そんな意外性はないな!!

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