貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

186 / 635
186話

「はぁ~……」

 

この日、ランページは今日もシガーを吹かしていた。心なしか表情は憂鬱なのか暗い、これが本当に無敗神話継続中のレジェンドウマ娘の姿なのかと言われたら誰しも首を傾げる事だろう。そんな彼女に中等部のウマ娘達が近づくと一斉に声を掛けた。

 

『ランページ先輩受け取ってください!!』

 

大きな声とともに差し出されたのは可愛らしくラッピングされた箱、中には手紙も付いている物もありそれらが一斉にランページへと差し出されたのであった。それを聞くと一瞬で表情を作り直しながらもシガーを指で挟みながらのポーズを取って笑顔。

 

「これは嬉しいプレゼントを貰っちまったな。有難うな」

 

丁寧且つ望まれていたであろう返答をするとウマ娘達はキャ~キャ~言いながらも自分のプレゼントを受け取って貰える事に感激する。そして一通り感謝を言い追えると希望者にはツーショットなどを撮って上げたりした後に彼女達はホクホク笑顔で帰ったのを確認、そして誰もいなくなったことを確認してから再びシガーを吹かしながら溜息をつく。吹かし過ぎて鼻からも煙が漏れている。

 

「もう勘弁してくれねぇかな……マジで」

 

暦は1月を過ぎて2月に入った。2月に入れば何があるだろうか、フェブラリーステークス?ある意味正解だが違う―――乙女の聖戦(ジハード)、バレンタインデーである。女子校とも言えるトレセン学園にもそれはある。憧れの先輩などにチョコをなどを贈る日として存在している……そしてランページもその矛先を向けられる側になっている。

 

「アハハッ凄いねラン、さっきから凄い量渡されてるじゃん」

「去年はダート挑戦で色々忙しかったからスルー出来てたのに今年は全然だぜ……」

 

そんな風に声をかけるライアンも両手に紙袋を下げており、そこにはチョコが詰まっている。彼女も彼女でクラシック三冠な上にスポーティなお姉様として人気がある―――のだが、ランページの人気はそれ以上であり数えるのがバカらしくなるレベルで貰いまくっている。

 

「これ、マジで俺が食わなきゃダメなのかよ……糖尿病になるわ」

「アハハハ……アタシのはプロテインバーとかそっち系だから割と助かるけどランのは……ねぇ」

 

無敗神話の王者、姐御肌、男よりも男らしい、普段からの行いのせいもあってかランページの人気はルドルフすら越えている物がある。彼方も彼方で苦労しているらしいが……ハッキリ言ってもう発狂しそうな量を受け取っているのだが、一つ一つに思いが籠っていると思うと無下に出来ずに真面目に対応して受け取る自分がいる。

 

「つうかよ、手紙書きすぎなんだよ。なんだよ10個中6個は手紙付きだぞ、俺は郵便局じゃねえよ」

「大丈夫だよ配達してくれじゃなくて全部ラン宛てだから」

「良かねぇだろ!?」

 

手紙の殆どはファンレターで自分の活躍を応援している、海外遠征頑張ってください、憧れてトレセンに来ました、ダートに転向してました、ダート三冠目指しますEtc...ラブレターがない事が唯一の救い、いや確認しきれていないだけでありそうなのが怖い、主にフローラのが。

 

「呼びました?」

「呼んでねぇよってぇどっから現れたぁ!?」

「貴方宛てのチョコの山の中から」

「キモッ!?」

 

本当に山のように積み上がっているチョコの山から姿を現したフローラ、本当に彼女は自分に対しては異次元的な能力を発揮するようになってきてる気がする……アグネス冠のウマ娘は皆こうなのだろうか……いや、デジタルは一緒にしてはいけないなと思い直す。尚、フライトは知らない。

 

「まあ本当はこっそりと回り込んだだけですけど」

「だとしてもキモいわマジで!!お前もう砕け散れ!!」

「ちょっちょっとラン幾らなんでもそれは……」

「じゃあライアン、お前はいきなり俺の考えてる事を完全に当てた上でその理由を愛だと断言するウマ娘が怖くないと申すか!?」

「ごめん全力で怖い」

「ちょっとやめてくださいよライアンさんマジで引くのやめてくれませんか好い加減に泣きますよ私!!?」

 

つまりそう思われるような事を言っただという事を好い加減に理解して欲しい。

 

