貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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188話

「―――はい、採点終了しました。全教科合格点どころか、90点台でした。御見それしました」

「どうも~こんな所で躓いて無理でした、なんて洒落にもならねぇ。会長のあれよりも吹雪かせちまうぜ」

 

とある教室でテストを受けていたランページ、教壇にはたづなが立ちながらも回収した答案の採点を終わらせた。見事なまでの点数に言う言葉が見つからない、減点も凡ミス程度だし注意を払えば間違う事も無い。故に教育機関としてのトレセン学園はランページの海外遠征の許可を笑顔で出す事が出来る。

 

「無敗神話継続中且つ成績も優秀、非の打ち所の無い生徒さんですね」

「いやいや、短期間にサーバー落としまくる奴が非の打ち所がないなんて事はねぇぜなたづなさん。これでも俺は自分の事を問題児だと思ってんだからよ」

 

これは真面目な話、本気でそう思っている。主にURAの胃を攻撃しまくっているウマ娘が品行方正な生徒とはお世辞にも言えない。

 

「そうですね、後はシリウスシンボリさんへの攻撃も止めてくだされば完璧ですかね」

「あれはシリウスパイセンに問題があると思うんですよ、自分の婆ちゃんの肩揉むのを嫌がる感覚ってのが俺からすれば理解不能だよ」

 

スピードシンボリことスーちゃんがランページのトレーナー代理として海外に赴く事が大体的に公表された事でスーちゃんは頻繁にトレセン学園に顔を出すようになった。その関係で孫であるルドルフはこれまで出来なかった分の会話分を取り戻す勢いで相手をさせられている。当人としては会わなかった理由がスーちゃんの多忙さを考えて遠慮していただけなので時間があると分かれば積極的にかかわっている、がその反面逃げ回っているのがシリウスである。

 

孫が大好きなお茶目なお婆様なスーちゃんに苦手意識を持つシリウスからすれば勘弁してほしいと言いたくなるような状態になっている。肩を揉む際も至るまで遠慮という名の拒絶をしまくっていた。まあ結局は逃げ切れずにやった訳だが……

 

「そんなに嫌かね、婆ちゃんの肩揉みって?」

「さあ……私は何方かと言えば触れ合える事は嬉しいと感じる方ですから」

「だよな~……触れ合える内にやっとくのがいいに決まってる」

 

シガーを銜えながら呟くランページにたづなは少しだけ、表情を曇らせる。ランページには既に血の繋がった身内というのは叔父と叔母しかいない、祖母と祖父も幼い頃に亡くなっている。加えて最初こそ面食らったが今ではスーちゃんとは仲良しなのでシリウスのそれは全く理解が出来ない。

 

「まあ兎に角、これで俺は気兼ねなくスーちゃんと海外旅行に行けるって訳だ」

「遠征ですよ許可したのは」

「分かってる分かってるって」

 

今回受けた試験は海外遠征に行く間の単位免除の為の物。ドバイだけではなくヨーロッパにも遠征予定なランページはその間の単位が取得できない、なので今の内に免除試験を受けた。結果は前述の通り、学校としてのトレセン学園からの許可もバッチリと取れた。一応南坂に報告をしなければならないと部室へと向かって行く。

 

「頑張ってくださいね、ランページさん」

「応。期待しててくれ」

 

そんな声援を背中で受けて教室を出る。誰かに絡まれないように足早に行くと部室にはスーちゃんと南坂が何かを話し合っているようだった。

 

「やっはろ~何の話してんのお二人さん、嫉妬しちまうじゃない俺も混ぜなよ」

「大した話をしている訳ではありませんよ。スピードさんにこれまでの練習メニューをお見せしていたんです」

「あらっ貴方もスーちゃんでいいのよ南ちゃん」

「いえ流石に勘弁して頂けると……」

 

流石の南坂でもそれは気が引ける模様、寧ろ気兼ねなく、当たり前のようにスーちゃん呼びするランページが可笑しいとも言える。そんな二人がやっているのはスーちゃんが行うトレーナー代理への情報共有。ドバイやヨーロッパでは御大に練習を見て貰う事になるのだからこれまでの事も確りと共有する為の集まりだった模様。

 

「練習は変わった……って言おうと思ってたのにあんまり私の時代の時と変わらないのが意外ね。寧ろシンザン鉄の事を踏まえたら寧ろ逆行してる感じかしら?」

 

驚いたのは自分の時代のメニューとそこまでの劇的な変化はない事。所謂応用的な物が余りなく、基礎を重視する為か寧ろ逆行するようなメニューが羅列されている。シンザン鉄なんて最たるものだろう、遺物として扱われる物を使って最先端の無敗神話を描くとはなんというロマンだろうか。

 

「これなら私でもなんとかなるわね」

「元から心配はしてませんけどね」

「ホンマ言ってくれるよ、ああそうだ、試験は無事に合格だったから」

 

それを聞いても南坂は特に顔を色を変えなかった。元からランページは成績がいい方だから間違いなくパスすると踏んでいた。

 

「んで南ちゃん、俺の護衛は目途着いたの?もう直ぐドバイ行きだぜ」

「ええその辺りはご心配なく、とっておきの人材を見つけておきました」

「何だろうな、南ちゃんの口からとっておきとか言われるとスゲェ怖い気がするの俺だけかね」

 

大統領からも信頼される元FBIの口からとっておきと言われると色んな意味で凄い事になりそうな気がしてならない、海兵隊でも持ち出すのだろうか。どこぞのラグビー部を指導するみたいな感じなのだろうか、そんな考えで本場の罵倒を聞いてみたい気持ちは無くは無いが……

 

「実は打診をしたら是非と立候補する人が絶たなくて……」

「あらランちゃんってば大人気ね♪」

「これも配信やったツケかな~……こうなったのは私の責任だ、だが私は謝らない」

「乗るわよ?」

「ランページさんストップです、スピードシンボリさんに何言わせる気なんですか」

 

揃って顔を反らしながらワザとらしく舌打ちをする二人、一体どれだけ仲良くなっているのか……本当の孫と祖母よりもずっと仲がいいのではないだろうか。

 

「ですが何とか絞り込みました」

「それってウマ娘なん?」

「一応何方もリストアップしてますよ、まあそうではなくても条件付きの一対一ならばウマ娘にも勝てる人を用意してます」

「どんなバケモンだ」

 

一対一ならばウマ娘に勝てるというのは人間として考えると余りにも破格すぎる戦闘力ではなかろうか……伝説の傭兵でもいるのだろうか、それとも髭がトレードマークなイギリス人だろうか。

 

「現地で合流予定ですので楽しみにしておいて下さい」

「何だろう、誰なんだろうと思う反面どんな立場の人間なんだろうって怖さもあるわ」

「もしかしてあれじゃない、ほらFBIとかCIA直属の特殊部隊とかブラックオプスに従事してた軍人とか!?」

「何でテンション上がってんのスーちゃん、どこのCODだよ」

「候補の中には元が付きますがNavy SEALs隊員もいました」

「世界最強の特殊部隊じゃねえか!?国を守れよ俺じゃなくて!!」




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