貴方の強さは私が知っている。   作:魔女っ子アルト姫

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301話

「ランページさっ!!?」

「しつけぇ」

 

世界最速最強のウマ娘に戦いを挑み続け、最終戦では届きこそしなかったがワールドレコードクラスの走りを見せた大華、アグネスフローラがいる―――のだが抱き着こうと迫るフローラの顔面にランページの脚が食い込んでいる姿はどうにも締まりがない。フローラの顔まで脚を上げられるランページの身体の柔らかさに驚いてしまう。

 

「何度やる気だテメェは、いい加減に理解しやがれってんだダラズ。思考能力0かってんだテメェは」

「ランページさんへの愛なら無限大です」

「誰が0を掛け合わせてインフィニティ作れっつったよ」

 

この二人は矢張り仲がいいのではないかと周りの二人は思う、ランページはフローラの事を雑に扱いこそすれど邪険にはしていない。なんだかんだでランページもフローラの事を絶対的に嫌っていることはしていない、と思われる。

 

「という訳でおハナさんに言われて来たんですけど私に何をさせる気ですか?まさか―――」

「エロ同人みてぇって言った瞬間に俺のインプのウイングに鎖で括り付けて峠攻めるからな」

「い、言う訳ないじゃないですか嫌だなぁアハハハハハ!!!」

 

絶対言う気だったなこの反応は……と思いながらもランページはタブレットを手渡した。そこにはエアグルーヴとドーベルのデータが出力されていた、ドーベルはスズカが自分の担当になって直ぐにカノープスが開催している模擬レースに参加してカノープスへと入ってきた。目的は当然自分、エアグルーヴもそれは同じで二人は何か張り合うようなお互いに協力するような妙な関係になっている。今日はランページが2人を見ているのだが……

 

「俺はこれから用事がある、お前にあの二人の相手を任せたい」

「いやなんで私なんです?それこそ南坂トレーナーとか佐々田さんとかに任せるのがカノープスとしては一番正しい行動じゃないですか。なんでリギルの私がそれをやるんです?」

 

まともな意見を述べるフローラ、自分に執着する癖にこういう時はまともな言葉を言うのだから面倒なんだ……とため息交じりにランページは腹を割る。

 

「あの二人は俺に憧れてカノープスに乗り込んできた、なのに自分じゃなくてスズカを担当にしたことが気に喰わんらしい」

「あ~成程……まあ気持ちは分からなくはないですけどあの二人ははっきり言ってランページさんの担当向きじゃないですよね、エアグルーヴちゃんはこの前見ましたけど少しフラッシュに弱い所がありましたしドーベルちゃんは男嫌いというか苦手なところを見ました。有名人のランページさんの担当向き、ではないですね」

「何処で見たんだか……」

「まあそれはいいじゃないですか、確かにそれなら私向きですね」

 

何だかんだで彼女は観察眼も鋭いし頭も回る、普通に考えれば実力ウマ娘としての素養は十二分に備えている。いるのだが……本当に残念でならない。

 

「それでスズカちゃんを担当にしたと?」

「あの二人を担当に取ったら間違いなく余計に気張るからな、まともに成長出来ずに終わる」

「だからって私に任せます?」

「タキオンに憧れを捨てろと言われて捨てた結果があれなお前だからな」

「ゲッ……タキちゃんそこまで話したのか……」

「お前が思っている以上に俺とタキオンはダチやってんだよ、つう訳で任せる」

「はいはい貴方に惚れた弱みで引き受けてあげますよ」

「はい峠引き回しの刑」

「酷い!?」

 

取り合えずフローラは引き受けてくれることになったのでランページは胸を撫で下ろす、これは自分に対しては酷いがライスにもかなり的確なフォローを行った事も聞いているのでまあ大丈夫だろう。

 

「んじゃ任せたぞ」

 

そう言ってランページは去っていく、スズカとこれから外を走りに行くらしい。そんな背中を見送るとどうやって二人を接触するかなぁ……と思考を巡らせる。取り合えず南坂トレーナーに協力を仰いで呼んでもらうのが一番かな~考えていると二人が此方へと向かってきた。

 

「あ、貴方はアグネスフローラ先輩!?どうして此方に」

「私たち、ランページお姉様……じゃなくてランページさんに呼ばれてきたんですけど……」

「(はは~んこりゃ押し付ける気しかなかったな?)生憎ランページさんは担当でも無い貴方達に構ってる暇がないそうですよ」

 

それを聞いて二人は怪訝な顔をしつつもフローラを見た。

 

「二人はどうしてランページさんにスカウトされなかったのか分かります?」

「それは……実力が、足りなかったから……」

「その程度の理由だとホントに思ってます?あのメジロランページが、ですよ」

 

ドーベルの意見を一蹴する。ありふれた言葉なんて意味がない、その程度の事でスカウト候補から除外するとでも思っているのだろうか。

 

「では、貴方は分かるというのですか」

「そりゃ分かりますよ。何せランページさんとはずっと戦ってきましたから、理解度的な話だとメジロ家にも負けないつもりですよ私」

「邪険に扱われてる癖に……」

 

エアグルーヴのその言葉に青筋が立ちそうになるが何とか飲み込む、まだ中等部の後輩の言葉なのだから寛大な心で受け入れてあげなければならない……。

 

「やれやれ……担当になっていたら貴方たちはデビュー前に潰れてますよ」

「……それはお姉様をバカにしているという事ですか、あの人がトレーナーとして二流だからだと」

「あ~駄目だこりゃ全然分かってない……いいですかよく聞きなさい、貴方達はあの人に憧れ過ぎてるんですよ。ただ憧れているだけ、偶像崇拝してるだけの信者でしかない、デビューする前から諦めて如何するんですかねぇ」

「何が言いたいんです!!お姉様に憧れて何が悪いんです!!」

 

憧れていることの何が悪いとドーベルが強く言う、それに同調するようにエアグルーヴも言葉を強めていく。

 

「いいですか、貴方達はランページさんに守られてるんですよ。その事の意味も分からないようじゃ担当なんて夢のまた夢、スズカちゃんには届きませんよ」

 

サイレンススズカに敵わない、その言葉は明確に二人の地雷を踏んだ。そんな様子にフローラはため息交じりに空を見た。

 

「(恋は盲目みたいな感じかなぁ……確かに私向きだわ、自分みたいにさせる訳にはいかないし恥ずかしいけど一つ一つ話してあげるか)どうやっても届かないよ、本気でランページさんを越えようとしない限りね―――私みたいに最後の最後まで気づけなくなるのは嫌でしょ、だったら着いてきなさい」

 

 

 

「今日は何をするんです?」

「とあるウマ娘を紹介する、俺も大変世話になったお姉様だ」

「へ~いそこのマブい彼女たち~乗ってく?」

「二人乗りでしょそれ」

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