「ったく……んで何の用だ?俺はこのチョコを如何やって消費するかについて思案してるんだが」

「いや~その……私もチョコレートを持ってきたんですけど」

「お前のは断固として拒否する」

「何故ぇ!?」

 

これまで全ての贈り物を受け取って来たが、フローラのだけは受け取りたくはない。何故かと言われたら怖いから、その一点に尽きる。自分に執着し軽いヤンデレの域にまで入っているフローラのものは色んな意味で怖いのである。妹のタキオンから何かしらを受け取っていれているのでは……とも考えてしまった。流石にこれはないとは思っているが、一度考えてしまったが故に脳裏にそれがこびり付いて離れなくなった。

 

「まあまあまあまあ……ラン、ライバルからの贈り物だし受け取ってあげたら?」

「ライアンさん……流石心がお広い!!よっ筋肉の万国博覧会!」

「誰がボディビルの掛け声やれっつったよ。まあ、流石に受け取らないのもあれか……」

「やった!!はいそれじゃあ受け取ってください!!」

 

フローラは折角だからと箱を開けながら差し出された、が中身を見てランページはうわぁ……と言葉を失った。ライアンも顔が引きつっている。何故ならば……ハートの形に整えられた箱の中にはハート型のチョコレートがあり、真心と愛を込めて……と文字が書かれているのである。

 

「お前やっぱそっちじゃねえか!!」

「違いますこれまでの想いを込めて文章を書いたらこうなっただけです!!確かにランページさんの事は嫌いじゃないです、寧ろ好きです!!」

「フローラ……えっとその……うん、如何するラン、それ」

「……フローラ」

「はい?」

 

思わず彼女の肩に手を当てながらもそのチョコを手に取った、そして―――フローラの口に突っ込んだ。

 

「モガガアァ!!?ゴックン……何するんですかぁ!?貴方宛てのチョコを!?」

「いやそのお気持ちだけで結構ですのでお引き取り下さい、うん、愛ならいらないけど」

「全拒否されるどころかその場でクーリングオフされた!?」

「っていうかさ……なんか気のせいかな、なんかフローラ光ってない?」

「「えっ?」」

 

ライアンの指摘に思わず二人は声を揃えてしまった、そしてよく見ると……何故か、少しずつフローラの身体が発光し始め淡いオレンジ色の光を放っている。

 

「お前あのチョコに何入れた!!?俺に何を喰わせるつもりだった!!?」

「えっえっ!?市販のチョコしか使ってませんよ!?」

「でもそれならそうならないよね!?何かアレンジでもした!?」

「アレンジと言われても―――あっ」

 

そう言われて思い出した事があった。トレセン学園の調理実習室は使えなかったので自宅でやったのだが……その時にタキオンが手伝ってくれたのだ、だがその時だって何も変な事は……と思ったが、彼女が何かを入れていたのを思い出した。

 

―――何、隠し味という奴だよ。これで益々美味しくなるよ。

 

「……もしかして、あれ?」

「よし今直ぐにお前の家に行って妹問い詰めて来い。人体を発光させる何かって何だよシンプルに怖いわ!!?」

「というか救急車呼んだ方が良いのこれ!?」

「タキちゃん一体何を入れたのぉぉぉぉ!!!?」

 

 

「へっきしゅ……フフッどうやら姉さんが私の事を噂しているようだ。あの薬を摂取した感想を聞かないといけないねぇ……フフフフッ」

「……朗報、姉さん激怒しながら帰宅中だって」

「おや目論見が外れたね、姉さんが食べたのか。ハハハッあの人は手強いなぁ!!」

「タキちゃぁああああああん!!!」




「ううっお姉ちゃん怖かったよぉ……フローラ怖かったよぉ」
「よしよしお姉ちゃんが付いてるから大丈夫ですよ~♪」


「お、お姉様……ラ、ライスも贈り物を用意したの……で、でもチョコじゃなくて夕ご飯を作ったの。た、食べてくれる……?」
「ライス……お前は天使だ……」

クリークとライスにお陰でランページは何とか立ち直った。

現在活動報告にて皆様からのご意見を募集中です。
詳しくは↓のURLからお願いします。

https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=294978&uid=11127

追記のアグネスネタ。
なんか、デジたんを育成してたら、間違えて長距離適性Fなのにダイヤモンドステークスに出走させちゃいました、でもなんか1着になりました。それで称号取れた、なん何この子。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。