貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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有償ガチャを引きました。悩んだけど、クリスエスが出る方を引きました。

結果―――ホッコータルマエ二人、ミスターシービーが来ました。

タルマエは嬉しいんだ、嬉しいけど……シービーまたお前か!!お前もう才能もスキルも限界まで行ってるんですけど!?これ以上来られても困るよ!!


234話

正しく歴史的な勝利だった。KGⅥ&QEステークスを制したランページ。これで名実ともに海外の芝ダートのG1双方で勝利した。日本にとってはこれ程鮮烈でインパクトのある出来事は無かった、無敗の王者の快進撃は一体何処まで行くのか、その事に付いて誰もが驚き、期待した。

 

「次は―――アイリッシュチャンピオンステークス、アイルランドの国王陛下たちには世話にもなってるからな。出ないと失礼に当たるからな、そしてその次が……凱旋門だ」

 

インタビューでそう告げた彼女は、これまでの飄々とした愉快さを思い求めるネットアイドル的な姿を全く感じさせなかった。無敗の王者に相応しい風格を纏いながらその場を後にした。正しくこれからが本当の意味でのメジロランページなのだと誰もが思った、本当の意味での本格化が起こった。これは欧州に嵐が吹き荒れるとニュースが世界を駆け巡った。

 

「―――流石はランページさん、レコード勝利かぁ……私も負けてられないな」

「そうでなくては、刃を作っている私の楽しみが無くなりますからね」

 

「「その時を、楽しみにしていますよ」」

 

様々な思惑が載せられる中、ランページは再びアイルランドに戻った。ファインとピルサドスキーに熱烈な歓迎を受けながらも大々的に行われたパーティを楽しんだ後、自室に戻ると電話が幾つも掛かって来ていた事に気付いた。掛けて来たのは日本にいる友人達だ、彼方は朝だろうが此方は真夜中だ。時差という物を……まあ考慮しきれていないのだろう。一先ず、直近で掛って来ていた電話に出る。

 

『あっもしもしラン!?ゴメン、あたし時間の事完全に忘れててさ!?眠いよね、切るよ!!』

「気にするな。何処かの姫殿下が大々的にパーティを開いてくれたおかげでさっきまでパーティだったからな、疲れてはいるが眠くはないな」

『そうなんだ……えっと、取り敢えずおめでとうラン!!』

「応。あんがとなパーマー」

 

先ずはパーマー、同じメジロの大逃げウマ娘として大きな祝福を送ってくれている。だが、パーマーは何処か元気がなさそうだった。

 

「どした、なんか悩み事か」

『アハハハッ……分かっちゃう?』

「まあな」

『え、えっとね……その、宝塚記念であたし……ハナ差でその……負けちゃい、ました……』

「マジか……いや宝塚記念で2着だぞ、立派なもんだろ」

『お婆様もそう言ってくれてるんだけど……』

 

言いたいこととは宝塚記念の事だった。ランは集中する為にその辺りは絶っていたが宝塚記念を制したのはテイオーだった。それによってテイオーは春シニア三冠を達成した。だがその勝利は極めてギリギリな物だった、パーマーはランからペース変化のノウハウを伝授されて練習を繰り返していた。そして漸く満足が出来る領域に達したそれを、いよいよ実戦投入した。

 

『テイオーもマックイーンもターボも嵌められたんだ。流石にイクノとかは無理だったけどさ、それでも私も勝った!!って思ったんだけど……テイオーにハナ差で負けました……』

「マジか……」

 

話を聞きながらも自分でも宝塚記念の映像を初めて見る、序盤からヘリオスそしてターボと共に大逃げを打つパーマー。だがランページのそれに比べたら流石に下手な部分があった事は確かだが、それでもイクノでないと分からないほどには素晴らしいペース変化だった。最後はイクノとの勝負、根性で逃げ切ろうとした所を大外からテイオーがぶち抜いた。

 

「あいつの走りの完成度が更に上がってやがるな……」

『うん、凄い自信あったのに……これでG1取ってメジロ四天王として相応しくなろうと思ってたのに……』

「おいおいおい、あんなの記者共が勝手に宣ってる宣伝文句だろ。ンなもんに惑わされんなよ」

『でもさぁ……』

 

それ程までに自信があったという事なのだろう、パーマーは本当に落ち込んでいる。如何してやるのが一番なのか……と思った時、ある事を思い出した。

 

「パーマー、お前俺と札幌記念走ったこと覚えてるか?」

『へっ?えっああうん、覚えてるよ。レース後に食べた味噌ラーメンの美味しさも』

「そりゃ結構。あの時に南ちゃんも言ってたが、お前も洋芝の適性は高いと思う。お前さ―――海外の長距離G1目指すの良いんじゃねえか?」

『―――わ、私が海外にぃ!!!?』

 

日本のG1で長距離というのは少ない。それこそ天皇賞(春)、菊花賞、有記念しかない。菊花賞はクラシックのみ出走可能なだけだし、有記念は2500で長距離というには短め。本当の意味でステイヤーが本領を発揮出来るG1は春の天皇賞しかない。

 

「こっちには4000mのゴールドカップ、3200のグッドウッドカップってのがある。そういうのに出るのも面白いと思うぜ」

『無理無理無理!!私が海外なんて絶対に無理だよぉ!!そ、そりゃ3600を逃げ切った事はあるけど日本と海外じゃ全然違うんだよ!?』

「それは俺が一番分かってる、そして―――同じメジロの大逃げウマ娘としても俺はお前の事を分かってるつもりだ」

 

パーマーは自己肯定感が低い、だがその実力は極めて確かな物。札幌記念でもパーマーは真っ向から大逃げで勝負を仕掛けて来たウマ娘、その実力は分かっている。洋芝に慣れる練習を積めばパーマーは海外でも輝ける。

 

『……ホ、ホントに、海外で私なんかが勝てると思ってるの?』

「俺はそう思ってるけどな、それにこの話をお前のトレーナーに持って行ってみな、きっと俺と同じ事を言うぜ」

『ト、トレーナーも……分かった。決めた、私も海外挑戦する!!今年は無理だけど、来年には海外挑戦する!!!』

「その意気だ」

 

そう決めるとパーマーは早かった、直ぐにトレーナーに相談すると言って大袈裟な位にお礼を言いながら電話が切られてしまった。謙遜するのに一度決めると本当に決断力が良くなる、宝塚記念で負けたのもいい経験になっただろう。

 

「さてと次は……おっと、お前さんか」

 

少しだけ笑いながら、電話を掛ける。アイルランドの夜景を見ながら。

 

「よぉっラン、見てくれたかい。勝ったぜ、鍛えまくったお陰でな」

『見てたよラン。最高の走りだったね』

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