貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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228話

出走まで一月を切った頃、アイルランドの王城暮らしにも慣れて来たランページ。ファインには特に懐かれてこのままアイルランドに居て欲しいなぁチラチラ、という視線を向けられるようになってきた。時折、国王陛下からのお願いでアイルランドと日本の友好を示すという意味で配信を行ったりもした、何時もの事ながら御騒ぎになった、ついでにサーバーが死んだ。そんな中でKGⅥ&QEステークスに出走するウマ娘もいよいよ明らかになってきている。

 

「ターフホッパー、フローラのジャパンカップの時に居なかったっけ?」

「居たわね~」

 

名前の中には知っている名前も幾つかあった。それこそジャパンカップに名乗りを上げたウマ娘もいれば名前こそ違うが、史実の競走馬であろう名前も発見できた。

 

「ガルニエ……?」

「えっとこの子ね」

 

データを探して閲覧してみると少し前のG1レース、エクリプスSで2着に来ている有力ウマ娘。しかしどうしても気になったのは名前、少しばかり頭をひねっているとインタビューコメントで理解した。

 

『これは私にとって素晴らしき大一歩、そう私が主演のドラマ―――主演ガルニエの輝かしいオペラのね!!』

 

「随分と強気なコメントねぇ~」

「だなぁ……(ああ分かった、こいつ覇王の親父か)」

 

日本の覇王と言えば世紀末覇王とすら呼ばれ、その絶対的な強さ故に完全な包囲網を組まれたテイエムオペラオーしか存在しない。そしてそんなオペラオーの父がオペラハウス、史実では次の年からG1を三連勝し凱旋門賞でも3着という強さを見せつけている。ガルニエというのはフランスにあるガルニエ宮、即ちオペラ座の事を指す。ある意味これ以上ない名前だ。

 

「他には……アルメコア、あいつの名前もあるのか」

「そういえばドイツ出身だったわねあの子、フフッドバイの借りを返すつもりかしら」

「だとしても負けないけどな」

 

そうなると彼女は芝も行けてしまうのか……芝ダートの二刀流ってそこまで珍しくないのかなぁ……と少しだけ考えてしまった。ドバイに引き続き彼女との対決を考えると少しだけ闘志が溢れ出て来る。何故ならば自分は彼女の領域に見事に引きずり込まれて精神的に追い詰められていた、言い方によってはある種の敗北を喫している。

 

「スーちゃん、悪いけど走り見てくれ。この前の走りを煮詰めたい」

「構わないけど今から?まだ休憩しててもいいのに」

「あいつが出るなら、もっと完成度を高めたい」

「分かったわ、付き合いましょう」

 

先程まで何処かのんびりとしていたオフモードだったのに、ライバルが出て来ると分かった途端にその瞳に炎が灯った。やっぱり自分もウマ娘なんだな、と思いつつも手早く着替えてコースの使用許可を取って駆け出す。

 

「来るなら来やがれアル、今度もテメェに勝ってやる!!今度こそ、完全勝利でな!!」

 

ターフを駆けるランページを見つめながらもタイムを計るスーちゃん、かなりいいタイムが出ているし走り方も洋芝に適応した物に変化している上にその完成度が走る度に上がって行く。本格的に此方での走り方を会得したと見える。

 

「お隣、宜しいですか」

「あらっ陛下。確認なんて必要ありませんのに、此処は貴方のお城なんですから」

「いえいえ、仮にもお客人の前ですので」

「スーちゃんやっほ~♪」

「あっら~ファーちゃんも来たの~♪」

「うん来たの~♪」

 

隣にやって来たファインの父親であるアイルランドの国王陛下、姫殿下であるファインを連れてランページの練習の見学にやって来たらしい。暇な時間が出来たから一度でいいから見学をしてみたかったとの事。

 

「私もそこまで詳しい訳ではありませんが……我が国のG1ウマ娘と比較しても遜色ない、という言葉しか出せませんな……いやそんな言葉は失礼に当たるか」

「多分ランちゃんなら気にしないわね、国王陛下にそう言われるなんて俺も捨てたもんじゃねぇな、なんていうんじゃないかしら」

「あっスーちゃん今の似てる~!!」

 

キャッキャウフフとする二人に思わず自分も笑みを作ってしまう、それこそ孫と祖母程に歳が離れているのに此処まで仲良く出来るのも珍しい。

 

「実はですね、ご相談があります。ランページ殿にあるレースに出て頂きたくて」

「あらそれはまた。時期にもよってしまいますわよ?」

「アイリッシュチャンピオンステークス、それに出て頂けないでしょうか」

 

それはアイルランドで開催されるG1レース、日程的に言えば9月13日に行われる。時期としては悪くないしアイルランドに滞在しているのならば長距離移動の心配はない、加えてこのレースで好走したウマ娘は凱旋門賞に臨む事は多い。ヨーロッパ遠征中はお世話になっている訳だし、そのお願いを聞くのも調整としても悪くない。

 

「分かりました、私から話しておきましょう。多分ランちゃんも乗ってくれると思います」

「それは良かった、実は是非ランページさんと勝負をしたいという声が多くて」

「ランページさん大人気だもんね~」

「そうね~その気持ちはよく分かるわ」

 

だがこれはこれでランページのヨーロッパ遠征のスケジュールが完全に完成したと言ってもいい。7月のKGⅣ&QEステークス、9月のアイリッシュチャンピオンステークス、10月の凱旋門。全てがG1レース、G2などは一切考慮しない余りにも強気なスケジュール。だが彼女にはこの位の方がちょうどいいだろう、何せ世界の暴君だ。

 

「スーちゃんの今の走りっと、国王陛下ご覧になってましたか」

 

走り終えたランページが感想を聞こうと此方に声を掛けて来るが、国王とファインに気付いたのか確りと挨拶をする。

 

「見学させて貰っているよ」

「貰ってる!!」

「それはそれは光栄な事で……ンでどったのよスーちゃん、楽しそうな顔して」

「フフフッちょっとね。ランちゃん折角だからアイルライドのG1レースにも出ない?」

「日程的に問題なければ出るぜ」

 

直接それを聞けて思わず胸が高鳴ってしまった、自国が誇るウマ娘と彼女の勝負が今から楽しみで仕方が無くなって来てしまった。

 

「その日は私も見に行こう、スケジュールもなんとか調整するいや絶対に調整する!!」

「おっ~お父様と一緒に応援だ~!!」

「また天覧レースになっちゃうの?」

「あららっこれはこれは、大変ね♪」

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