貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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200話

休養を兼ねてリンクスやバニーたちを改めて配信兼パーティを行ったりをしたりしていたランページ、日本のライブ曲を聞きたいと言われたのでその場で彩 Phantasiaやwinning the soul、ラストにはレディとダイナを加えたうまぴょい伝説をやったりした。尚、その時にドバイの首長が話をしたいとやって来て、是非ステージで聞きたい!!と言われたのでドバイワールドカップミーティングスペシャルライブが行われる事になった。

 

尚、テレビ局は発狂した。そして、サーバーが悲鳴を上げた。首長は最前列でニッコニコだった。そんな事をやっていた影響でドバイから日本へと戻る頃には、既に暦は4月を越えていた。

 

「お婆様、只今ランページ帰国致しました!!」

「お疲れ様でした。大変だったでしょう初の海外は」

「いやぁ気楽に過ごさせて貰いましたよ、現地の夜に合わせて寝れば時差ボケも起きませんからね」

「あらっそうなんですね」

 

漸く帰国したランページは空港でマスコミとファンの盛大な出迎えを受ける事になった、ファンには最高の笑顔と配信で定番のあの言葉を言うなどのサービスをしたりなどしつつもマスコミには取材はトレセンか南坂、メジロ家を通してくれという態度を貫いてメジロ家へと戻って来た。

 

「海外G1初制覇……フフッ貴方は何処まで高みに登れば気が済むでしょうね?」

「さあ、我ながら何処まで行けるかなんて分かりかねますね」

 

25戦25勝、世界的に見ても破格の伝説。これを上回るウマ娘はたった一人しか存在しない。そんなウマ娘と比較されるところまで上り詰めてしまったランページ、ライアンに連れられてこの屋敷にやって来た時の面影はもう既になく、立派な王者としての風格を纏うようになっている。

 

「あら、そう言えばスーちゃんは?」

「シンボリのお屋敷の方に戻るそうです、なんでもシリウスとお茶をする約束があるとか……なんか向こうからのお誘いは初めてだから楽しみだって言ってました」

「あのシリウスがねぇ……貴方の配信を見てこれはまずいとでも思ったのかしら?」

「流石にあれはやり過ぎたと思ってます」

 

ドバイで行ったスペシャルライブはランページのチャンネルで配信がされたのだが……世界中からアクセスが殺到する程のものだった。日本のそれだけではなく、アメリカやフランス、ニュージーランド、ドイツ式のウイニングライブも行われたのだから。映像資料として凄い重宝されそうな位にはバラエティに富んだライブになった。

 

「ネットニュースも凄い事になってましたもんね」

「URAから直接私の所に役員が来ましたよ、貴方のお孫さん何とかしてください!!って」

「あちゃぁ……あのバカ共俺が耳貸さねぇからってお婆様に行きやがった……」

「と言っても私が出来る事なんてないので、自分達で努力なさいと一喝しましたけどね。別に犯罪行為などをしている訳でもないのだから注意をする理由もありませんし」

 

確かにレースを一緒に走ったウマ娘達と一緒にライブを行ったというだけなのだが……ただそれをテレビ局なんかを一切通さずに個人の配信でやっただけなのだから……サーバーに著しい負荷をかけたと言われればそれまでだが……。

 

「それで貴方はこれからどうするのかしら」

「一応トレセンに行きます、新学期だし顔出してやりゃみんな喜ぶでしょ」

「狂喜乱舞間違いなしね」

「でしょ、それじゃあお婆様これで」

 

頭を下げてから部屋を出ていく孫を見送る、紅茶を一口含んでから少しだけ笑う。

 

「そう言う事ではなくてよ、スケジュールを聞いたのよラン」

 

 

「チィ~ス」

 

まるで居酒屋の暖簾でも潜るかのように、無造作にカノープスの部室の扉を開けた。中では次のレースに向けての調整や作戦会議が行われていたのだろうか、ホワイトボードに予定を書きながらもそれぞれの状況などが書かれている。全員が集中した表情を浮かべていたのに、扉を開けた自分の姿を見た途端の破顔させた。

