貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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211話

「しかし、まさか車とは意外だったねぇ……しかも自分で運転とは」

「別にいいだろ車持ってる事は」

「いやいやいや、無敗神話継続中のレジェンドが何を言っているのか」

 

高速を走るインプレッサ、このまま向かうのは京都。レースが行われるのは翌日、夕方ごろにはつく計算なので問題はない。本当は新幹線辺りで行こうと思っていたのだが……そっちにはマスコミなどが張っていると南坂から助言を貰ってインプで行く事にした。

 

「まあ、悪いとは思ってるよ。暫くの間車の中で拘束しちまうからな」

「全く問題ないっす!!あのランページさんの車に乗れて、一緒に過ごせるとか超激レアな体験です!!」

「景色も見れますので、お気になさらず」

「だ、そうだよ。まあ私も気にはしないさ、まあ元から気にしてないが」

「相変わらず一言多い奴だな……」

 

運転をしながらもラジオを付けると矢張りというべきか、天皇賞についての評論が行われている。1番人気は意外な事にマックイーンではなく、テイオーだった。大阪杯ではターボに勝ったからその関係だろうか、そして2番人気にマックイーンとされていく中でカフェが尋ねて来る。

 

「ランページさんは、如何思いますか。この評価は妥当ですか?」

「お偉方の考える事なんて俺には分からん、俺の評価とは全然違うからな」

「ほほぅ、現役最強ウマ娘の評価とは是非とも聞きたいねぇ!!実に興味深い」

「俺も聞きてぇっす!!」

 

そこまで持ちあげてくれなくても応えるつもりだったのが、車線を変更しながらも応える。

 

「俺としては大本命はマックイーン、次点でテイオー、パーマー」

「ほほぅ?ツインターボ氏は3番人気だが、貴方の中では違うと?」

「俺的には7番人気だな」

 

世間はトリプルティアラであるターボを評価しており前世代の自分とライアンとはまた違ったバチバチのぶつかり合いを期待しているらしいが、ターボに長距離はかなりきつい。2400でいっぱいいっぱい、長く見積もっても2500がギリギリ。ターボも頑張って長距離を走る練習はしていたが、それが何処まで発揮出来るか……。

 

「ターボは元々体力はある方だ、問題はその体力のペース管理を基本的にしないで突っ走るだけ。トリプルティアラになる辺りで漸く覚え始めたぐらいだからな……その位で3200を完走できるとは思えない」

「スタミナ自体はあるんですね」

「最初からアクセル全開で突っ走るんだよあいつ」

 

今日までで長距離の適性を何処まで高められているのか、楽しみである。その一方でもう一つ楽しみにしている事がある。

 

「しかし、願わくば貴方も出たかったのではないかな?」

「海外遠征を考えてなかったら多分出てただろうな」

 

その言葉の意味は此処にライアンが出るから、そして一応自分もメジロのウマ娘だから天皇賞制覇の悲願を叶える為に尽力した事だろう。しかし海外遠征の為の準備などもあるので出ない事にした。なので自分の代わりにライアンに襷を預けた、という所だ。

 

「ンな事より、まさかあいつが天皇賞に出るとはなぁ……長距離の適正あったのかあいつ」

「私も驚いているよ。最近妙に走り込んでるとは思ったけどね」

 

タキオンさえもその言葉に同意した。その言葉の先に居るのはフローラ、タキオンの姉でもある彼女がこの天皇賞(春)に出場する。

 

「タキオンの姉ちゃん、ジャパンカップの勢いで取る気なのかね。」

「有記念では3着、でしたね」

「ないとは言わないけれど姉さんは長距離向きではないと思っているよ」

「あれほどじゃねえが、なんかいきなりすげぇ面子のレースになったな」

 

これで自分も参加していたら去年の有記念再び!?みたいな見出しになっていたのかもしれない。残念ながらそれは叶わなかった訳なのだが……しかし、実妹のタキオンから見てもフローラは長距離には向いていないらしいが、何か秘策でもあるのだろうか……。

 

「貴方から見て、姉さんは長距離でマックイーンさん程の役者になれると思うかい?」

「さあどうだろうな、だが勝算があるからこそ出るんだろ。リギルってのはそういう所だからな」

 

管理主義のリギル、そのトップはトレーナーであるおハナさんこと東条トレーナー。カノープスとスピカはトレーナーとウマ娘の距離は近く何方かと言えば対等か僅かにトレーナーの方が上程度だがリギルではトレーナーが絶対的な上なのは変わる事はない。そんなリギルのおハナさんが許可を出したのならば勝ち目があると思わせるだけのものがあったという事だろう。

 

「まあ、何れにしろ明日のはそれが分かるって事だ。そろそろ昼飯の時間か、次のサービスエリアで休憩取るぞ~奢ってやるから好きなの頼んで良いぞ」

「良いん、ですか?」

「そこまでけち臭くはないぜ俺は、何喰いたいか考えとけよ」

「私は基本なんでもいいが……」

「パ、パフェ喰いたい!!」

「昼食にパフェはないだろうに……せめてデザートだろうそれは」

 

わいわいとタキオンたちは昼食について話し始める中でランページは車線を変えつつもどんなレースの展開になるかを思考する。大逃げのターボとパーマーの二人が先頭に立ってそこを追うイクノやフローラ、後方待機のネイチャやライアンと言った感じになるのだろうか。何にせよ、最強のステイヤーであるマックイーンにとって楽なレースでは終われない。

 

「さてと、どうなるかな?」

 

 

「当然、勝ちますわ。メジロ家の名に懸けて」

 

名優、メジロマックイーンは胸を張っていた。連覇を目論む天皇賞(春)、それに相応しい舞台になっている。テイオーは以前言っていた、強い相手と戦ってこそ無敗の三冠の名を胸を張って名乗れるのだと。それで負けてもテイオーは決してその敗北を悔やむ事無く、感謝して前へと進んでいる。

 

「早く、明日が来てくれない物かしら……」

 

こんなにもワクワクしてしまう日はなかったかもしれない、早く走りたい、そんな思いを募らせながらもマックイーンは笑っていた。

 

「マックイーン~取材始まるけど……如何したの笑っちゃって」

「いえ、テイオー明日は負けませんわ」

「へへ~んボクだって負けないよ!!何せ、ターボに勝ってるんだもん!!」

「言ったなテイオー!!ターボだっていっぱいいっぱい特訓したんだから!!」

 

そんな彼女達を見つめながらも一人、フローラは空を見上げながらも笑みを浮かべていた。ウチから沸き上がる物が少しずつ、増えている。こう思うと自分はシスコンだなぁと思いつつも、同時に本当に同じ位に執着しているなぁとも思う。

 

「ランページさん、私の走り―――見ててよね」

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