貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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237話

ランページ鉄が届いたり、ピルサドスキーが一緒に入浴できなくて全力で嘆いたり、それを見つつファインは約束通りに姉の分のおやつを美味しく頂いたりと何とも賑やかな毎日が過ぎていく。アイルランドは気温が低く、8月と言っても平均最高気温が20℃にも届かない事も珍しくなく極めて過ごしやすい。日本の湿度と暑さが嘘のようだ。チャンピオンステークスの日どりも迫りつつある日、ランページはファインとのお茶会をしていた。

 

「それでねそれでね!!」

「成程ねぇ」

 

お世話になっているのだから、と友人でもあるファインとの相手を引き受けている。ファインは日頃から孤独でいる事を好まず、基本的にSP隊長が傍に居て相手をしてあげる事が基本。が、SPの本分である警護が疎かになってしまう事がそれなりにあった。故にお客人でもあるランページの相手をする事が姫殿下としての役目とも言えなくないこのファインとのお茶会はSPにとっても非常に助かったりもするのである。

 

「ランページさんが来てから毎日が本当に楽しい!!一緒にゲームも出来るし配信にも出れるし、あっこの前作ってくれた日本食とっても美味しかったよ!!ああいうラーメンもあるんだね!!スープの味がシンプルだけど奥深くて、飲んででホッとする味わいだったなぁ~凄い太麺だったけどそれがまた歯応えと軟らかさが絶妙で……天使のほっぺみたいだった!!」

「また作ってやるからよそんだけ気に入ったなら、というかあれはラーメンじゃなくてうどんな」

 

文化交流という建前で、自分がキッチンに立ってファインと一緒に食事を作る事もあった。その時は本人の希望でラーメンをリクエストされたが、流石に作った事が無いのでうどんで勘弁して貰った。

 

「それにしても、あと3か月位しかないと思うと寂しいなぁ……もっと居ない?」

「と言われてもな、俺もメジロのウマ娘だし」

「ウチに嫁入りするとか!!」

「誰の嫁になれと?」

「殿下……」

 

以前の時からもそうだが、滞在中に益々ファインに気に入られてしまった。度々このままアイルランドに在住しない?という誘いを掛けられ続けている、流石にそれを受け入れる訳には行かない……これでもメジロのウマ娘という自覚はあるのだ、度々サーバーを落とすが。

 

「嫁、嫁かぁ……結婚できんのかな俺」

「出来るんじゃない?だって引く手数多じゃない?」

「高嶺の花過ぎて誰も近寄らねぇわこんなん、隊長さんもそう思わね?」

「失礼を御承知で申しますと……相応に格が高い方々位かと……」

「だろうなぁ……」

 

客観的に見ても自分を嫁にしたいなんて剛の者はいないだろう。それこそシンボリと言った名家、ファインと言った王家に名を連ねたり関係者位だろう。

 

「でも、日本にもランページさんLOVEな人は探せばいるんじゃない?」

「一人思い当たるが俺にそういう趣味はないからなぁ……」

「如何いう事だろ?」

「私にも分かりかねます」

 

苦笑しつつも誤魔化す隊長、本当は分かるのだがまだ幼いファインには早すぎる領域。そして当然思い当たった人物というのは……

 

「はふぅっ!!これが伝説となっているメジロランページさん直筆のサイン……!!最早神々しさすら感じましゅぅ……」

「何を恐縮しているのかねデジタル君、その隣にあるのは君のだよ。以前、天皇賞の時にフライト姉さんの分と一緒に貰っておいたのさ」

「えええええええっっ!!!?わ、わた、私のですかぁぁぁ!!?た、確かにアグネスデジタル君へとあります……!?ハゥッ……」

「くっ……私も一緒に行けばよかったか……」

「フフッ変な意地を張らならければよかったのにね~っ!!?」

 

ピキーンッ!!

 

「この感覚……何でしょう、この胸騒ぎは……何か、重大な事が起きたような……!!」

 

「ひょわっ!!?如何したんですかフローラさん突然立ち上がって!?」

「ああ……気にする事はない、どうせ何時ものランページさんへの発作さ」

「何時もの事何時もの事……気にするだけ無駄、デジタルいい、姉さんみたいになっちゃ駄目よ」

「ほぇ?」

 

 

「まあ俺のそっちについては如何でもいいだろ、どうせするにしても数年後の話だ」

「え~気になるけど」

「殿下、ランページ様のプライベートにも関する事ですし……それよりもあの事をお話しせねば」

「あっそうだった!!いけない忘れる所だった」

「んっなんだ」

「えっとちょっと待ってね」

 

そう言うと近くに置いてあったリュックを隊長が渡して中からファイルに入れてあった手紙を取り出してランページへと差し出した。手紙にはアイルランド王家の封蝋が成されている。

 

「何だこれ、招待状か?」

「うん。えへへっこの前一緒にやったスマブラの招待状に似せる為に封蝋してみたの、御洒落でしょ」

「まあ洒落てると言えば洒落てるが……とにかく中身、見ていいか?」

「勿論!」

 

許可を得て中身を見てみる。中の文章はすべて英語だった事に少しだけ安堵する、これでアイルランド(ゲール)語だった如何しようと少しだけ考えていたりした。英語ならば問題ないと読み進めていく。

 

「此処主催のパーティの招待状、内容は……アイリッシュチャンピオンステークス出走ウマ娘の顔合わせと健闘を兼ねて……これに俺にも出ろと?」

「うんっ!!」

 

この前の記者会見がパーティになったという事だろう、お世話になっている身としては出ないという選択肢はないのだが……問題がある。

 

「これって勝負服で良いんだよな」

「はい、陛下も勝負服でのご参加を促されております」

「え~ドレスじゃないの?」

「一応ドレス系の勝負服も無い訳じゃないんだが……持って来てねぇからなぁ……」

「んじゃレンタルしてあげるから!!」

「どんだけ俺にドレス着せてぇんだお前」

 

そんなファインをあしらいつつも同封されている出走ウマ娘リストにも目をやる。KGⅥ&QEステークスでも走ったセイントヴァーダントの名前もあった、他は知らない名前ばかり、気になる名前があるとすれば……ヴァイスストーンという名前によく似ているシルバーストーン、踊りませんか?という意味のシャルウイダンス、そして―――アイルランドのトリプルティアラのラーズグリーズ。

 

「楽しそうなパーティになりそうだな」

「でしょ!?」




糸田ひろし様よりシルバーストーン、うみへすろ様よりシャルウイダンス、を頂きました。有難う御座います!!
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