貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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199話

日本ウマ娘初の海外G1タイトル獲得にしてドバイワールドカップ日本初優勝。これまで数々のウマ娘が挑み、跳ね返されてきた海外の厚い厚い壁。それがこの日、遂に瓦解した。それを成し遂げたのは国内無敗の生きた伝説、余りの強さ故に独裁者、暴君などと呼ばれるウマ娘、メジロランページ。芝、ダートの二刀流、芝からのダート路線追加には驚愕させられた者も多かった、だがその驚きもこの時の為の物だったと今なら理解出来る事だろう

 

「レディにダイナ!!お前らもこっち来いよ俺達3人で写真撮るぞ!!」

「えっでも……アタシ、7着」

「ンな事で文句言う奴いたら俺が黙らせる!!」

「乱用だよそれ!!?」

「しかも出来る立場なのが凄い性質が悪い……」

「んじゃ此処でアンケな、お前らでこの二人が一緒に写真撮るのに文句ない人手ぇ挙げて!!」

『はい!!』

「よし決定な」

「その連帯感は何なんですか!?」

 

そして日本を取り巻く熱はそれだけに非ず、共に出走したレディセイバーとアメイジングダイナの大健闘もあった。レディセイバーは4着、アメイジングダイナは残念ながら7着だったが……それを見て侮るのは実際のレースを見ていない愚か者の言動でしかない、実際のレースでは世界の強豪相手にあれだけの走りをした二人を称賛する声は後を絶たなかった。ランページを頂点に据え、その左右を二人で固め、日本の誇りとされた。

 

『日本のウマ娘は世界にも通じる、日本世界への証明』

『真の世界の王者の証明』

『暴君、メジロランページ世界を制する』

 

勿論、これを発行した出版社はドバイまでやって来ていたランページお気に入りの出版社。しかも当日中の昼には発刊され異例の超大ヒットとなったらしい。如何やらランページならば、彼女ならやってくれる!!と信じて既にラインを整えて、社員一同スタンバイ状態だったらしい。それをインタビューの現場で聞いたランページは此処から負けなくて良かったぁ……と安心した模様。

 

「アメリカに行くぅ?」

 

日本に帰る前のドバイ療養中、レディとダイナと共にゆっくりしていると唐突にレディがそんなことを言い出したのであった。

 

「はい、今回の事で確信が持てました。そして武者修行を兼ねて私は海外に行こうと思ってます」

「どこぞのシリウスパイセンみてぇな事考える奴だなお前」

「ほぼ名前言っちゃってるよそれ……」

 

レディの話を聞いて真っ先にシリウスの海外遠征を連想したのはスーちゃんがトレーナー代理だった事なのもあって当然の成り行きだろう。

 

「今回、私は4着でした。世界の頂点を決めるレースの一つ、ドバイワールドカップの4着―――私としては貴方に勝てずに掲示板を確保するだけで精いっぱいだったのは極めて不服ですが」

「それ言われたら私の立場が……」

「すいません、ですが同時に私の自信の革新でもあります……世界の舞台でも、私は戦える」

 

今回の事で踏ん切りがついた、それだけレディの中にあった自信が大きく、頑強な物へと変貌した瞬間でもあった。

 

「それと―――エリックさんに言われたことも関係してます」

「エリちゃんの」

「はい」

 

エリックからアメリカで走っても通用するという言葉もそれを後押ししている。まさか自分の力がそこまであるとは思えなかった、自分は唯ランページに勝ちたくてこの地まで来ただけだった。それがアメリカでも……とはとても思えなかったのだが、今回のレースのその自信が漸く得られた。そして目の前の人を超える為にはそれに見合うだけの修行をしなければならない、それは極めて険しく辛い修羅の道。

 

「きっとつれぇぞ?」

「苦難上等、好む物なり修羅の道―――そうでなければ、世界の暴君を切り伏せるだけの刃を作り上げる事など到底出来ぬ偉業。砂塵の騎士は、アメリカに刃を作りに行くのです」

「言ってくれるな、なら好きにしろ。俺は止めねぇよ」

「止められたところで私は行きますけどね」

 

そして、レディは付け加えるようにアメリカに行く際はアイリーンとバニーを頼る事を伝えた。この前の配信で特に仲良くなった二人の力を借りてアメリカでも頑張るらしい。

 

「だったら英語ぐらい話せるようになっとけよ、お前の英語は授業で教わった所だけだからな」

「が、頑張ります……」

「うぅぅぅ~私も頑張らないと!!」

「おっダイナも海外か?」

「いえ、まずは自分を鍛え直してからにします。そうですね―――手始めに次のかしわ記念を制します」

 

ダイナはまずは国内で力をつける事を選択した、日本勢の中で一番着順が下、それはつまり自分はまだまだ世界に通じるような器ではなかったとだからこそまずは日本内で力をつける。そして再び海外を目指す、その第一弾としてダートのG1、かしわ記念を制するのだと宣言する。

 

「ランページさんはどうするんですか?貴方もかしわ記念に出るなら、負けませんけど」

「俺は、渡欧を控えてるからな……何時向こうに行って慣れるかによるな」

 

日本勢はそれぞれが別の道を行く事になる。レディはアメリカに行き、ダイナは国内で力を付けてから海外、ランページは渡欧。だが最終的に行き着く先は全く同じなのだから笑みがこぼれる。

 

「海外なんて考えた事も無かったのに、その為に頑張ろうなんてアタシも変わったなぁって思いますよ」

「それは私もです、ドバイに来たのだってランページさんに勝つ為だけですからね」

「どんだけだ、俺のこと好きかテメェら」

「「ライバルという意味でなら好きですね、倒したいです」」

 

そう言われて思わず笑みを浮かべる、本当にフローラもこんな感じならばいいのだが……何であれはあんなに粘っこい感じがするのだろうか……。

 

「ランページさんは渡欧って事は次は芝ですか」

「元々芝のウマ娘なんでね、芝とダートの海外G1とかロマンじゃん」

「そんな理由で蹂躙されるヨーロッパに笑いが止まりませんね」

「おいおい、もう俺が勝った前提か」

「「負けないでしょ貴方は」」

 

全く裏の無い、信じ切った笑みがそこにある。まあ負けるつもりは毛頭ない訳だが……これは益々負けられなくなったという訳だ。

 

「ったく色んな物背負わせすぎだ」

「すいませんね、でもそんな風に私達を変えたのは貴方ですよ」

「ええ、ランページさんと出会ったせいでこんな風になったんですから、責任を取る為に決着を付けるまで負けないでくださいね」

「上等じゃねえか、そっちこそ不甲斐無い走りすんじゃねえぜ」

 

全くこの二人は……と思いながらもその言葉に感謝を浮かべていた。まだまだ自分は走れる、前へと行ける……それを再認識した瞬間だった。

 

 

 

「―――ハッ!?今、ランページさんが私が言ったら絶対許さないような事を言われたのに笑顔で受け止めたような気が!!?」

「姉さん、流石の私でもそれは引くねぇ」

「私は既に引いてます」

「タキちゃんとフラちゃん酷い!!」




だってねえ……フローラの場合は愛が混ざるから。

ダイナとレディは純粋な対抗心と闘争心だから……。
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