貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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272話

ランページが理事長とたづなと共に推し進めていた事、それはウマ娘のアプリでもあったURAファイナルズの開催とその為の下準備。ファイナルズは中央トレセン学園を主軸に据えて創設される事になる年末の大イベントレース、有記念と違い此方は短距離、マイル、中距離、長距離、ダートとそれぞれの部門に合わせて予選などを行いそれらを勝ち抜いた優駿達が一堂に会しレースを行う事になる、が普通のレースと違う所はランページが日本各地に点在する地方トレセンと連携するという事。

 

「しかしよくぞ思い付いた物だ、いや私も考えなかった訳ではないが私個人では難しかった」

「こういう時に使わないと意味が無いですからねぇ」

「もう完全にURA以上のものがありますもんね」

「いやぁこう思うと今までのあれやこれも報われた気分に……はならないかな、うん」

 

ファイナルズは日本各地で予選を行う事になり、その起点を地方トレセンに担って貰う。ファイナルズに制限はない、中央であろうと地方であろうと―――トレセンに通っていなくても予選を通過さえすればファイナルズ本選に進出する事が出来る。新たな人材発掘にも繋がるし地方から中央に行きたいと思っているウマ娘にも大きなチャンスとなる。地方トレセンの感触は予想以上に良かった。

 

「それで、レジェンドレースの方は?」

「マルゼン姉さんにも話は通してありますし、エースさんも乗り気でしたよ。TTGの皆さんもノリノリで鍛えますわって言ってました」

「ランページさんにお願いして正解でしたね、恐らくですが私達が持ちかけても芳しくない答えでしたでしょうし」

「然りッ!!流石はランページである!!」

「まさかこの人望が役に立つとはねぇ」

 

幅広い層から募集を掛けるURAファイナルズに比べてレジェンドレースは敷居が高い。何せ、レジェンドレースに参加するのは文字通りのレジェンドや引退したウマ娘達である。前々からランページはとある疑問を抱いていた、ドリームトロフィーリーグとは本当に夢の舞台なのか?と。それはマルゼンスキーやカツラギエース、メジロモンスニーにシンザンと言ったウマ娘達と教導目的とはいえ直接走ったからこそ感じた疑問だった。ルドルフ、ラモーヌ、シービー、オグリと言った強者たちが競うのも確かに夢だ。

 

だが―――そんな彼らと競い合ってみたいと思った事はないのか。

 

「居ない訳がない、ウマ娘としての本能が言わない訳がない。舞台がないなら作ってやろうじゃないか、存分に走れる舞台を」

 

此方の設立はハッキリ言って楽な物だった。何せ出場ウマ娘はランページが自身のコネを使って声を掛けて貰うだけで良い、が、此方は文字通りのレジェンドが相手となるので敷居はファイナルズよりもずっと高い。なのでレジェンドはファイナルズに強いウマ娘が参加し過ぎないようにするバランス調整の役目も担っている。

 

「フゥゥゥッ……らしくもねぇ事ばっかりやってる気がするな俺ってば、やれやれ誰かの為に頑張っちゃう俺ってばいい女ぁ」

 

ワザとらしいことを言いながら、寮の部屋のベットに横になった。眠る目的以外でこんな風に横になったのは久しぶりな気がする。笠松トレセンにも行ったし大井や川崎と言った所に顔を出してきた。想像以上に大歓迎だったのには驚いたが自分の人気も考えれば妥当な所だろう。そんな思いを携えながらTVを付けてみると丁度レースの特集を行っていた。

 

『イクノディクタス、イクノディクタスが内からグングンと伸びていく!!メジロクラウンを、抜いた!!ニシノフラワー粘る、だが流石に苦しいか!!今ゴールイン!!イクノディクタス一着!!二着ニシノフラワー、三着メジロクラウン!!』

 

「おっイクノの奴、勝ってる」

 

色々と忙しかったので応援に行けなかったが今日はイクノのエリザベス女王杯だった。自分と競り合い続けた鉄の貴婦人、内ラチギリギリをフルスピードで駆け抜けて他をごぼう抜きしての一着。二着にはフラワー。オークスでは惜しくも三着だったが秋華賞では一着だったのでダブルティアラだったが、流石に相手が悪かったとしか言いようがない。

 

「あいつこっからジャパンカップ行くのか……2年前の俺もこんな感じだったなぁ……というか今回のジャパンカップでかなりすげぇ面子になるな」

 

まあ鉄の貴婦人と言われるイクノならば問題はないだろう……そしてイクノにターボ、それにテイオーも出るしシルバーストーンも参加するジャパンカップ。史実ではテイオーが勝ったレースだが一体どうなるのか……。

 

「……俺は、如何するかな」

「あらっ珍しい、迷ってるみたいね」

 

そう思っていると同室者が帰って来た、メジロの至宝ことラモーヌである。シャワーを浴びて来たのか髪は艶やかで何処か色っぽい、余計に人妻っぽい。

 

「俺だって悩み事位しますよ極稀に、まあそれは置いといて……如何でしたあれは」

「予想以上に効くわね、久々に本気になってしまったわ」

 

艶やかに笑うラモーヌの手に収まっているのはシンザン鉄。サンデーサイレンスとのレースでルドルフとシービーと共に本気で鍛え直し始める為に、ランページ経由でシンザン鉄を手に入れてトレーニングに勤しんでいる。特にルドルフは過去に導入しようとしたが怪我の懸念もあり断念した過去もあったからか使える事を嬉しく思っているのか一番喜んでいた。

 

「今度のWDTは楽しい事になりそうね……フフフッ」

「ちゃん先輩シンプルにこぇぇよ、魔女みてぇ」

「あらっ失礼しちゃうわね」

 

だが、あの三人が本格的に鍛え直すとなるとドリームトロフィーリーグは今まで以上に凄い事になるような気がしてならなくなってきた……。

 

「ルドルフもシービーもやる気一杯よ、フフフッリベンジする時が楽しみね……」

「かなり根に持ってるわこれ」

「あら、貴方もその一人よ。今度併走に付き合いなさい」

「マジかぁ……」

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