なんか、ブライアンに対するウチのフローラ的な感じなのかなと思ったら全然違ったわ。
ホープフルステークス。このレースが開設させるまでは有馬記念が一年を締めくくる最後のG1レースとされていたが、このレースが開設されてからは最後のG1は次世代を担う事になるであろうウマ娘達の舞台へと変わった。それに抵抗を覚えていた者も多かった事だが、いざ開催されると次のクラシックへの期待も増す事もあって違和感も抵抗もなくなっていたとの事。
そんなホープフルステークスには去年ターボが出走、惜しくも2着という結果になっている。そんなレースに今年もカノープスから出走するウマ娘がいる。それがランページが溺愛する妹、ライスシャワーである。朝日杯フューチュリティステークスのタンホイザの好走に続けるかと期待が高まるが、ライスの走りは皆の期待を大きく上回っていた。
『先頭にはライスシャワー!!有馬記念のメジロランページに続くと言わんばかりの力強い走りであります!!』
タンホイザと大きく違う点はホープフルステークスが2000の中距離であるという事。適性的にステイヤーであるライスにとって本領発揮は中距離以上、持ち前のスタミナと精神的な強さを見せて逃げを見せるウマ娘がいくら飛ばして振り解こうとしてそれを許さんと言わんばかりに背後に亡霊のように喰らい付いた。内ラチギリギリを走って揺さぶりを掛けようと試みても全く揺るがない、寧ろ自分が近づきすぎてペースを崩してしまった瞬間に、ライスは鮮やかに追い抜いて見せた。
『残り200を切った!!此処でライスシャワーが猛スパートを掛ける!!これは強い、サンクチュアリを突き放していく!!6バ身から7バ身!!これは文句なし!!ライスシャワーが今、1着でゴールイン!!中山の一等星となったのはカノープスのライスシャワー!!クラシックの道へと繋がり道へと一歩を踏み出した!!そしてタイムは―――2:00.9!!なんとメジロランページに続いて彼女もレコードをこの中山で達成しましたぁ!!』
「ラ、ライスがレコード……お、お姉様~ライス、ライスやったよ~!!」
この時ばかりは、ライスも自分から大きな声を上げて大喜びの歓声を上げていた。尊敬し敬愛する姉と同じ舞台でレコードを達成した感動とG1初勝利を飾る事が出来たという感情が溢れ出して普段の彼女からは考えられないような喜びを全身で表現していた。
「よくやったぞライス~!!」
勿論、応援に来ていたランページは大喜びであった。有馬記念を制した時以上の喜びようを見せていたので南坂は複雑そうな顔になったのは言うまでもないだろう。
「皆さん、今年はお疲れ様でした。それでは皆さん―――乾杯!!」
『カンパ~イ!!』
トレセン学園の一室、そこを借りて忘年会を催す事にしたカノープスの面々。今年一年お疲れ様、そして来年も頑張りましょうを兼ねての集まり。今年一年はカノープスとして申し分ない所かある意味で最高の一年だったと言えるだろう。ランページは無敗神話を3年連続で継続しいよいよ海外挑戦、ターボはトリプルティアラを取りネイチャはダービーウマ娘、そしてイクノは念願の初G1。タンホイザは朝日杯2着の好走、そしてライスはホープフルでのレコード勝ち。
「いよいよ来年はチケットさんのデビューですね」
「う~今からもうワクワクが止められないよ~!!」
来年は来年でいよいよウイニングチケットのデビューが控えている。BNWの一角である彼女はどんな活躍をするのか今から楽しみである。
「期待してるぜチケット、夢はダービーウマ娘だったな」
「はい!!絶対になりますから期待しててください!!ネイチャ先輩に続きますから!!」
「これはこれは期待出来るね~アタシみたいな同着じゃなくて正真正銘のダービー制覇を期待してるよ~」
カノープスにはダービーウマ娘であるネイチャもいるのでクラシック三冠路線にも対応しているので心配する事はないだろう、それに今年はライスとタンホイザが其方に挑む事になっている。
「ライスとタンホイザもクラシックだったな」
「朝日杯でやっぱりマイル駄目だな~って分かったからクラシック路線にしました」
「うん、ティアラも考えたんだけど……ライスはマイル得意じゃないから……ごめんなさいお姉様」
「気にすんな、別に連続でトリプルティアラを狙ってる訳じゃねぇんだからな」
今年はカノープスからはティアラは未出走という事になる、新しいメンバーが入って出走する事も考えられるが現状ではライスもタンホイザもティアラ路線には進まない。ステイヤー気質な二人にとってはマイルが絡む其方は厳しい、クラシックは長距離の菊花賞もあるので寧ろ好都合。
「一応メンバー申請は来ていますが、流石に多いので絞らないときついですね……まさかカノープスでリギルのように入部テストレースを組む事になるとは思いませんでしたよ」
困ったように笑う南坂、数年前まではザ・中堅どころチームだったのに今ではトップチームにまでなり上がっているので本当に人生とは分からないものである。
「因みにどんな奴が出してんの?」
「そうですね……いろんな方がいますけど、ランページさんと交友がある方もいますね。ヒシアマゾンさん、ドラグーンランスさんが出してくれてますね」
「おっアマちゃんとドララン来るのか」
リギルでなくてこっちに来るのか、とも思ったが以前カノープスの練習方針を話した時に自分とのタイマン勝負という所に惹かれていたしある意味此方の方が向いていると言えば向いているかもしれない。他にもドラグーンランスも申請をしてくれているというのは嬉しい話である。
「後は……サクラローレルさんの名前もありますね、御存じですか?」
「いや面識はねえな……ブライアンから名前ぐらいは聞いた事あるけど」
まさかの名前も此方に来るのか……と思うのだが、ある意味ブライアンを打倒するという意味だと正解なのだろうか、後ローレルは凱旋門を勝利する事を目標にしている筈だ、そうなると凱旋門に出走するつもりがいる自分がいるカノープスに来るのもある意味妥当なのかもしれない。
「まあ兎も角、来年は楽しそうでいいな。俺もそこに絡めなくて残念だぜ」
「何言ってんだか、ずっと海外にいる訳じゃないんだから大丈夫っしょ」
「そりゃそうか」
今年は今年でエアグルーヴも入って来る、色んな意味で楽しみな年になる事だろう―――ウマ娘として、アスリートとして4年目の年。自分にとって一体どんな日々になるのか、海外での日々、厳しいレースが待ち受けている筈なのだが……自分はそれ以上にどんなウマ娘と覇を競えるのかにワクワクしてしまっている。
「さあもういっちょ乾杯と行こうぜ~来年もみんな、宜しくお願いしま~す。カンパ~イ!!」
『カンパ~イ!!』