貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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時折、競走馬編があったら如何なんだろう?という期待を込められたメッセージがきます。

ハッキリいいましょうか、出来るかぁ!!そっちにしたら騎手とか厩舎とか調教師で登場人物が数倍に増えるんだぞ!?如何やれってんだ!!

後、ランページの血筋とかどうすりゃいいんだよ!?こいつ、今はメジロだけど元々は一般家庭の出だよ!?母父とかどうすればいいんだよ……。

いやまあ、新人騎手を乗せたまま覇道を突き進んで新人騎手君の脳を岡部さんみたいに焼くのも面白そうではあるけどさ。


204話

「みぃつけたぁランページさん~!!ブヘッ!!?」

「そろそろ此処の株は売り時か……代わりに此処を買うのが妥当か……」

「だぁから私の扱い雑過ぎるんですよ貴方!!」

「我が身の行動を鑑みてから発言しろ大バカ野郎」

 

何時ものように芝生の上で新聞を広げながら株価をチェックしていたランページに迫って来たフローラ、そんな彼女を軽くいなすように身を翻す。抱き着こうとしたのか、フローラは回避されたランページによって地面にしこたま身体を打ち付けた。これが本当にジャパンカップを制したG1ウマ娘の姿なのかと甚だ疑問でしかない。ライバル認定も好い加減に取り下げてやろうかな……と思案する時もある。

 

「マジで何なのお前、俺に対してどういう感情向けてんだ。何、そっちなの、そっち系なの?」

「だからそういう訳ではないって何度も……いえ、それはそれで何だか胸が高鳴りますけど違います!!」

「……」

「駄目だこいつ早く何とかしないとみたいな顔しないでくださいよ!?」

 

溜息をつきたくなる、本気で思案したくなる程には頭痛の種である。

 

「ンで、何の用だフローラ」

「あっ話は聞いてくれるんですね」

「聞き入れるかは別だがな、聞くだけ聞いて聞き流してやろうか」

「聞き入れてくださいよ!!こほん、幾らお願いしてもランページさんがタキちゃんと会ってくれないのでTV通話で話してくれませんか?」

 

そう言えば前に家に行くのは嫌だから通話位はしてやってもいい的な事を言ったような気がして来た……その時が遂に来てしまったという事か……。

 

「お前の妹ねぇ……いやな予感しかしねぇンだよなぁ……」

「だからランページさんのタキちゃんに対するその認識は何なんですか!!?」

『それは姉さんのせいだと思うんだけどねぇ』

 

何処か聞き覚えがあるような聞こえてくる、具体的に言えば某光の巨人で闇の巨人をやってそうな声が聞こえてくる。胸ポケットから取り出したスマホを見てフローラはげんなりした表情を浮かべる。

 

「タ、タキちゃん貴方までそんな事を……」

『だって姉さんだしねぇ……姉さんは地頭はいいのにそれを巡らせる前に感情任せに発言する癖がある。それを炸裂させたせいで私もこうして悪印象を持たれているのではないのかね?』

「それに付いては全面的に同意してやらぁ、いきなり人の考えを言い当ててその根拠を愛だのって抜かす奴の妹だから警戒するに決まってんだろ」

『やっぱりねぇ、愚姉の行いについては妹なりに謝罪させて頂くよ』

「だったら少しはこいつの奇行を抑える案でも出してくれ」

『私がトレセンに居たら出来るんだがねぇ……入学もまだだから無理だね』

「私を置き去りにされながらもすっげぇ酷い会話が!?」

 

これでもフローラとする会話と比べたら極めて理性的且つ有益な会話をしているつもりはある。如何でもいいからカメラを向けて欲しいねぇと言う妹にガックリと項垂れながらもスマホを裏返して画面を此方に見せた。そこにはハイライトの無い瞳を輝かせながらも嬉々とした表情で笑っているウマ娘がいた。

 

『やぁやぁやぁやぁ!!!やっと御対面出来ましたね、おっとご紹介が遅れたね。私はアグネスタキオン、既に知ってると思うがそこの姉の妹だよ』

「俺の事は言う必要はねぇだろうが礼儀として名乗っとく、独裁暴君のメジロランページだ」

 

アグネスタキオン、超光速の粒子の名を付けられた競走馬。史実のアグネスフローラを母に持ち全兄にはダービーを制するアグネスフライトがいる。4戦4勝で皐月賞に勝利、無敗でこのまま三冠まで行くと思われたところで屈腱炎を発症し引退してしまった。だが、タキオンが名馬と言われるには種牡馬としても輝かしい成績を残し続けた。ダイワスカーレットやディープスカイを輩出し、そのポテンシャルの高さを伺わせた。しかし急性心不全により11歳の若さで死去した。タキオンの名が如く、閃光のように駆け抜けて行った生涯だった。

 

「ンでそのタキオンさんが俺に何の用だ?」

『ハハハッ御冗談を、無敗のウマ娘に興味がない者がいると思うのかい?私は是非とも貴方と顔を合わせて話してみたい、この目でその走りを焼き付けたいのさ!!』

 

