貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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274話

URAファイナルズ開催の為の準備に奔走するランページ。一応自分はまだまだ現役の内なんだけど何でこんな事ばかりやってんだろうなぁ……と少しだけ思い始めて来た。これも全てURAがやるべき事をやらなかったせいだと責任転嫁しつつも理事長たちと今日もお仕事に励む。こういう時ばかりに社畜時代のスキルが役に立つのが恨めしい……。

 

「以上が各トレセン学園との連携の現状です。予選レースの編成も順調に進んでいるようで、最終的な予選は重賞レースに特別出走枠を設けるという案も出ているそうですよ」

「承知ッ!!最終予選を重賞レースで行うというのは面白いな、有りよりの有りだ!!」

「それは良いんですけど……予選開催日にはメジロランページ氏のゲスト出演希望の書類多すぎませんかねぇ……」

 

ファイナルズの開催準備は極めて順調、日本全国で行う規模の大イベントとしては破格のペースで設営が進んでいる。どんだけURAは恨みを抱えているのだろうか……特にカサマツトレセンの意欲がやばい。そんな中に紛れ込む書類、それがランページのゲスト出演希望。

 

「必然ッ!!URAファイナルズの企画者を呼びたいのは自明の理!!」

「そして、世界最強最速のウマ娘をお呼びしたいというのも当然ですから」

「あ~あ……MAXMAXMAXな二つ名取る位なら凱旋門だけで我慢すりゃよかったかなぁ……」

 

まあ仮に凱旋門で留めておいたとしても確実に呼ばれるのは目に見えているのだが……。

 

「それとURAからTV出演とイベント出演のオファー来てますよ」

「えっ出ると思う?」

「はい出ないと思います」

「愉快ッ!!」

 

一々制約のあるTV出演なんてよりも自分で配信をやった方が手っ取り早いしなんだったら向こうが用意する豪華ゲストよりも余程豪華なゲストを用意できるんだから態々そんなオファーに応じてやるつもりはない。自分を広告塔にしようとしているのが見え見えなURAに従ってやるつもりはない。

 

「というかURAってホントなんにも考えてないんだよなぁ……ジャパンカップに出ませんかなんて要請するとか馬鹿か」

 

今年のジャパンカップにランページは出るつもりはない。ファイナルズとレジェンドレース関連で忙しいというのもあるがそもそもこれでもBCクラシックの疲労が完璧に抜けきってはない。こんな状態で走ってもいい結果にはならないのは目に見えている。URAは自分が普通に考えれば頭が可笑しいスケジュールを組んでいた海外遠征の事を理解していないらしい。自分だから大丈夫だろ、と思われているのだろうかというか寧ろそうだろう。

 

「あわよくば、日本での新ワールドレコードを期待していると言った所だろう。何せ君はあの最悪の凱旋門でワールドレコードを叩きだしたんだ。高速バ場である日本ならばより速いタイムが出ると踏んでいる、そしてそれに期待していると言った所だろう」

「捕らぬ狸の何とやらですね。日本で走ったからってあの時よりもいいタイムが出るなんて事は多分ない、あの時は本当に精神状態が良かった……また、あそこまで持って行けるかどうか……」

 

結果を出し過ぎてしまったとランページは感じている、やれたんだから次もやってくれとノルマを課してくる上司のようだ。

 

「何時までも俺に期待されても困る、ターボだってテイオーだっている。そっちに任せりゃいい、俺は何時までも最強最速の地位に居るつもりはないからなっと……うし、これでサインは終了っと……んじゃ理事長俺の分終わったから俺は出て来るぜ」

「ウムッご苦労!!」

 

理事長室から去っていくランページを見送る理事長と書類を回収するたづな、二人はランページを王者の風を纏わない、ウマ娘らしい自由な風を纏っていると思っている。現会長のルドルフは皇帝に相応しい風格と風を纏い、副会長のラモーヌもそれと同じような女王に相応しい。ランページはその何方にも似ていない、何方かと言えばシービーのそれに近い。

 

何処までも自由で奔放なシービー、何処までも駆け抜けつつも己を曲げぬ頑強なランページ。似ているようで異なる。

 

「矢張り、彼女は見てていて飽きぬなたづなよ!!」

「ええっ全くです。理事長、間もなくお時間ですよ」

「ウムッ承知ッ!!」

 

 

「ターボ全開~!!」

「ハッ面白いな、だったらそのターボとやらで抜いてみやがれぇ!!!」

「此処から、あたしも本気で行くよぉ!!」

 

コースへと顔を出してみると、そこでは豪華な模擬レースが行われていた。アグレッサー役として走るサンデーサイレンスに前回の敗北から沖野トレーナーから驚きの声も聞こえたシンザン鉄を使って練習し出したシービー、そしてトリプルティアラのツインターボ。何とも豪華な組み合わせだ。

 

「いけいけ~ターボ!!」

「シービー先輩頑張れ~!!」

「サンデーさんいっけ~!!」

 

それらを見つめる多くのウマ娘、何処からか聞きつけて来たのか多くのウマ娘がこの模擬レースを見学している。熱心にビデオを回して撮影している者も居れば目を皿の様にして走りを見つめる者も、唯々その走りに圧倒され、熱くなり声援を送るものとさまざまである。

 

「距離は2400m、バ場状態は良。ジャパンカップを見据えたレースですね、凄い競り合い……」

「ターボ先輩出るだもんね、絶対勝つよ!!」

「何言ってんのよテイオーさんが出るのよ、テイオーさんに決まってるわ」

「あいや待たれい!!イクノ様だってエリザベス女王杯から続くのよ!!きっとランページ先輩のように勝つに決まってるわ!!」

「いやいやいやいやいやそれならネイチャ先輩だって!!」

 

このような場で上がるのは誰が勝つのかという論争、勝負事にはお決まりの話題。特にランページという絶対王者が出ない訳なのだから余計に誰が勝つのかという話題は特に活気が出るらしい。

 

「だ、駄目だったぁぁぁ……」

「フゥッ……まだまだ、詰められるかな」

 

そんな事を考えている間に模擬レースは終了、結果はサンデーが二着のシービーに2バ身差を付けて勝利。ターボは1バ身差でシービーに敗れての三着だがこの面子でのこの差は恥ずかしい事ではないし立派な戦績だと思う。

 

「さてと、俺は俺で行くかな……」

 

このまま話題に混ざってもいいのだが、それはそれで自分も走る事になりそうなので遠慮しておく。南坂からは完全に回復するまでは走るのは許可できないと言われてしまったので致し方ない。何だかんだで南坂には勝てない暴君である。

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