 

「ラ、ラン~!!?帰って来たの!!?」

「ランお帰り~!!!!」

 

まず最初に大声を上げたのはカノープスの良識担当のネイチャ、帰国のニュース自体は知っているだろうがまさかその流れでトレセンに来るとは思わなかったのだろう、そして同時にターボが満面の笑みを浮かべて抱き着いて来た。

 

「おっお姉様!?え、えっとえとえと……ド、ドビャイワールドカップ優勝おめひぇひょう!!!ぅぅぅぅ~……噛んじゃったぁ……」

「ライスちゃん一番盛り上がってたもんね~ランさんお帰り~」

 

ついで、我が最愛の妹(ライスシャワー)がその名のような祝福の言葉を掛けてくれる。彼女が好きな青い薔薇、その花言葉は神の祝福、正しく彼女の言葉は神の祝福に値する……無神論者だが、この時ばかりは神に感謝しよう、尚捧げる神は三女神である事とする。そしてタンホイザはそんなライスをフォローしつつも自分を迎えてくれる。何だかんだでこういう普通の出迎えが嬉しい。

 

「わ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ラ"ン"ベージ先輩だぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!」

 

そして我らがカノープスのメガホン、チケット。本当に聞き取りづらいがドバイ凄かった、負けるかと思ってドキドキした、でも勝って感動したという事は汲み取れた。取り敢えず頭を撫でてやって落ち着かせておく。

 

「お疲れ様でしたランページさん、矢張りあなたは凄いです。私も何れ、海外に行ってみたいですね」

 

そして、イクノ。自分にとっては一番走り込んだ戦友のようなチームメイト、彼女も恐らくそう思っている事だろう。彼女の言葉は普段と同じで、何処か日常を感じた。そして彼女ならば海外でも勝てるだろうと不思議な信頼感がある。そして―――

 

「おかえりなさい、ランページさん」

「ああ、ただいま南ちゃん」

 

笑顔で一言、そう言って来た自分のトレーナーに自分も一言で返す。そして持ってきたトロフィーを良く見える所に飾る、世界の冠を。

 

「これがランの取ったトロフィーか~!!すっげ~ターボもこれ取りたい~!!」

「ターボがいけそうなやつだと……芝1800のドバイターフとかか?」

「いやぁ~なんというか日本のトロフィーとは感じ違うよね~」

「また、この部室が華やかになりますね」

「ホントだね!!しかも今日だから余計にそうだね!!」

「あん、なんか今日あんの?」

 

トロフィーを見つめているとタンホイザのその言葉に喰いつく、何か今日は予定あっただろうか。一応自分もチームを纏める側の立場なのでスケジュールは頭に入れているつもりだったのだが……そんな自分にライスが袖を引っ張った。

 

「え、えっとね。少し前に入学式あったんだけどね、お姉様がドバイワールドカップに勝ったから、カノープスに希望者が今まで以上に殺到しちゃったから今日テストを行う事になったの」

「マジかよ、なんか悪い……って何か前もこんな事言ったような……」

「いえ予想通りでしたから大丈夫です、折角ですからランページさんも参加してくれると皆さんお喜びになると思いますよ」

「大丈夫?暴動にならねぇ?」

 

そんな事を言われると断れない自分の事を知っているくせに……と内心で少しだけ、自分の事を熟知しているトレーナーに肩を竦めつつも、ターボとライスに引っ張られるようにテストが行われるコースへと向かう事になった。そして同時に感じた、自分は日本に帰って来たんだなぁ……という実感を。




25戦25勝、これはオーストラリアの競走馬、ブラックキャビアに並んでいる。この上にはハンガリーの宝物こと、54戦54勝のキンチェムがいるのみ。

しかもブラックキャビアは2006年8月18日生まれで現在16歳と存命。G1勝利数は15勝。競馬は時々競馬を越える、正しくその通りである。
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