貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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194話

「ハァァァァァ!!!」

「こんのぉぉぉ!!!」

 

ドバイ入りしたアメイジングダイナとレディセイバー、共に国際競争のG1として数えられるフェブラリーステークスと東京大賞典を勝ち抜き、ドバイ行きの切符を手にした二人。ドバイ行きの切符、恐らくこの切符を以前の自分達が手に入れたとて大した興味を抱く事は無かっただろう、世界の舞台なんて自分達には丈が大きすぎる錦なのだと。

 

「ハァッ随分と気合、入ってんじゃねえか!!」

「此処まで来てしまったんだろうから、当然でしょう!!!」

「砂塵の騎士として、恥じない戦いをする為です!!」

 

だが今は違う、彼女は目的をもってこの土地へとやって来た。海を渡って来た、この地で決着を付ける為に、ダートの世界最強決定戦の一角たるドバイワールドカップで勝つ為に。

 

「シカし、驚きマしタ。あの御二人、中々デスね」

「エリックさんの目からもそう見えるかしら」

「ハイ。アメリカのダートレースに出るノを薦めてみルのも面白イト思いマス」

 

二人の実力の高さはある種、ダート競争の本場とも言えるアメリカでレースを見た事があるエリックも認める程。あれ程のダートウマ娘が日本という格が芝に比べて落ちる舞台で生まれた事。

 

「そうね……でも、あの子達はランちゃんがダートに入るまでは何処か伸び悩んでたのよ。そうさせてしまったのが日本のダート事情」

 

アメイジングダイナとレディセイバーというウマ娘は世界に出れるだけの素質があった、だがそれ以上に切っ掛けが無かった。日本の競馬はある種のガラパゴスだという関係者もいる。それはダートのレースの一部が芝コースからのスタートからも汲み取れる、そんな世界を打ち破った切っ掛け、それに大いに刺激を受けたことで漸く開花した才能と精神性。それがこのドバイにまで届かせた。

 

「But、仮にドバイワールドカップでランページサンが勝ったら……」

「間違いなく、激震が走るわね」

 

勝たなくても激震だ、ダートの三冠整備にドリームトロフィーリーグのダート設立案の提案。本当にあの子は特異点だ。

 

「や、やっぱり速いなぁ……でも、まだまだァ!!ランページさんもう一本行きましょうもう一本!!!」

「元気じゃねぇかダイナ、幾らでも相手になってやんぜ。レディは如何する?」

「フフッ私が行かない訳が無いでしょう、それではもう一度―――」

「「「勝負っ!!!」」」

 

 

『これで、パッとしない……全く、当てにならない資料ね』

 

そう言いながらもタブレットに入っていた資料の一部に舌打ちをする一人のトレーナーが居た、彼女の傍にはシュタールアルメコアがいた。幼少期から面識がある彼女のトレーナーを務めている彼女は熱心にランページと競い合っているダイナとレディの走りを見つめる。余りにも日本の知り合いから取り寄せた資料と差異があり過ぎる。これで警戒に値しないとは……日本の出版社と言っていたが、切った方が良いかもしれない。

 

『レディセイバーは前傾姿勢の走りがかなり特徴的ね……あれ以上倒すと転ぶか走るの二択しかないギリギリを見極めてる、それによってストライドを稼いでるわね。アメイジングダイナもその名に恥じないわね……カーブはちょっと下手だけどそれを補って余りにある程に直線で伸びる……ええいっマジで使えないわね!!こうしてやるわ!!』

 

余りにも参考にもならないので資料を完全に削除してやる、これを機に付き合いを見直した方が良いかもしれないと思っていると隣からドリンクが伸びて来た。

 

『一々うっせぇんだよ、んで如何なんだよランページの野郎は』

『敵は暴君だけじゃないわよ、砂塵の騎士と砂の超特急も強敵よ』

 

視線を動かして首を促す、シュタールが其方を見るとそこには自分のトレーナーと同じように頭を抱えていたり苛立ちを抑えきれずに電話に向けて怒鳴り散らしている人間がいる。他のウマ娘のサブトレーナー辺りだろう、彼らもダイナとレディの変貌ぶりに資料が役に立たない事に腹を立てているらしい。

 

『暴君の方は寧ろ資料は大量にある、ダートの方は少ないけど……それでも評価は正確な物がある、でもこの二人は……』

 

ランページの方は正確な評論を掲げている出版社の出している物がある、それを翻訳された物はシュタールも読んだ事があるがよく調べてある上に出版社として正しい中立に徹していて読んでいて気分のいい物だった、自分も日本の取材を受けるならここを指名したいと思った程だ。だが、その一方でダイナとレディの物は少ない。一応フェブラリーSや帝王賞を走った際のランページの物に付随する形のものもあるがそれを基準にするにしては少なすぎる。

 

『何が暴君の影に隠れてるよ、十分過ぎる位に拮抗してるじゃない!!あ~もうマジでふざけた資料しか寄こさない!!マジであそことは関係切ってやるぅ!!!』

『落ち着けよ、俺を抑える役目の奴が暴れて如何すんだよ』

 

シュタールのトレーナーが知り合いと言っていた出版社はランページが取材拒否を出している一社、そこが出した資料というのは基本ランページを持ち上げる物ばかりだし他のウマ娘のは正確ではない。これなら自分でレース映像を見て資料を作った方が余程正確且つ良い物が出来るだろう。

 

『兎に角、油断できない―――ってアル!?』

 

気付けばアルことシュタールアルメコアは飛び出して件の暴君たちの元へと向かって行っていた。

 

『暴君、付き合ってもいいか』

『あっアタシもアタシも~!!』

「えっえっ!?えっと英語!!?」

「ラ、ランページさんそ、その……」

「あ~任せとけ任せとけ、一緒に走りたいんだと。折角だ、『この後配信やるんだがよ一緒に如何だ?』」

『―――邪魔にならなければ』

『出る出る~!!』

『面白そうなことならボクも誘って貰わないと困るね~』

『俺も忘れんじゃねえ!!』

 

海外ウマ娘から話しかけられてワタワタしているダイナとレディを笑いながらも通訳をするランページはさり気無く配信にアルカンシェルとリンクスを誘う。そしてそこに乱入するアイリーンとシュタール。ダイナとレディの二人は快諾し、共に一緒に走る事になっていると背後から一人のウマ娘が抱き着いた。

 

『ランページ~走るなら私も誘ってよ~後配信も出たい~!!あと、スピードさんとポケモンバトルしたい~!!』

『出たな属性モリモリウマ娘、応もちろんいいぜ。ゲーム配信でもすっか』

『ヒューペも出よ~♪』

『下らん事には参加せん』

 

尚、この後の配信では―――

 

『おはこんハロチャオ~♪』

 

最初の挨拶だけは完璧に合ったものが披露された。通訳兼護衛として参加したエリックがその場で

 

「おはこんハロチャオはアメリカでモ挨拶で通じマスよ」

「マジか。でもこの場合凄いって俺じゃなくてナンジャモじゃね?」

 

というやり取りがあってまた伝説となった。




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