ランページがタキオンの事を警戒するのは、ウマ娘でのタキオンがマッドサイエンティストであるから。アプリでもトレーナーの事をモルモットとして扱って怪しげな薬を飲ませては発光させる意味不明な事ばかりをしている。ゴールドシップとは別のベクトルで何をするか分からない怖さがある。

 

『出来る事ならば貴方の身体についてのデータを収集したいと考えている、私にとって貴方その物が極めて興味深い存在なんだ。これ程までに好奇心をそそられるウマ娘なんて初めてさ』

「褒められる……って認識でいいのかこれ」

『勿論!!貴方ほど魅力的で極めて興味深く、これ程までに研究したい存在なんて他に居ないさ!!』

 

思わずスマホを持っているだけの機械となりつつあるフローラを睨みつける、これの何処が良い子なんだと言いたげなそれを受けて思わずそっと目を反らした。

 

『まずは普段どんなメニューで練習を行っているのかを事細かく聞いて行きたいねぇ!!そうする事で私のレース最速理論の完成に大きく近づくだろうからねぇ!!』

「お前は何処の白い彗星だ。望むならメニュー位なら渡してやる、但し流出はさせんなよ」

『その位の良識とモラルは持ち合わせているさ、ないのは姉さんぐらいさ』

「タキちゃん!?」

「お前、妹にすらそういう目で見られてるって事だぞ」

『人の事をとやかく言う資格はない事は自覚しているつもりだよ私は。だが姉さん、貴方は少々ランページさんにのめり込み過ぎてる』

「ぐぅぉっ、ぐわぁあぁぁ、がぁぁぁ……」

 

遂に膝を突いて苦しみ出したフローラ、愛する妹に此処まで言われたらこの変態でも大ダメージを受けるのかと妙に納得する。そして驚いた事にタキオンが自分の中にあった物よりも酷く理性的だった。今タキオンは小学2年辺りだろうか……それなのにこんなにも話せるのか、というか此処まで大人っぽかったから理解者が居なかったからトレセンに入る時にはあんな風になっていたのだろうか……地面に落ちたフローラのスマホを手に取る。

 

「お前、本当にまだ初等部か?随分と話せるじゃねえか」

『姉がそんなのだからね、私が確りしないと』

「よく言うぜ、その物言いだともう一人の姉辺りには何時も口うるさく言われてるって所だろ」

『ハハハッこれは本当に驚いたね!!そこまで分かるのかい!?』

「ああ、やっぱいるのか。この前フローラがフラちゃんとか言ってたからな」

 

やっぱりアグネスフライトもいるのか、そうなるとワールドとかデジタルはどういう扱いになるのだろうか、確かマル外だった筈……と思いつつもその一方でタキオンに僅かながらに同情を寄せる。これだと学校でも浮きまくっているのではないだろうか……というか行っているのだろうか。

 

『昔から考えるのが好きでね、周りからは腫物扱いだ。まあ学校に一々行くなんて非効率的さ、自宅学習で十分。時折、同級生が誘いに来てくれた時だけ行くようにはしているけどね』

「良いダチを持ってるな」

『向こうがそう思ってくれているかは度外視しても、ね』

 

フローラは兎も角、タキオンとは交流を持ってもいいかもしれないと思って自分の携帯のアドレスと番号を見せる。それを見たタキオンは即座にメモ帳に書き込んだ。

 

「次からは此処に掛けろ。一々これを仲介させようとしないでくれ、身の危険を感じるから」

『了解したよランページさん。いやはや、無敗の王者のアドレスとは……フフッ最高の気分だね。何時か、その走りをこの目で見られる時を楽しみにさせて貰うよ』

「変な薬とか盛るとかしねぇならチケットでも送ってやるよ」

『光栄だねぇ!!その条件は少々惜しいが、貴方に拒絶されるぐらいならやめる事にしよう』

「交渉成立だ、姉より話せて楽しかったぜタキオン」

 

そう言って通話を切ってフローラの足元にスマホを置いておく。

 

「取り敢えずいい子という所は肯定してやるわ」

「でしょ!!?私の自慢の妹ですもん!!」

 

一瞬で元気になるフローラ、一体どれだけ妹の事が好きなのだろうか……まあ険悪よりかはマシ、なのだろうか……方向性はあれだが何だかんだで確りと会話はしているし分かり合ってはいる訳だし自分のあれらと比べたら遥かにマシだろう。

 

「取り敢えず、お前マジで好い加減にしねぇとこれ以上にタキオンから塩対応されっぞ」

「それは、いや……だけど、こんな私に変えたのは貴方じゃないですか!!」

「知るか!!テメェ勝手に変質しただけじゃねえか!!」

「変質って何ですか!?私は何かの危険物質ですか!!?」

「ある意味それ以上に性質悪ぃからやべぇんだよ!!」




まさかのタキオン、まともな感じに。まあこの時はまだトレセンに居る時ほどじゃないから……何かしらの原因がないとあそこまでは尖らんやろ……多分。
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